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冬場のお風呂に注意!ヒートショックと入浴中の突然死を防ぐ7つのポイント

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冬になると「ヒートショック現象」という言葉が良く聞かれます。

ヒートショック現象とは急激な温度変化が短時間に起こることで、血圧が急激に上がったり下がったりすること。脳卒中や心筋梗塞の原因にもなります。

特に冬の入浴時に寒い脱衣所や浴室へ入ったり出たりする時に起こりやすく、高齢者や高血圧、糖尿病などを患っている人ほど、室内の寒さで血圧が大きく上昇する傾向にあり、生命への危険性が高いです。

交通事故死は年々減少傾向にある一方で、家庭内事故死は年々増加傾向にあり、自宅浴室での死亡者は交通事故死の約3倍(病死扱いを含める)。お風呂は毎日のように入るので、その分リスクが高いと言えます。

入浴事故とヒートショックの予防法をまとめました。

室内と脱衣所、浴室、入浴中の温度差を少なくする

  • 脱衣所や浴室で暖房器具を使う
  • 温かいシャワーを浴室の壁や床にまく
  • お湯の温度は38~40度のぬるめに設定する
  • 高断熱住宅、浴室にリフォームする

脱衣所や浴室で暖房器具を使う

寒くなると自室や居間に暖房器具を導入しますが、一方で脱衣室や浴室では「寒さを感じるののは短期間だから、何の暖房対策もしていない」という家は多いように感じます。

暖房が無く寒い浴室や脱衣所は、入浴時や浴室から出た後の温度差が大きくなりやすく、ヒートショックや入浴事故の大きな原因になります。

暖房器具を使って脱衣所や浴室が暖かくなってから「服を脱ぐ、浴室に入る、湯船に浸かる、浴室から出る」を徹底することが大切です。

浴室や脱衣所で使うのに向いている暖房器具は「コンパクトで場所を取らない、電気で動く、1~2畳に対応、すぐに室内が暖まる、操作が簡単で使うのに面倒さを感じない」の項目を満たしているもの。

ちなみに家電量販店ビックカメラの浴室暖房器具の売れ筋1位(2014年11月1日~30日の売上データによる)は、山善「セラミックヒーター HF-J121。


小型の暖房器具ですが、消費電力1200Wのパワフル仕様で、すぐに室内が暖まるのがメリット。約5,000円と買いやすい価格で、本体上部のつまみを回すだけで簡単操作できる手軽さも人気の理由です。

それ以外だと日立の浴室乾燥暖房機「ゆとらいふ ふろぽか」や、脱衣室暖房機「ふとらいふ 」も人気ですが、取り付けにはエアコンと同様の工事が必要になります。 

熱めのお湯を浴室の壁や床、湯船にまく

浴室への暖房ができない場合は「服を脱ぐ前」に以下のどれかを実践することで、浴室の温度差の軽減ができます。

  • 浴室の壁や床に熱めのお湯をまく。
  • シャワーを高い位置に設置して、湯船に向けてお湯を入れる。
  • シャワーだけで済ませる場合も、お風呂にお湯を張る。

一番風呂と家族の最後、早朝・深夜、食後・飲酒後に入浴しない

高齢者や高血圧、糖尿病などを患っている人は、特に入浴する時間やタイミングに注意する必要があります。

一番風呂は「脱衣所と浴室、湯船の温度差が大きい」。
家族の中で最後に入るのは「万が一の時、発見が遅くなる」。
深夜・早朝の入浴は「気温や体温、血圧が低く、温度差の影響を受けやすい」。
食後1時間以内・飲酒後は「血圧が下がりやすい」。

入浴事故やヒートショックの危険性が最も低いのは「日没前(17時前)や夕食前」
その時間帯に温度差対策を行ない、入浴することで、よりリスクを軽減できます。
入浴事故に関する通報時間帯を見ると「4時~7時59分は1.85倍、16時から19時59分の場合は0.57倍」(出典:東京都健康長寿医療センター)という結果になっています。

高断熱住宅、浴室にリフォームする

冬の入浴時や病死に気を付けたいのが、実は温暖地域です。

温暖地域とは北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、栃木県、新潟県、 長野県以外の地域のこと。(参照:温暖地域 – Panasonic

寒さと死亡率の関係性を都道府県別にランキング付けしたのが以下の通り。

【心疾患(心筋梗塞、心不全など)】
1.栃木県
2.三重県
3.愛媛県
4.和歌山県
5.茨城県
6.静岡県
7.鹿児島県
8.千葉県
9.香川県
10.奈良県

【脳血管疾患(脳梗塞、脳卒中など)】
1.栃木県
2.静岡県
3.鹿児島県
4.茨城県
5.岡山県
6.大分県
7.島根県
8.鳥取県
9.徳島県
10.長野県

出典:北海道大学 羽山広文教授
健康・省エネシンポジウムinとやま 配布資料から引用

調査結果を見ると、冬場が非常に冷える寒冷地だからといって、冬の死亡率が高いとは言えないことが分かります。ちなみに心疾患・脳血管疾患のワースト1位は北海道。

寒冷地や雪国になると高断熱や気密性が高い住宅の割合が多いことが、冬の死亡率が低い要因だと考えられます。

築年数が経っている住居だと、どうしても浴室や脱衣所の温かさが不十分なことが多いので「最近、風呂場の寒さが身にこたえてきた」という場合は、高断熱住宅、浴室にリフォームすることも考えるべきです。

費用は50~200万円ほど。
一般的な葬儀費用の平均が約200万円なことを考えると、前触れも無く急に死なれるよりは安上がりではないでしょうか。

もちろん高断熱や高気密の浴室、脱衣所だからと言って油断はできません。
私の実家の場合「風呂場や脱衣所はリフォームしたから大丈夫だろう」と思っていた矢先に、入浴事故が起きています。

冬場の死亡リスクが低い地元(富山県。心疾患45位、脳血管疾患43位)で、身内と親戚が入浴事故で亡くなっていることを考えると「入浴事故のリスクは減らせるが、ゼロではない」と言えます。

入浴前後の危険性を減らす

  • すぐに入浴しない
  • お湯の温度は38~40度のぬるめで半身浴
  • 湯船から出る時は「ゆっくりと前かがみ」

すぐに入浴しない

寒い脱衣所や浴室にいると「寒いからすぐに身体を温めたい!」と真っ先に湯船に浸かりたくなりますが、血圧が急激に上昇する

湯船に入る前に手足→胴体の順にかけ湯やシャワーをして、徐々に身体を温めることで、身体と湯船の温度差を少なくして、血圧の急上昇を抑えます。

お湯の温度は38~40度のぬるめで半身浴

自動的にお湯の温度を設定してくれる場合は良いですが、2つのハンドルでお湯の温度を自分で調節する時は、どうしても感覚に頼りがちなので、風呂用温度計(湯温計)を使うことをおすすめします。ホームセンターなどで、1つ500~1,000円くらいで買えます。


(EMPEX(エンペックス) ほっとバスタイム湯温計 TG-5131)

商品によっては38~42度を「適温」と表示する温度計が多いのですが、できれば「42度以上は危険」と表示した温度計を使った方が普段の危機管理がしやすいと思います。

また「肩までお湯に浸かりたい」という高齢者は多いですが、肩までお湯に浸かると水圧で心臓に負担がかかり、更に血圧が上昇します。

その代わりにおすすめしたいのが「半身浴」です。
お湯の量は「心臓の下、ヘソよりも上」にして、肩や腕を出した状態で湯船につかります。

半身浴は上半身が寒くなりやすいので、肩にタオルをかけたり、こまめにかけ湯をしたり、身体を温める入浴剤を入れたりします。

湯船から出る時は「ゆっくりと前かがみ」

湯船から出る時は「ゆっくりと前かがみ」を守ること。

急に真っ直ぐ立とうとすると、血圧の低下(立ちくらみ)の原因になり、意識を失っての溺死や湯船に頭をぶつける危険性を高めます。

またお風呂に入っている時は風呂フタを置き、そこに頭や腕を乗せるようにすると、万が一の時の溺死防止になります。

最後に

入浴事故やヒートショック現象はは、本当に突然起こることで「大きな病気や怪我も全くせず、後十数年は生きているだろうな」と思っていた人でも、あっという間に亡くなってしまう恐ろしい事態です。

風呂場で死なれると、後々面倒になる(消防や警察への通報、検死、遺体状態の悪化、「風呂に入るのは生理的に無理」など)ので、なるべく多くの対策を取り、布団の上以外で死なないことが大切です。

特に高齢の両親や祖父母がいる人は他人事ではないので、今回紹介した対策を実践するように伝えて下さい。
一人でも多くの人が不幸な死や悲しみを迎えないよう、宜しくお願いします。

明日は「いつ急死しても周りに迷惑をかけない為にも、今の内に用意しておきたい必要最低限のこと」を紹介します。

(書いた人:昼時かをる)

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