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【未来の物流】ネット通販の宅配サービスは今、どれくらい便利になっているのか?

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先日ついにAmazonプライムに加入したのですが、これがとても便利で年間4,000円の価値はあると感じています。

Amazonプライムの大きな目玉は「お急ぎ便がいつでも無料で使える」ことです。Amazonで買った商品が基本的にすべて、当日か次の日には自宅に届きます

ネット通販で注文した商品がすぐ届くとなると、「毎日使うような日用品の購入もネットで買ってもいいかも」と思えてきます。日用品を多く取扱うLOHACO(ロハコ)が人気なのは、そういった背景もあるのでしょう。

しかし、ネット通販が日増しに便利になる一方で、商品を運ぶ側の「物流」は厳しさを増す一方です。私は昔、郵便配達の仕事をしていたのですが、雨風に関係なくモノを運ぶのって、本当に過酷な仕事です。。

現実に、以前はAmazonで商品を注文すると佐川急便が宅配を行っていましたが、現在はクロネコヤマトに切り替わっています。この記事なんかは凄く面白いです。
要求高くて対価は低い 佐川がアマゾンとの取引撤退 宅配業界大揺れ

しかし、ネット通販を利用する人はどんどん増加し、楽天やAmazonを筆頭に、通販会社は各社競争によって「一日でも早く届けること」が求められています。

東洋経済新報社の予測によると、2020年のネット通販市場は、2013年対比で約2倍に増加するのだとか。。
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参照:ネット通販市場は小売りの20%、60兆円に

個人的には、ネット通販もそうですがヤフオクやフリマアプリ、そして服のレンタルといったシェアリングエコノミーがより加速していくと思っています。いずれにしても、その「キー」となるのが「物流改革」であることは間違いありません。

ネット通販会社が実施している3つのアイデア

そのような中、各社さまざまなアイデア・知恵を絞っています。前置きが長くなりましたが、今日のお話は各社が取り組んでいる宅配サービスの取り組みについてご紹介します。

ヨドバシカメラ(ネットで注文・店頭で受け取り)

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ネット通販市場が加速する中で、「リアル店舗はもはやショールームと化していく」と言われています。そこを逆手にとったのがヨドバシカメラの店頭受取サービスです。

商品が届くのを自宅で待つぐらいだった自分で取りに行ったほうが早い
これがアイデアの元になっています。

誰でも、「今日欲しい、今すぐ欲しい」と思う時はあります。そのような場合は、どれだけ物流スピードが加速してもやはり、リアル店舗の方が強いです。

このサービスのメリットは、店頭に行かなくても、まず最初にネット通販で購入を確定し、商品在庫が店頭にあるとわかった上で取りに行けることです。

そしてもう一つ、このサービスにはとっておきがあります
現在はヨドバシカメラの「マルチメディアAkiba」と「マルチメディア梅田」の2店舗でのみ試験的に実施されているのですが、営業時間外に商品を受け取ることもできるようになっています。

つまり、

  • 夜中にDVDが見たくなった
  • 仕事の帰りが遅い
  • 深夜になって明日の旅行用品が足りないと気づいた

いずれの場合も「ネットで注文 → 営業時間外窓口に出向いて店舗で受け取る」ことができます。「今日欲しい、今すぐ欲しい」を解決するこのアイデアは非常に面白いです。

楽天(街のロッカーで商品を受け取る楽天BOX)

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以前のクートンブログで
駅や郵便局のロッカー受け取りで再配達要らず!楽天BOXなど専用宅配サービスが今きてる
という記事を書きました。

ネット通販で買った商品を街に設置している宅配BOX(通称:楽天BOX)で受け取れるサービスです。このサービスは、深夜など帰宅が遅い方や、配達員と顔を合わせるのに抵抗がある女性の方に人気です。そのリピート率は70%にものぼります。

楽天で商品を購入後、その商品がロッカーに届くとパスワードがメールで送られます。保管期間の3日以内であれば、あなたは24時間いつでも、そのロッカーに出向いて商品を受け取ることができます。

これまで試験導入されていた楽天BOXは、その後日本郵便と提携し、「街の宅配ボックス → 街の郵便局にある宅配ボックス」へと導入規模を拡大。

これが楽天BOX
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先ほどのヨドバシの取り組みと多少被りますが、注文商品を近所の郵便局に受け取りにいけるなら、非常に利便性が向上しますよね。

また、弊社が運営している「ネットスーパー100の活用術」でも取り上げていますが、イオンや西友も同じような取り組みをしています。現在はネット通販といえば、楽天やAmazonのイメージですが、いずれ「生鮮食品の宅配」も活発になってくると思います。

例えば、Amazonが生鮮食品の取り扱いを強化し始めたら、今は直接的な競合相手ではないイオンや西友も、うかうかしてられなくなります。現実に、アメリカではAmazonの影響でウォルマートが苦戦を強いられています。

互いの聖域に踏み込むアマゾンとウォルマート、米小売業界オムニチャネル最終決戦

セブン&アイ(セブンイレブンの店頭で商品を受け取り)

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これも「店頭受け取り系」という点でヨドバシの取り組みに似ています。
セブン&アイグループ(イトーヨーカドーやニッセン、そごう、セブンネットショップなど)の通販で購入した商品を、24時間いつでもセブンイレブンで受け取れるようになります。

夜中に注文した商品を翌朝受け取れたり、当日朝7時に注文した商品を夜7時に受け取れるなど。Amazonプライムのスピード感で言うと、これとほぼ同等です。

一軒ずつ自宅に配送するよりも、コンビニに集めた方が効率は良くなります。それに、近所のコンビニに受け取りに行く程度なら、私たちにとっても大きな手間にはなりません。

参照:セブン&アイ、ネット購入コンビニで即日受け取り

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参照:クロスチャネルからオムニチャネルへ

ただ、この方法は消費者の利便性が上がる一方で、セブン側には大きな手間となります。この仕組みの導入は、決して簡単にできるものではないことが、次の言葉から伺えます。

現在、消費者がグループの商品を店頭で受け取った場合、3ケタ、つまり1,000円以上という高めの手数料が、品数に応じてグループ各社からオーナーへ支払われているという。
参照:週刊東洋経済 2015年 6/6号

これに対抗する形で、Amazonはローソンとの提携を発表。Amazonで注文した商品がローソンで受け取れる取り組みを発表しています。

未来の物流がヤバすぎて話にならない…

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上記は現在すでに導入されている物流の取り組みです。しかし、世界に目を向けてみると驚くべきアイデアばかりで唖然とします。。。

ネット通販の商品をその日の内にすべての人に届けるにはどうすればよいか?
この質問に対して、あなたはどのように考えますか?
その答えが下記にあります。

アマゾン(ドローンによる宅配)

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以前から注目されているのが、アマゾンがテストしている「ドローン(無人航空機)」を使った宅配サービスです。ラジコンを思わせるヘリコプターを使って商品を届ける実験を、Amazonは行っています。

このサービスは「Amazon Prime Air」と呼ばれており、すでに公式の動画もアップされています。

「空」を使えば渋滞はありません。また、無人航空機であれば人の力も必要なく、それも正確に商品を顧客の手元に届けることができます。

また、「注文前に商品出荷するサービス」として、ユーザーの購入履歴にもとづいて注文前に商品を動かす取り組みを検討しています。

ユーザーが商品を閲覧していた時間やマウスカーソルの滞在時間(例えば、購入ボタンなどの上で押すか・押さないかで迷っていたなど)、過去の購入履歴を元に「購入する可能性が高いか否か」を判断。

例えば、あなたがAmazonで炊飯器を買ったとします。その後、美味しいお米が食べたいと思っていくつかの銘柄を検討し、その中の一つを「お気に入りリスト」に入れます。それを見てAmazonは、その時に買わなくても、将来的に買う可能性が高いと判断し、あなたの自宅から一番近い倉庫に、そのお米を移動させます。

その後、あなたがそのお米を注文したら、一番近い倉庫から出荷し、最速で届けられるというわけです。

これってかなり凄いことだと思いますが、逆にいうとこれぐらいのことをしなければ、「ネット通販の商品をその日の内にすべての人に届ける」ことはできないのでしょう。それほどネット通販市場は伸びているということです。

ウーバー(自動運転車による宅配)

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最近、ウーバー(UBER)という会社が世界で大きな注目を浴びています。(日本ではまだほとんど普及していませんが)

ウーバーは、アプリを使った配車サービスです。あなたが今いる場所(乗車したい場所)をUBERアプリで指定すれば、その場所に「10分で到着します」といった案内付きで、お迎えが来てくれます。

(まだ上場すらしてない)ウーバーの企業価値は現在5兆円とまで言われています。5兆っていうと、ユニクロとかセブン&アイ、楽天、ソニー、三菱商事、、、など日本の名だたる企業の時価総額を上回る数字です。

ではなぜこの会社がここまで評価されるのかというと、将来的に自動運転車が導入されると見込まれているからです。現在は、乗車側と運転側のマッチングサービスですが、もし運転側がすべて自動運転車(ロボット)に置き換わったらどうでしょうか。

人を乗車させるだけでなく、「無人の宅配車」に変化します。Amazonは空から攻めようとしていますが、ロボットカーが自宅にネット通販の商品を届けてくれるなら、物流スピードは大きく上がりそうです。

シンガポールポスト(3Dプリンタを使ったテレポーテーション)

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シンガポール・ポスト(通称:シングポスト)は、シンガポールの郵便局です。この会社の取り組みは非常に先進的で面白いです。

まず、中国のアリババグループとの提携。「アリババ」は中国版アマゾンで、中国では圧倒的な存在です。最近、ニューヨーク証券取引所に上場したことで、世界でも注目されている企業の一つです。

シンガポールポストは150年以上の歴史を持つ会社ですが、物流改革を起こすためにアリババ・グループの資本を10%受け入れることを決めました。個人的には、これはとても凄いことだと思っています。

例えばもし、楽天が日本郵政の株式を10%取得すると発表したら、「IT企業が国営企業の株を買うなんて・・・」と大きな批判が起こりそうです。まして、アリババは中国の会社ですから、この事例を日本に当てはめるとすれば「アマゾンが日本郵政の株式を10%取得する」とした方が正しいでしょう。

150年の歴史を持つ会社が、ここ数十年で急成長を遂げたIT企業の資本を受けるというのは、簡単なことではないはずです。しかしその結果、東南アジアに強みを持つシンガポールポストと、中国に強みを持つアリババで、大きな物流ネットワークが完成すると言われています。

アリババが持つ中国の運送網とシングポストの東南アジアの運送網を結び、効率的な物流ネットワークができあがる。例えば、中国からインドネシアへの商品発送にかかる時間は従来の半分以下の2週間に縮んだという。(参照:日経)

シンガポールポストのもう一つの取り組みは「3Dプリンタ」です。
例えば、「ネジを一つ送る」ことを考えた場合、海外からなら数日、国内でも1日はかかるのが現状です。しかし、デジタルデータをメールで送信して、受け取り側で3Dプリントによって、注文したネジを製造してしまえば、距離に関係なく、すぐ商品が受け取れます。

これが、3Dプリンタを使ったトランスポーテーションによる物流です。

3Dプリンタを使った取り組みは、シンガポールポストだけでなく、すでに各国の郵政公社や物流会社が着手しています。それくらい、3Dプリンタと物流改革の親和性は高いということです。(日本郵政からは一切そのようなアナウンスは出ていませんが…)

3Dプリンターが普及し、デジタルデータで対応できるモノが拡大すればするほど、彼らのビジネスは失われていくことになる。わざわざ郵便局の店舗に行って送り状を書き、料金を支払って、何日間もモノが届くのを待つという手間に比べれば、パソコンのマウスをクリックするだけで済むというこの画期的な技術は、彼らの従来からのビジネスを破壊するといっていい。

参照:シンガポールポストは郵便局を3Dプリント対応の次世代型に変更

余談ですが、シンガポールポストも、楽天BOXと同様の宅配ロッカーを導入しています。

いかがでしたか

以前から未来の物流には興味があって、一人で勝手にワクワクしてました。

この記事を書いていた時にちょうど、週刊東洋経済の最新号が「物流」に関する内容だったのでご紹介します。(週刊東洋経済 2015年 6/6号「物流大激突」

私も非常に興味深く読みました。
興味のある人は書店や通販、または電子書籍で読んでみてくださいね。

週刊東洋経済 2015年 6/6号[雑誌]

週刊東洋経済 2015年 6/6号[雑誌]

(書いた人:川原裕也

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