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【祇園祭】巨大タペストリーはどこで見られる?動く美術館「山鉾」をより楽しむ為に知っておきたい6つのこと

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7月1日の吉符入りから31日疫神社夏越祭までの1ヶ月間、京都の大祭り祇園祭(ぎおんまつり)

1,100年以上の歴史を誇る祇園祭には、見所は色々とありますが、美術や芸術が好きな人であれば、東西一級品の美術品が飾られた山鉾は、一生に一見の価値ありです。

京都市内に合計33基ある山鉾には、絢爛豪華としか言いようがない、世界各地の最高級の美術品が惜しげも無く飾られており、その姿から「動く美術館」とも呼ばれています。

総金地インド刺繍の胴掛、円山応挙の孫・応震下絵の天水引、李朝時代の朝鮮段通、17~18世紀製のラホール絨毯の前掛や胴掛……など、挙げればキリがありません。

そんな一級品たちを見ようと「占出山には、日本三景を描いた綴織があるらしい」という、ふんわりした知識だけで行ってしまうと「あれ?なんで鉾に飾られていないの?私が見たいタペストリーはどこにある?」と、戸惑う人も少なくありません。

実際にそんな感じで、見て回るのに非常に苦労したので、今回は山鉾やタペストリーをより楽しむ為に知っておきたいことをまとめてみました。

山鉾各部の名称と懸装品(けそうひん)

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▲京都新聞 祇園祭特集2015より

山鉾に掛けられる染織物は「タペストリー」と呼んでも差し支えないと思いますが、飾る部分によって名称が付けられています。

説明書きに「前掛」「胴掛」「見送」と書いてあっても、私を含めて意味がさっぱり分からない人も多いと思うので、簡単に説明したいと思います。

【懸装品(けそうひん)】
山鉾を装飾する染織物や工芸品のこと。
山鉾巡行時に付けられるもの以外にも、複数種類があることが多い。

【前掛(まえかけ)】
山鉾の前部分を覆う大きな掛け物。
山鉾巡行の際、音頭取り(おんどとり。鉾の前部に二人で立って扇子と掛け声で合図を送り、車方や曳き手の動きを統括する役目を行なう)の後ろにある懸装品。

【胴掛(どうかけ)】
山鉾の側面を覆う掛け物。
「西胴掛」と「東 胴掛」があり、それぞれ描かれているものが違う。

【後掛(うしろかけ)】
山鉾の後ろ部分を覆う大きな掛け物。
山鉾巡行の際は見送りで隠れるので見えない。

【見送(みおくり)】
山鉾の背面を覆う大きな掛け物。
山鉾巡行の後ろ側の写真で、絢爛豪華に写っているタペストリーのこと。

【水引】
前掛や胴掛、後掛の上部にある掛け物のこと。

絢爛豪華な懸装品が見られるのは「町会所」と「巡行時」

各鉾町に置かれている山鉾を見た時「あれ?巨大なタペストリーが飾ってない……?」と思うかもしれません。

祇園祭の山鉾巡行を見た時に一際大きく目立つ前掛や見送、御神体などの懸装品は、各鉾町に山鉾が置かれている時や曳初き時は飾られていません。

【長刀鉾の曳初】

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鉾の後ろ部分には、大きな見送が飾られていないことが良く分かります。

懸装品は山鉾巡行前は「町会所(ちょうかいしょ)」で展示、または山鉾巡行時に一部を飾った状態で観られます。

町会所とは町内の寄り合いや囃子の練習、御神体や懸装品の展示が行なわれる場所のこと。
典型的な町家作りだけではなく、近代的なビルやマンションの一画が町会所になっている所もあります。

山鉾のすぐ近くにあり、ちまきやパンフレットなどを取り扱っている後ろ側の建物が町会所なことが多いと思います。
保存や天候など関係で、豪華絢爛で貴重な前掛や見送はあまり外に出さないでいるみたいですね。

鉾建て時に行っても見られない可能性あり

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各山鉾町の会所などで懸装品を展示する「会所飾り」は7月14日~16日に行なわれます。

……と、各パンフレットなどに説明書きがされていますが、実際は各鉾建が終わった後であれば、会所に展示された懸装品を観たり、山鉾への搭乗(13日9時や13時~)ができたりする所は多いです。

ただし懸装品の展示が行なわれる町会所には、懸装品や本尊だけではなく、鉾の部材も収納されており、鉾を建てている時は作業所のようになっているので、懸装品は飾られておらず、観ることはできません。

鉾建は3日掛けて行なわれる場合もありますが、小さめの鉾であれば当日の昼~午後には建て終わっています。

「鉾が建て終わったかなー?」というタイミングで行くと、曳き始めをしていたり、懸装品が飾られたりしているので、時間帯を見計らうことが大切です。

各山鉾の鉾建は以下の通り。曳始とは日時が違う所も多いです。

【前祭(さきまつり)】
7月10日 長刀鉾・函谷鉾・鶏鉾・菊水鉾・月鉾
7月11日 放下鉾・船鉾・岩戸山
7月12日 保昌山・山伏山
7月13日 占出山・霰天神山・郭巨山・伯牙山・芦刈山・油天神山・木賊山・太子山・白楽天山・綾傘鉾・蟷螂山
7月14日 四条傘鉾・孟宗山

【後祭(あとまつり)】
7月17日 大船鉾
7月19日 北観音山・南観音山・鯉山
7月20日 浄妙山・黒主山・役行者山・鈴鹿山
7月21日 八幡山・橋弁慶山

詳しくは:各山鉾町の行事日程(2015年) - 京都新聞

注意したいのが各山鉾町によって、鉾建や建て終わり(≒曳始)の日程が異なったり「2階飾りは14日から」という所があったりするので、「確実に前掛や見送が見たい!」という人は、会所飾りが行われる14日以降に訪れるのが良いと思います。

会所飾りでは実際に山鉾巡行で使用される懸装品の他、以前まで使われていた懸装品や、その他寄進されたものが色々と展示されています。

ガラスケースなどに入れて展示していない所が多い為、普通の美術館の展示ではありえないくらい、かなり間近で懸装品を見られます。もちろん触るのはNGなので、鑑賞マナーはしっかりと守りましょう。

宵山(14~16日)の18時以降には四条通や烏丸通が歩行者天国になり、かなりの人で賑わうので、比較的ゆっくり観て回りたい人は昼間に行くことをおすすめします。

また山鉾町の旧家や老舗では秘蔵の屏風や美術品を公開する「屏風祭(14~16日)」や、四条通の各店舗を名家名流が花で彩る「いけばな展(15~17日)」も開催されているので、山鉾見学と合わせて観てみると、京都文化の奥深さを垣間見れると思います。

後祭の山鉾の会所飾りは、後祭宵山(21~23日)の時期に行なわれます。
2014年から本来の姿である前祭と後祭に分かれた分、全ての山鉾や会所飾りを観るのが難しくなってしまいましたね……。

観覧料は無料または有料

山鉾の懸装品を見る際、会所によって「無料」と「有料」が分かれます。

有料だと観覧料のみで「500円」。山鉾搭乗、ちまきや手ぬぐい、御朱印状がセットになって「1,000円」という所が多いように思います。

実際に私が見た限りですが、函谷鉾(かんこぼこ)と鶏鉾(にわとりぼこ)は有料、占出山(うらでやま)は無料で観られました。

【鶏鉾】

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ギリシャの詩人ホメロスの書いた『イーリアス』のトロイア戦争物語「出陣するヘクトールと妻子との別れ」を題材にした見送。
16世紀後期にベルギー・ブラバン地方で織られたた飾毛綴織(かざりけつづれおり)で、鯉山に飾られる前掛、水引、胴掛、見送と対をなします。

国の重要文化財に指定されており、山鉾巡行の際は復元新調した方を用いられています。
新旧で大きさや色合い、織り具合が微妙に異なるので、ぜひとも会所飾りの時に良く良く見比べてみると楽しいです。

中国の史話に由来した鶏鉾と全く関係ない見送で、伝来の言われも良く分かってはいませんが、当時の民衆の美意識の高さや経済力の一端を観ることができますね。

「懸装品へ触ること・飲食・喫煙・ペットの持ち込み」は禁止ですが、写真は自由に撮っても大丈夫でした。

鶏鉾の場合、二階が会所飾りになっており、外へ続く廊下から鶏鉾に搭乗できます。

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山鉾巡行が終わった後は、すぐ解体

山鉾が前掛や見送をまとい、四条通→河原町通→御池通→新町御池を巡行した後は、各鉾町に戻った後すぐに解体されます。

その為「巡行が終わった後に、前掛や見送を見てこよう」と思っても、仕舞われている可能性が非常に高い為、会所飾りの時期に展示されている懸装品を観るか、山鉾巡行で着飾ったものを観るかする必要があります。

山鉾巡行は前祭が17日9時~、後祭が24日(9時30分~)に行なわれます。
すぐに解体されてしまうのは勿体無い気がしますが、巡行をすることで厄を集め、集めた厄を留めないようにすぐに解体する必要があるのです。

亀岡祭の山鉾もおすすめ

祇園祭の後、毎年10月に行なわれる「亀岡祭」(京都府亀岡市)。

10月23日~25日の山鉾行事では、懸装品で飾られた「曳山(ひきやま)」や「舁山(かきやま)」が見られることから、「丹波の祇園祭」とも呼ばれています。

前掛や見送、胴掛などの懸装品は祇園祭と見劣りすることなく、山鉾の中には祇園祭の山鉾の旧材や懸装品が使用されたものも残っています。

亀岡祭は祇園祭よりも小じんまりとしていて、観光地化があまりされていない感じなので、その分、風情を感じられると思います。

祇園祭の影響を強く受けている祭りは、亀岡祭だけではなく、全国各地にあるので、色々と調べて行ってみると面白いかもしれません。

いかがでしたか?

各山鉾の前掛や見送を一点一点紹介しようとすると、かなり膨大な量になるので割愛しました。

詳しい由来や歴史的な背景が分からなくても、古今東西の一級品が京都に集まり、山鉾に飾られて、それが和洋折衷で見事に調和しているのを見るのは、非常に面白さを感じます。

最後に、動く美術館「山鉾」をより楽しむ為に気を付けたいことをまとめてみました。

  • 懸装品を見る時は、会所飾りの時期や巡行時に行くのが無難。
  • 巡行時は新調されたもの(≒レプリカ)な場合が多いので、本物を見たい時は各会所で見る。
  • 観覧料の有無は各鉾町によって異なる。無料または500円が相場。
  • 各展示は好意で見せてもらっているので、失礼のない態度で望む。
  • 全部の懸装品を見ようと思うと、前祭と後祭の両方に行く必要がある。

実体験を元に書きましたが、何かお気づきの点があればコメントなど頂けると幸いです。

(書いた人:昼時かをる)