クートンブログ

日常のヒントをあなたに - 株式会社クートン

スマホゲーム、課金ポイントはどこで訪れる?

※記事内に広告を含む場合があります

f:id:qooton:20150830030135j:plain

スマホの普及以来、電車で読書や携帯ゲーム機で遊ぶ人はほとんど見かけなくなり、今や電車での暇つぶしといえばスマホゲームが定番となりました。

「パズドラ」や「モンスト」など、一駅の間でもゲームが進められるようなものが、売上ランキングの上位を占めているのも、そんな利用形態を強く映し出していると思われます。

これらのゲームは「基本無料」を謳っていて、ゲームも無料で進められるにもかかわらず、売上ランキングの上位を占めるのは何故か、そしてゲーム制作者は、無料でも楽しめるのにお金を払いたくなる仕組みをどう考えているのでしょうか。

ゲームのフリーミアム化

スマホ登場以前、ゲームを楽しむためにはお金を払ってゲームソフトを買う、または、ゲームセンターなどで都度お金を払ってゲームをプレイするという形が一般的でした。

ところが、国内では携帯電話で遊ぶ「ソーシャルゲーム」の人気により、ゲームを遊ぶこと自体は無料だけれども、より有利に遊びたい、あるいは時間を節約したい人は、お金を払うことで、恩恵を受けることができるというシステムが定着しました。

こういった基本無料の追加課金というモデルは、一般的にフリーミアムと呼ばれています。

フリーミアム(Freemium)とは、基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金する仕組みのビジネスモデルである。 英語圏ではビデオゲームの場合、フリー・トゥ・プレイ(英: Free-to-play、F2P)という。 無料サービスや無料製品の提供コストが非常に小さい、あるいは無視できるため、Webサービスや、ソフトウェア、コンテンツのような無形のデジタル提供物との親和性が非常に高い。

Wikipedia

そして、このフリーミアムの仕組みを、まだお金を払ってゲームを買う有料アプリが主流だったスマホゲームにも活用し、従来のゲームの仕組みとフリーミアムの仕組みをバランス良く融合させて大ヒットしたのが、皆さんもよくご存じの「パズル&ドラゴンズ」、通称パズドラです。

3つのお金を払いたくなる仕組み

多くのアプリ制作者が、第二のパズドラになろうと、パズドラや人気ソーシャルゲームの仕組みを研究し、最終的に現在のゲームのほとんどが、3つのお金を払いたくなるポイントを設定しています。

1. 待ち時間を短縮するための課金
2. ゲームを便利にプレイするための課金
3. ガチャのための課金

待ち時間を短縮するための課金

多くのスマホゲームが「スタミナ」やそれに似た名前のシステムを採用しています。
これは、ゲームをプレイするたびに減っていき、時間がたつと回復するというシステムで、長時間連続でゲームをプレイしたい人のための課金システムのように見えます。
文字通り受け取るのであれば、これは時間をお金で買う行為なので、よほど熱狂的ファンで無ければ、たいていの場合は課金よりも時間が過ぎることを選ぶでしょう。

しかし、このシステムが本領を発揮するのは「イベント」の時です。
24時間限定でレアなアイテムが手に入るイベントなどが行われると、普段は時間短縮では課金しない人達も、効率よくアイテムを手に入れるためであれば、途端に課金ユーザーに変貌するのです。

さらに、イベントのボスが、一見倒せそうな気になるけれども、なかなか倒せない、といった絶妙な難易度設定になっている場合、負けた時のコンティニューのための課金もセットで一気に売上を伸ばします。

アプリ売上ランキングの上位がめまぐるしく入れ替わるのは、こういったイベントがアプリ毎に違った日程で組まれているのが大きな要因となっています。

ゲームを便利にするための課金

先ほどのスタミナが、一部のコアユーザーから大量の課金を期待するための戦略であるのに対し、こちらは広いユーザーから少しずつの課金が期待できる戦略です。

多くのスマホゲームは、カードやモンスター、何かしらを集め、組み合わせ、デッキを組むなどしてゲームを進める仕組みになっています。
しかし、所持できるカード、モンスターなどは数が決まっており、無課金でゲームを進めるには、所持できる数を考慮したゲーム進行が必要となってしまいます。

ところが、所持枠を課金によって増やせば、折角手に入れたカードを捨てること無く所持し続けられ、それによって多くのバリエーションのデッキを登録しておくことができ、便利にゲームを進めることができるようになります。

大抵のゲームの場合、この所持枠拡張は無制限では無く、(無制限にすることはシステム的な負担が多いため、開発者側もあまりやりたくない)拡張できる最大枠が決まっているため、一人のユーザーから期待できる課金額はあまり大きいものにはなりません。

しかし、初期状態の所持枠を少なめに設定しておくことで、そこそこ真剣にゲームをプレイするユーザーであれば、少なくとも1回や2回は課金が期待できるため、広く浅く収益を出すために非常に有効な課金ポイントとなっています。

ガチャのための課金

スマホゲームに限らず、携帯電話のソーシャルゲーム時代から、もっとも収益の得られる戦略でアリ、それ故に社会問題にまで発展した課金方法がこちらです。

現在のガチャの相場は大体1回500円程度。
実態の無いデジタルデータ、しかも何が出るかわからない物に支払う金額と考えると、とてつもなく高いようにも感じられますが、実際のところでは、ユーザーにとって多大な時間を費やさなければ手に入らないアイテムが、数秒で手に入るかもしれない、運が良ければものすごく効率の良い宝くじ的な価値のあるものとなっています。

例えば、もっとも希少なランクのアイテムを手に入れるために、毎月行われるイベントを7回達成する必要があるゲームでは、7ヶ月分の労力を考えれば、数千円、数万円の投資は惜しくない!と考えるユーザーも少なくありません。
こういった、時間をお金で買う観点と、ガチャで手に入るアイテムを可愛いキャラや格好いいキャラにすることで、それを手に入れたいと思わせるコレクターの観点からガチャはユーザーにとって魅力的な課金方法になるのです。

開発者はどこまで課金ポイントを計算している?

リリース初期のゲーム以外は、ほぼ全てが計算されています。

開発者は当然自分たちがリリースしたゲームはやりこんでいます。多くのゲームの上位チームには、開発者達によって構成されたチームがほぼ確実にあると言っても過言ではありません。
彼らはユーザーの動向だけで無く、実際に自分たちが本気でプレイすることで、どこでユーザーが課金をしたくなるのかを綿密に調査しています。

また、ゲームは継続をさせるためのサイクルが重要です。ユーザーは

  • ゲームをプレイする
  • →プレイした結果アイテムを手に入れる
  • →アイテムを使用した結果自分が強くなる
  • →もっと難しい難易度をプレイする
  • →プレイした結果より強くなれるアイテムを手に入れる

といったサイクルを永遠に繰り返していくことになります。
しかし、これではユーザーは課金をしてくれないため、一定のラインで難易度を上げる必要が出てきます。

どのように難易度を上げるのかと言えば、自分が強くなるペースを下げるという方法が一般的です。

スマホゲームをやっていれば、最初の1カ月くらいはサクサクすすんだのに、突然クリアできない面ばかりになり、クリアできるようにするためには沢山のパワーアップアイテムを時間をかけて集めなければならない、という経験をしたことのある方も多いと思います。

ここで、

  • そのまま諦めてゲームを辞める
  • 時間をかけて、頑張ってパワーアップする
  • 時間はかけたくないので課金する

という3つの選択肢がユーザーに用意されているわけです。

この状態になるタイミングはゲームによって大きく異なります。
知名度の低いメーカー、ゲームタイトルでは、この段階が早く訪れると、ユーザーはどんどん脱落してしまい、利益になりません。

そのため、初期の「艦隊これくしょん」などはまったく課金をせずとも長く遊べるようになっていました。

多くのユーザーに面白いと思ってもらい、長くプレイをさせることで、知名度や人気を集めることが課金よりも優先されるのです。

しかし、コロプラなどメーカーが有名なタイトルであったり、ガンダムやドラゴンボールなどタイトルの知名度が高いものは、ファンが多くいたり、そもそも早い段階でゲームを楽しいと思わせるノウハウが蓄積されていたりするため、早い段階で課金ポイントを設定したほうが、ユーザーから長い期間お金を集めることができるため、得策となります。

特に膨大な開発費がかかっているゲームの場合、初期からお金を集められるようにしないと、ゲームの運営費だけで赤字が積み重なってしまう危険があるので、このタイミング設定はかなり重要になってきます。

このように、スマホゲームの課金は様々な知識の蓄積と、見込まれるユーザー数、そして実際に開発者がプレイして感じたバランスを組み合わせて、ゲーム毎に的確な課金ポイントが設定されているのです。

(書いた人:考務店)