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希望は本当にないのか。がんばらない30代男性たちの仕事観

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調査会社クロス・マーケティングが平成27年8月に発表した「若手社員の出世・昇進意識に関する調査」によると、若年層ビジネスパーソンの出世意向が低下しているそう。

特に、30代の出世意欲の低迷が顕著で、出世したくない人の割合の方が多いのが気になるところ。30代といえば、一般的には出世街道まっしぐらの世代なのですが、彼らがそう思う胸の内はいったい…?

30代が給与よりもとりたいワークライフバランス

同調査では、出世したくないと回答した人に対し、その理由についても調査しており、その結果が下図の通り。20代では「責任の範囲が広がるのが嫌だから」が1位で44.6%、2位は「ワークライフバランスのとれた生活をしたいから」で40.6%、3位が「出世をしても給与・年収がそれほど上がらないから」で31.7%となっています。

30代では「ワークライフバランスのとれた生活をしたいから」が1位で44.8%、2位が「出世をしても給与・年収がそれほど上がらないから」で40.7%、3位が「責任の範囲が広がるのが嫌だから」で33.1%となっています。

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20・30代に共通して、出世=仕事に忙殺され、ワークライフバランスが取れないというイメージがあるのでしょうか。また、出世をしても給与・年収がそれほど上がらないからの数値を見ると、30代はより高く、同世代には諦観を抱いている人が多いのかもしれません。

しかし、ここで気になるのは、ワークライフバランスの“バランス感”。ワークとライフのバランスは人によって様々ですが、人は怠けやすい生き物ゆえ、どんどんライフの占める割合が増えてしまうのではないか、という気も…。また、生活を優先していくと、相対的に労働時間は減り、昇給や評価につながるような仕事のアウトプットはできなくなってしまうのでは…という気もします。

30代メーカー勤務のAさんの体験談

大手自動車メーカーに勤務して、勤続7年のAさん。同期のなかでもすでにプロジェクトリーダーも現れるなど、やや出世街道から外れているのではないかと、焦りを感じていた矢先、上司から転勤のお伺いが。

なんでも、来年度フィリピンに新しく工場を作るということになり、現場でのスタッフの教育と品質管理を行うための人材を探しているそうだ。会社のグローバル事業に対する期待は大きい。Aさんからすれば、その現場の長になり、実績を残せば出世につながるかもしれないビッグチャンスです。

しかし、気になるのは小さい我が子と妻。2年前に結婚し、子もこれから手がかかる時期。妻も働いており、自分がいなくなれば家事や子育て負担が妻にふりかかる。それによって妻が働き続けることが難しくなり、家計を苦しめるかもしれない…。そう思うと…。

熟考の結果、後日Aさんは今回の転勤の話を辞退したのだといいますが、Aさんは今でもその時のことを思い、“やはり行くべきだったのではないか”と自問自答しているのだそう。

見知らぬ環境で仕事をすること、家族や経済のことを考えると、なかなかおいそれと判断しにくいことは確かです。そして、転勤をしたからといって、必ず出世コースに乗れるとは限りません。しかし、会社からすれば新しい工場の長ともなればある程度期待できる人材にしか声をかけないのも事実。新天地で一定の評価を出せば、出世にはつながらないとしても、評価はつながったでしょう。

リスクを回避するコースは得るものが少ない

前述、ワークライフバランスを手に入れたいからが1位にありましたが、転職サイト『DODA』が2010年に25~34歳のビジネスパーソン1000人を対象に行った行った調査によると、高年収な人ほど、ワークライフバランスがとれていると回答しています。立身出世して良い年収を手に入れると、理想のワークライフバランスも手に入れやすいのかもしれません。ワークライフバランスを追い続けるあまり、出世から遠くなっては、長期的な視点で見るとワークライフバランスも失ってしまうかもしれませんね。

(書いた人・考務店)