スマホに取って代わられ、じきに姿を消すと思われていたガラケーこと、フィーチャーフォン。一時期は新製品の発売もストップしていましたが、最近では毎シーズン新製品が数機種登場して存在感を示しています。そんなガラケーの最新事情を、ガラケーを使うメリットと合わせてご紹介いたします。
ガラケーとスマホの境目は曖昧に…
「スマホじゃないものをガラケーと呼ぶ」と言ってしまえばひと言ですが、ガラケーのようなスマホがあったり、スマホのサイトが見れるガラケーがあったりと、昨今その境界はかなり曖昧。ここでは、携帯電話各社がスマートフォン以外の商品として販売している通話機能を持った端末を、ガラケーとしてご紹介します。
ターゲットユーザー別? 特色溢れるガラケー
2015年夏モデルとしてガラケーを発表したのはNTTドコモとauの2社。どちらも共通点として、折りたたみ型の端末、Android OSを搭載し、LINEやスマホサイトの表示に対応しています。しかし、想定するターゲットユーザーは2社それぞれが異なり、別のアプローチでガラケーを再定義しています。
NTTドコモのガラケーは2015年夏モデルでは2機種が発表されており、いずれもFOMAのみの対応、つまりはLTEの価格の高い通信プランを選択しなくてすむというメリットがあり、「通信速度が遅くてもいいから月々の維持費を安くしたい」というターゲットが見えてきます。以下は、その機種特色です。
ARROWS ケータイ F-05G
連続待ち受け時間930時間(iPhone6は250時間)というスタミナがウリの機種です。スタミナのために、色々切り捨てたのか、GPSもおサイフケータイも非対応となっています。また、らくらくホンなどに搭載されていた、通話を聞き取りやすくするための機能があるのも、らくらくホンをNTTドコモで作り続けてきた富士通ならではです。
AQUOS ケータイ SH-06G
こちらは本体のキー部分がタッチセンサーになっており、キー部分をタッチしてスライドさせることで、スマホのように操作ができると言う機能がウリです。他にもF-05Gには搭載されていなかったGPSが搭載されていますが、こちらもおサイフケータイには非対応です。
価格はどちらも新規一括で3万6288円。2年縛りの割引サービスを受ければ、実質負担額は1万368円とスマホに比べるとかなり低価格です。電話としての使い勝手とメールやLINEなどと言った、最低限のコミュニケーション機能を搭載し、それ以外を排除することで低価格を求めるユーザーを狙っているのがNTTドコモの戦略のようです。
対し、高リテラシーユーザー向けに展開するau
auのガラケーは2015年夏モデルでは1機種のみです。NTTドコモとの一番の違いは、積極的にスマートフォンの最新技術を取り込んでいると言うことです。具体的には、高速通信のLTE、高音質通話が可能なVoLTEに対応しています。以下は、その機種の特色です。
AQUOS K SHF32
まさに一時期発売されていた、物理キー付きのAndroid端末を彷彿とさせるスペックなのがauのAQUOS K SHF32です。既に春モデルで発売していたAQUOS K SHF31の後継モデルとなるのですが、違いはVoLTEに対応し、高音質な音声通話が可能な点がメインです。
NTTドコモのSH-06Gと同じく、キー部分をタッチパネルのように使える機能など、機能的な重複は多いですが、こちらはおサイフケータイはもちろん、Wi-Fi接続や、なんと携帯をモバイルルーターとして使える「テザリング」まで対応しています。価格は新規一括で4万3200円。
2年縛りの割引サービスを利用すると、実質負担額は2万1600円となり、機能が豊富な分、ドコモの端末より割高になっています。
料金形態 NTTドコモはFOMA端末の料金プラン
NTTドコモのガラケーはLTEに対応していないため、Android搭載でもFOMAプランの料金が適用されます。
LTEですと定額4700円、または定額5700円のプランしかありませんでしたが、FOMAでは上限4200円の2段階定額が選べるため、特にアプリなどの大容量通信をしない人にはコストをぐっと抑えることが出来る可能性があります。
auのガラケーは通話プランに無料通話分が含まれた、ガラケー自体に他プランが用意されています。しかしパケット通信はスマートフォンと同じプランとなっており、元々auはデータ量最大2GBから1GB単位で用意されているため、データ通信費を抑えるという意味では、ガラケーを使う意味はまったくありません。
あえて言うならば、端末価格がスマホよりも安いのがメリットですが、半年前の機種が投げ売りされる現在では、あえてauでガラケーを選ぶメリットは、ガラケーの電話をしやすい形状にこだわる場合のみと言えるでしょう。
ただし、上記プランはAQUOS Kシリーズのみで、従来から販売されているLTE非対応の「GRATINA2」および「MARVERA2」はパケット定額を外すことで、1200円からの運用も可能です。
国内携帯キャリアにこだわらなければ、 SIMフリー×海外端末も
そもそもSIMフリー端末を格安端末で使うのであれば、スマホでも充分安いのですが、SIMフリーのガラケーを使うという選択肢もあります。
格安SIMメーカーから登場「Simple」
現在国内の格安SIMメーカーでは、FREETELが「Simple」という通話とSMS機能のみという、名前通りシンプルな端末を発売しています。「Simple」は機能を絞った代わりに価格が安く、本体が5890円、基本料金が月々899円というコストパフォーマンスの高さがウリです。
ただし、格安SIMメーカーと言うことで、NTTドコモやau、Softbankのような手厚いサポートは期待できません。
海外で発売され話題の「Nokia 222」
最近海外で発表されて国内でも話題になったのが、Microsoftの「Nokia 222」です。世界一の携帯電話メーカーだったNokiaは2014年4月にMicrosoftに買収され、現在はMicrosoftがNokiaブランドで携帯電話を販売しています。
そんなNokiaの新製品として発表されたガラケー「Nokia 222」は37ドルという低価格でありながら、Facebook、Twitter、Skypeが使え、フルブラウザ「Opera Mini」が搭載されるという、至れり尽くせりのガラケーです。
今のところ日本では使用できない「GSM方式」のみの対応ですが、最近再び日本で携帯電話を展開しようとしているMicrosoftなので、もしかしたらSIMフリーガラケーの大本命になるかもしれません。
一時期は世界中の携帯を突き放すほどの高スペックだらけだった国内のガラケーですが、現在はスマホの過剰な機能を不要と考える、むしろ低スペック路線のニーズを満たす端末としてその存在意義が見いだされています。
特に日本では、スマホがハイスペック機しか売れないという状態が長く続いており、安く端末を手に入れたいというニーズを満たすためには、ガラケーが選択肢のひとつとして、今後も使われ続けるのでは無いでしょうか。
(書いた人・考務店)