スマートフォンにはデフォルトでインストールされているカレンダーアプリ。カレンダーアプリで仕事のスケジューリングをしている人も多いはずです。カレンダーアプリ自体も、データのクラウド化により、スケジュールをチームで共有することが可能になり、予定管理としては必要十分になってきています。
しかし、カレンダーアプリなどスケジュール管理ソフトでは、仕事のスケジュール管理に限界を感じている方も多いと思います。
そこで、プロジェクト管理ツールの出番です。
プロジェクト管理ツールではタスク、工数、そして進捗という概念が含まれていることがカレンダーアプリとの大きな違いです。例えば、カレンダーアプリで仕事のスケジュールを管理した場合、誰がどれくらいの仕事を抱えているのかをぱっと見で判断するのは困難です。
また、特定の作業を複数人で行う場合に、それぞれの人が終始同じ作業にかかわっていられるとは限りません。このような、スケジュール管理ツールでは管理することが難しい複雑な作業の管理を可能にするのがプロジェクト管理ツールです。
プロジェクト管理ツール入門
みんな大好きガントチャート
プロジェクト管理を意識したことが無い人でも、恐らく見たことがあるであろうガントチャート。プロジェクト管理ツールを導入する理由として、「ガントチャートが作れるから」と言う人も少なくは無いでしょう。
とはいえ、ガントチャートはプロジェクト管理ツールではなくても、Excelなどで作成することができます。では、なぜガントチャートを作成するためにプロジェクト管理ツールを導入する必要があるのでしょうか。
WBSと見積もり
プロジェクト管理ではWBSという単位で作業を分けることが一般的です。
WBSとは作業を最も細かく分けた単位のことで、例えば「報告書を作成する」といった作業であれば、「資料を集める」「会議に参加する」「議事録を作成する」などと細かく分けられることが考えられます。この、WBS単位で分けられた作業に見積もりを付けることが、プロジェクト管理のスタートとなります。
実はこの段階で、WBSを作業順に並べ替えるだけで、作業のスケジュールはできあがっています。もし、全ての作業を終えるまでの時間が納期に間に合わない場合、優先度の低い作業を取りやめたり、ゆっくりやる予定だった作業を急いでやることにしたり、といったことを、実際に作業に取りかかる前に調整できるため、納期直前にバタバタすることをある程度防ぐことができます。
また、作業順が決まった段階で、プロジェクト管理ツールでガントチャートを表示すれば、難しいことを考えるまでも無くガントチャートが作成されています。見積もりや作業順序を変えれば、自動的にガントチャートの内容も更新されています。見積もりの他に、実際に作業にかかった時間を記録すれば、誰が予定より作業が遅れているのか、作業に余裕があるのは誰かといったことまで把握できます。
メリットとデメリット
このように、複雑な作業の工程の把握、進捗の管理があまり手間をかけずに行うことが出来るのが、プロジェクト管理ツールのメリットです。
しかし、WBSの作成や見積もりの作成、進捗を記録するなど、今までやってこなかった作業をやらなくてはならないという心理的障壁はかなり高く、特に一緒に作業をするメンバーにこれらを強いることはかなりハードルが高いことが多いです。
このため、やると効果があるのはわかるけれども、なかなか導入が進まない…といった悩みがプロジェクト管理を行いたい人にとってはついて回る問題となります。
どんなツールがある?
プロジェクト管理ツールは、上記のようにプロジェクト管理を楽にするために作られたソフトウェアです。
Redmine
日本では最もメジャーなプロジェクト管理ツール。最大のメリットは無料で導入することができるということでしょう。もっとも、無料とはいっても、動作させるためのサーバを用意するなど、かなりのITスキルと根気が必要なツールです。
国内では様々な機能拡張が用意されており、特にソフトウェア開発では大抵の制作パターンをまかなうことが出来るでしょう。
Backlog
わかりやすい操作方法とシンプルな機能で、IT系以外の仕事でも人気のツール。シンプルさ故に、あまり多くのことは出来ませんが、その分導入の敷居は低異というメリットがあります。
反面、ガントチャート作成や、メンバーによってプロジェクトにアクセスする制限をかけたいなど、多くの機能を使いたい場合は、月額7800円以上のプランを選ばなければならず、結果的にコストが高くなる恐れがあります。
JIRA
ソフトウェア開発業界では有名どころのアトラシアン社制作のプロジェクト管理ツール。機能的にはソフトウェア開発にかなり特化していますが、非常に多機能であるため、他の業種でも充分に使えるようになっています。
アトラシアン製品は10名までの小規模メンバーで使用する場合、価格がかなり抑えられているのも特徴で、JIRAも月$10で全ての機能を利用することが出来ます。
ただし、基本的にはソフトウェア開発用のプロジェクト管理ツールなので、全ての機能を使いこなそうと思うと、かなりの習熟期間が必要になります。
Microsoft Project
通称MS Projectと呼ばれる、プロジェクト管理ツール。以前はMicrosoft Officeの上位バージョンに付属していましたが、最近は単体のソフトとして販売されています。
Microsoft製ということもあり、Officeを使い慣れているユーザーであれば直感的に操作ができるインターフェースや、Excelなどからタスクを取り込む機能などが充実しています。
価格はかなり高価で、下位バージョンでも6万円以上、上位バージョンは10万円以上することと、Windowsでしか使えないことが難点です。
JOOTO
比較的新しいプロジェクト管理ツールで、上記ツールとはちょっと異なった使い方が想定されています。こちらのツールは「かんばん」といわれるプロジェクト管理方法に特化したツールで、ガントチャートやWBSといった表示は無く、付箋を作業状態に合わせて移動するだけというシンプルなツールになっています。
実はこの方式はトヨタ自動車が工場で使っている方式をデジタル化したもので、実際にこの機能だけで作業を管理することは十分可能です。また、こちらのツールはサイトのアドレスにアクセスするだけで、PCでもスマートフォンでも同じ機能が使えるという特徴があります。そのため、出先でスケジュールや作業を調整することが多い人には魅力的なツールとなるのでは無いでしょうか。
(書いた人・考務店)