「富山駅近くで、おすすめの観光スポットって何かある?」と聞かれた時、たいていの富山県民は悩んでしまいます。
なぜなら「富山駅近で見るものが、全然思いつかないから」。
地元の特産物を食べたり、お土産を買ったりするならば、とやマルシェやマリエとやま、いきいきKANなどが、ぱっと思いつくのですが「富山らしくて、行って見て楽しい所」というのは意外と無いのです。
そんな中で「徒歩10~15分くらい歩いても良いなら……」とおすすめしたいのが、今日紹介する富山富岩運河環水公園(とやまふがんうんがかんすいこうえん)です。
富山駅から徒歩10分の距離にあるとは思えない、郊外の雰囲気漂う広々とした都市公園で、各メディアで何度も取り上げられた「世界一美しい」と言われるスターバックスがあります。
富山駅北口から徒歩10分
▼富山駅北口
富岩運河環水公園はJR富山駅北口から徒歩で約10分の距離にあります。
正直、今まで「環水公園って、岩瀬(富山の北側、海に近い地域)の方なんだろうなー」と思っており、一度も行ったことがありませんでした。
その為「実は富山駅から、かなり近い」と今回初めて知って非常に驚きました。
ちなみに富山駅近くには観光名所らしいものは少なく「富山城址公園」や「富山市役所展望塔」、「富山市ガラス美術館」などへ行くには、徒歩で20~30分ほどかかります。路面電車のセントラムを使っても、ちょっと早くなるくらい。
「富山駅近くで、ふらっと寄りやすい観光名所」としては、環水公園が断トツの行きやすさだと思います。
ちなみに富山城址公園や富山市ガラス美術館などがあるのは、富山駅南口(中央口)側の富山市中心街の方です。
その為、環水公園とは正反対に位置しており、環水公園→富山駅→富山市中心街というルートを辿る必要があります。
富山駅北口への行き方
富山駅の改札口には「北口」と「南口(正面口・中央口)」の2ヶ所があります。
"Toyama station position" by ButuCC - 投稿者自身による作品. Licensed under CC 表示-継承 4.0 via ウィキメディア・コモンズ.
環水公園の最寄り改札口は「北口」。
▼岩瀬浜まで行ける路面電車「富山ライトレール」乗り場があります。
▼余談ですが、ライトレールではラッピング車両を良く見かけます。この時は「鉄道むすめ」。
あまり富山駅を利用したことが無い人からは「北口への行き方が良く分からない」という声も良く聞かれるので「新幹線からそのまま北口へ行く」と「南口・中央口から出た後に、北口へ向かう」場合の行き方をそれぞれ紹介したいと思います。
新幹線→北口
新幹線2階(中2階)に、あいの風とやま鉄道やJR高山線の在来線へ連絡する改札口を利用することで富山駅北口へと出られます。
北陸新幹線開業当時は「富山駅(新幹線)→富山駅北口」の通り抜けが出来ませんでしたが、2015年4月20日に改札口が新たに設置されたことで通り抜けがOKになりました。
新幹線を降りたら、新幹線2階(中2階)にある「のりかえ出口」へ
富山駅(北陸新幹線)の改札口は、1階南北自由通路にある「中央改札口」と、お土産屋や食事処が入っている商業施設「とやマルシェ」内に通じる「2階(中2階)改札口」があります。
自動改札口に手持ちの乗車券を通すと全て回収されます。
改札を抜けたら、向かって右側にある「通行券発券機」へ向かいます。
▼通行券発券機のボタンを押すと、富山駅北口方面へ行ける「通行券」が発券されます。
▼あいの風とやま鉄道、高山線、富山駅北口への改札口を通ります。
後は駅構内の案内に従って、富山駅北口へ向かうだけ。
改札口から北口までは思った以上に距離があるので注意。
北出口で駅員さんに通行券を渡せばOKです。
特急サンダーバード時代は手元に乗車券が残るので、それを渡せば良いのですが、新幹線の場合は自動改札で全部取られてしまうので、新幹線を利用した証拠として「通行券」が必要になるのです。
ちなみに新幹線開通後に初めて北口を利用した時、通行券の存在に気付かず、発行し忘れたまま改札を出ようとして、駅員さんに止められたことがあります。
私が新幹線利用客だと分かると「次回からは通行券忘れずに取って下さいね」と、駅員さんも慣れた感じで、そのまま通してくれました。
新幹線を利用時は「のりかえ出口で通行券の発券」を忘れずに。
南口→地下道→北口
富山駅南口から北口へ行くには、地下道を通ります。
一度改札を抜けた後は、地上から南口⇔北口を行く方法は一切ありません。
南口を出ると地下道の入口があるので、階段orエレベーターで降りた後は、ずっと右に向かって進むと北口への出口があります。
非常にシンプルな構造の地下道なので、案内表示に従って進めば、ほぼ迷うことも無いです。
2014年3月に北陸新幹線が開業しましたが、地下道は昔と何も変わらず「エレベーター無し」「地下街無し」「天井が低く、狭くて暗い」の通り抜け専門に特化しています。
人通りが全然ないと、一人で通るにはちょっと怖さすら感じるので、富山のイメージアップの為にも、もう少し何とかして欲しいものです。
車でもOK!駐車場完備
富山は日常生活の足の為「一人一台」が当たり前な車社会。
富山富岩運河環水公園では、駐車場が171台分用意されています。
利用時間は9~21時、駐車料金は無料。
富山市中心部でも駐車場は点在していますが「最初の1時間300円、30分ごと100円」と有料なので、車で行ってもお金が掛からないのは良いですね。
スターバックスコーヒーに隣接している駐車場もあり、スタバがダダ込みだった年末でも問題なく利用できました。
スタバ環水公園店
富岩運河環水公園を訪れた際、是非とも利用したいのが「スターバックス富山環水公園店」。
国内初となる都市公園内に出店した店舗で、景観に合わせたオリジナルデザインのコンセプトストアの代表的な存在です。
2008年9月にオープンした当時「富山でスタバ」自体が珍しかったこともあり、たちまち人気スポットになりました。
ちなみに国内1,000店舗以上あるスタバですが、都市公園内にあるのは珍しく、他には東京の「上野恩賜公園」と「二子玉川公園」、福岡の「大濠公園」くらいしか無いのです。
全面ガラス張りの窓からは富岩運河が一望でき、時間や季節によって、がらりと雰囲気が変わるので、機会があれば何度も訪れたくなります。
客層は恋人や友人同士、家族連れ、外国人観光客など様々。
訪れた日は12月31日の大晦日なこともあり、かなり大勢の人で賑わっていました。
連れの友だちは「休日でも、これほどまで混んでない」と言っていたので、普通の日であればもう少し落ち着いた雰囲気だと思います。
季節を問わず混雑しているので、テイクアウトをして、飲みながら環水公園を散策するのも良さそうですね。
ちなみにパソコンで作業できるような席はありますが、席数が限られているので、あくまでもこの店舗は友人や家族連れがメインでノマド利用はしにくいかなぁと感じました。
「スタバのFree wifi」と「TOYAMA Free Wi-Fi」が使える
スタバ環水公園店では、スタバの無料Wi-Fi「at_STARBUCKS_Wi2」と、富山県が提供する無料Wi-Fi「TOYAMA Free Wi-Fi」が利用できます。
【TOYAMA Free Wi-Fi】
北陸新幹線開業に合わせて、2015年3月14日からサービスが開始。
ネットワーク一覧から「TOYAMA Free W-Fi」を選び、利用規約に同意するだけで、誰でも簡単に利用できます。1回の接続時間は3時間ですが、1日何回でも接続OKです。
サービス提供施設としては、
- 富山駅総合案内所周辺
- とやま観光案内所
- 富山駅バス・タクシー案内所周辺
- きときと市場
- とやマルシェ
- マリエとやま
- 電鉄富山駅
- 富山県民会館(1階ロビー、カフェ、8階レストラン等)
- あいの風とやま鉄道の13駅の待合室
が主に挙げられますが、2015年11月30日から環水公園でも使えるようになりました。
実際にスタバ環水公園店で使えるか試してみたのですが、ちょうど同時期にインターネットプロバイダーの設備故障があり、その影響からかTOYAMA Free W-Fiにも接続できず。。。
「at_STARBUCKS_Wi2」は問題なくネット接続が可能でした。
テラス席は犬OK
テラス席は犬連れOK。
犬のリードを繋ぐ所が何ヶ所もあり、愛犬と一緒にコーヒータイムが過ごせます。
環水公園を散歩コースに選ぶ人も多く、犬と一緒に歩く人の姿も良く見かけました。
「世界一美しいスタバ」って本当?
富山環水公園店は、2008年スターバックスのストアデザインコンテストで最優秀賞を受賞。
その為、一部のメディアでは「世界一美しいスタバ」と呼ばれています。
「世界各国にあるスタバの中で№1美しさなのだから、さぞかしすごい所なのだろう」とかなり期待して行ったのですが、確かに良い雰囲気ですが、正直「世界一にしては、ちょっと物足りないかな……」と感じてしまいます。
- 元々景観が良い都市公園内に出店している
- 見た目重視のオリジナルデザインの店舗がそもそも少ない
- オープンが2008年9月なので2008年度のコンテストで選ばれやすかった
というのが、事の真相だろうなぁと思います。
今回訪れたのは冬の時期というのもあり、より美しいスタバを見たい人は、
- 春や夏:芝生や空が青々とするハイシーズン
- 桜の時期:運河沿いの桜並木が見所。お花見も◎
- 夕方:辺り一面が夕日や夕焼けに染まって綺麗
- 夜景:ライトアップされるので、雰囲気が抜群
の晴れの日を狙って行くことをおすすめします。
スタバだけじゃない!環水公園の魅力を紹介
富山富岩運河環水公園は面積が9.7haもある広大な都市公園。
ネットメディアを見るとスタバだけを取り上げている記事が多いのですが、環水公園は日本の歴史公園100選の一つにも選ばれており、他にも見所がたくさんある所なので、スタバだけ行って帰るのは非常にもったいないことです。
所要時間2時間を目安に、見て回りたい魅力的なスポットをまとめてみました。
泉と滝の広場
川の最上上流をイメージする滝と、湧き水をイメージする水盤があります。
滝は20分ごとに作動。ライトアップ時は幻想的な雰囲気を見せます。
レンガの柱や壁は、ちょっとした写真撮影にも使えそうな感じですね。
天門橋
三本の橋を合体させた変わった形の橋。環水公園のシンボルの一つ。
両側の展望塔(エレベーター有り)からは環水公園全体が見渡せ、景色が良ければ立山連峰も一望できます。
基本的に富山の天気は「くもり」か「雨」の2択なので、天気の良い時を狙って訪れることをおすすめします。
赤い糸電話
高さ20.4mの展望塔には赤い糸電話が設置されており、もう一方の展望塔にいる相手と会話ができます。
ただし冬期(1~3月)は利用中止。
赤い糸電話自体撤去されているので、実際に試せませんでした。やや残念。
野外劇場
演劇やコンサートにも使える水辺のステージ。
軽食をとったり、一休みしたりと、休憩スペースにも使うことが多いです。
富岩運河
富岩運河は海まで続く長さ5.1kgの運河です。
環水公園から中島閘門(かんもん)までは、約2kmの散策路が整備されており、片道30分、往復で1時間ほどのちょうど良い散歩&マラソンコースになっています。
実際に2015年の富山マラソンでは、5km、3km、2kmコースが、この富岩運河を走るコースに設定されていました。
散策路には休憩スペースや謎のオブジェ、ちょっとした遊び場がありますが、基本的にひたすら歩くだけ。良い時間つぶしにもなります。
中島閘門
閘門(こうもん)とは、運河や放水路で水量を調整して水面を一定にさせ、水位の違う水路の間で船を上下させる為に使われる装置のこと。
中島閘門では海と運河の水面の高低差2.5mを調整します。国指定重要文化財。
観光船「富岩水上ライン」にて通過することも可能です。
▼中島橋
▼閘門操作所
富岩水上ラインで運河クルーズを楽しむ
環水公園から中島閘門を通り、岩瀬まで行く運河クルーズ「富岩水上ライン」が4月から11月末まで運行しています。
県の旅客船「fugan」と「sora」(各定員55名)、市の電気ボート「もみじ」(定員11名)の3隻があり、環水公園から中島閘門までの「中島便」と、環水公園から岩瀬までの「岩瀬便」が、1時間に1~2本のペースで定期的に運航されています。
料金は片道500円~。
「行きは歩きで、帰りは運河クルーズ」というのも良いですね。
ベストシーズンは「桜の時期」
今回訪れたのは年末の昼間でしたが、環水公園のベストシーズンは「桜の時期」です。
正直、12月~3月の冬期はオフシーズン真っ只中。
運河クルーズもなく、芝生の色もくすみがちで、空はくもりがち、そもそも積もった雪であちこち歩けない可能性が高いので、是非とも暖かい時、特に桜の時期をおすすめします。
環水公園の魅力は、何と言っても富山駅から近いのに、郊外の雰囲気が満点で、ゆっくり過ごせること。
「まだ帰りまで時間があるけど、何しようか」と思った時にでも、気軽に訪れてみて下さい。
(書いた人;昼時かをる)