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リピーター率が半端ない!映画館離れを救うカギは観客参加型の「応援上映」にあり?

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最近、映画館で映画を見ましたか?

「一年以内に映画館で映画を見た」という人が三人に一人という「映画館不況」とも言われる時代の中で、最近「応援上映」と呼ばれる上映方法が、一部のファンを中心としてじわじわと人気を集めています。

「応援上映では、何を応援するのか?」と疑問に思う人も多いと思いますが、ズバリ「スクリーンに映る登場人物たち」です。

「圧倒的な楽しさ」と「圧倒的なリピート率」で、異例のロングランを記録する作品も少なくない、応援上映の魅力について紹介します。

最近話題の応援上映とは?


音出し・声出し(拍手・手拍子・声援)がOK

「映画は静かに観るもの」という概念をブチ破って楽しめるのが応援上映の面白い所です。

贔屓の人物が初登場した時に名前を呼んだり、黄色い悲鳴を上げたり、気になる台詞に突っ込んだり、ライブシーンで声援を上げたり……。

作品によっては、登場するキャラクターになりきって台詞を話す(=アフレコをする)「字幕シーン」もあります。

キンプリ(KING OF PRISM)には「はっきりと顔が描かれておらず、声が付いていない(=台詞は字幕)」という女性キャラが登場して、主要キャラクターとやり取りをするというシーンがあり、観客が女性になりきってアテレコする「プリズム☆アテレコ」というお楽しみ要素があります。

応援グッズ(サイリウムライト、ペンライト、うちわ、お面など)OK

応援上映とは、アイドルや音楽グループなどのコンサートで「応援グッズを使いながら、相手に向けて声援を送る」と変わらない応援ができる、上映スタイルのこと。

応援上映が行なわれる作品には、劇中にライブシーンがある場合が多く、各キャラクターのイメージカラーのサイリウムや応援メッセージを書いたうちわを振ったり、一緒に歌ったり、曲に合わせて手拍子したり、拍手したりしながら、まるで目の前でライブが繰り広げられているかのような感覚で観られます。

映画をオペラやミュージカル、宝塚のように、自分は音を一切出さす、ただ静かに鑑賞するのではなく、ライブビューイングのように「他の人と一緒になって盛り上がれる」というのが大きな違いです。

コスプレOK

応援上映の魅力の一つに「コスプレOK」があること。

実際に応援上映を行なっている劇場では、結構な割合でコスプレをしている人を見かけます。

  • 自分の推しキャラのコスプレをして作品を鑑賞できる。
  • 好きなキャラクターのコスプレをした人が見られる。
  • 同じ作品が好きなコスプレイヤーと知り合える。
  • 声を掛けられたりなど、何かと良い扱いが受けやすい。

というのがメリットとして挙げられます。

各映画館の応援上映に関する注意書きを見ると、

お着替え等の場所のご用意はございません。
また劇場内トイレでのお着替えはご遠慮ください。
お化粧直しにはパウダールームをご使用頂き、洗面台の占領行為はおやめください。

という文章も。

コスプレイヤーさんによる長期的なトイレやパウダールームの占領を防ぐ為の注意書きだとは思うのですが、正直「コスプレOK」としながらも「どこで着替えをしたり、メイクをしたりすれば良いのか?」に関する公式的なアナウンスが無い場合は、ちょっと手を出しにくい応援スタイルですね。

簡易的な更衣スペースを設けている劇場もありますが、ごく一部に限られているのが現状です。

その為「車の中で着替える」「コス衣装はコートや上着で隠して着ていく」「普段着に見える部分は着て行き、劇場で上着やグッズを身に付ける」という人も多いよう。

紙吹雪やクラッカーは「マサラ上映に限る」

応援上映と異なるのが、クラッカーや紙吹雪がOKなこと。より大々的に盛り上がれるのが特徴です。

塚口サンサン劇場(兵庫県尼崎市)では、2016年2月27日と3月5日の2日間「マサラ上映」という形で『劇場版ガールズ&パンツァー』の応援上映が行なわれました。

ガルパンは簡単に言えば「少女たちが戦車に乗って試合をする※」という作品なので、砲撃に合わせて鳴らされるクラッカーの硝煙と合わさって、かなりの臨場感が出たようです。

中にはイラスト入りの紙吹雪を手作りをした人もおり、マサラ上映の記念に持って帰る人も。

「後片付けや掃除が大変」という理由で、マサラ上映以外の応援上映では紙吹雪やクラッカーを使わないことが多いですね。

鳴り物系(笛、クラッカーなど)もNG。

応援上映の映画(一部)

では実際に、どのような作品で応援上映がなされているのでしょうか?

近年の応援上映のはしりと言えるのが『劇場版 プリキュア』の「ミラクルライト」や「ミラクルステッキライト」。

物語の途中で、プリキュアが敵に負けそうになり、ピンチになる場面で、観客の子どもたちがミラクルライトを点灯しながら「プリキュアー!がんばれー!!」と応援するのが、2007年公開作品以来の恒例になっています。


また「応援上映」とはちょっとニュアンスが違うのですが、アナと雪の女王(2013年)の「みんなで一緒に歌おう!」も観客参加型の上映方法でした。

これは、作中の劇中歌『Let it go(レット・イット・ゴー) ~ありのままで~』の歌詞字幕を付けて、エルサと一緒に歌えるというもの。

最初から全編を通じて応援上映をすることを前提にした作品が作られたのは、かなり最近の話です。

例えば『キンプリ(KING OF PRISM)』や『プリパラ』はその代表的な作品でしょう。

今までは小さな子ども向け&演出の一部に応援、というイメージが強かったのですが、キンプリは中学生以上~大人向け&全編を通じて応援上映を前提とした内容になっています。

どちらも「キャラクターがステージで歌って踊る」というライブ要素がある作品になっています。

他にも、元々は応援上映向けに作られていない作品でも、大ヒットを受けて応援上映回を設ける劇場も出てきました。

最近だと

  • 遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS
  • ガールズ&パンツァー(塚口サンサン劇場のみ)

が良い例でしょうか。

この場合は「毎日一回は応援上映回がある」という定期的なものではなく、単発的なイベントとして行なわれることが多いです。

昔の観客参加型との違いは?

「観客参加型の映画」として忘れてはいけないのが「The Rocky Horror Picture Show(ロッキー・ホラー・ショー)」。

「観客が一緒になって騒ぐ」というスタイルは同じなのですが、最近の応援上映とは異なる点が多々あります。

  • ファンがスクリーンの前に出て演じる
  • 立って踊ったり跳ねたりする
  • 水鉄砲を使う
  • 生米を投げる
  • クラッカーや紙吹雪を使う

などが有名所でしょうか。

「えっ、これ大丈夫なの?」と思うようなことも、公開当時の70代(〜80年以降)には行なわれていました。

※もちろん劇場によっては、禁止されている行為もあります。

ファンがスクリーンの前に出て演じない

ロッキーホラーショーは、熱狂的なファンがスクリーンの前に立ち、登場人物と同じように立ち振る舞ったり、踊ったりするのが、観る楽しみの一つでした。

またライブビューイングでは、盛り上がる曲の時は「立って声援を送る」という人も多いのですが、応援上映の場合は「座って応援スタイル」。

大盛り上がりのライブシーンでも、座って見なかまら、一緒に歌ったり、声援を送ったり、サイリウムを振る程度です。

立ったり、一緒に踊ったり、体を動かしたりすることは、一部を除いてありません。
 
踊れるコスプレイヤーさんが前に出て、一緒になって踊ったら、確実に大盛り上がりだろうな……とは思うのですが、特別な機会が無い限り実現はむずかしそうです。

持ち込みに制限あり

劇場によってはクラッカーや紙吹雪の使用をOK(マサラ上映の場合)と認めていますが、まだまだ少数派。

またロッキー・ホラー・ショーの序盤、結婚式で新郎新婦にライスシャワーを浴びせて祝福をするシーンがあり、その再現として「生米を投げる」というのがあります。

応援上映では、そもそも劇場館内以外の飲食物の持ち込みは不可なので、生米は当然のことながら投げられません。

また「米の代わりに紙吹雪!」とも思うのですが、一部の劇場を除き、紙吹雪はNGです(理由:後片付けに一苦労するから)。

ちなみに生米が至る所に投げられた劇場では、ネズミなどの害が発生してしまい、結構大変だったのだとか……。

作品によっては、物語のキーとなる料理や食材が出ることもありますが、その場合は食品サンプルを持ち込みましょう。

いかがでしたか?

映画館で映画を観ない理由で多いのが「鑑賞料金が高い」「自宅で観た方が楽」という意見です。

それは「劇場で観るから、より楽しめる要素を、その作品が持っていない」と言い換えることもできます。

実は応援上映はリピーター数が半端無く多いのです。

先ほど紹介したキンプリは、異例のロングランとなり、現在、興収5億円、動員30万人突破の大ヒットとなっています。
 
「応援上映」という上映方法が、映画館に何度も足を運ぶ理由になっていることが良く分かりますね。

ちなみに、私は今まで同じ作品を映画館で6回観たことがあります。その理由の一つが「映画館で聞こえる音が素晴らしく良かったから」。

これらは自宅のごく一般的なTVパソコンでは、味わえない、映画館ならではの醍醐味です。
 
応援上映を始めとして「鑑賞料金が高い」「自宅で観た方が楽」など映画館で観ることのデメリット以上の+αの付加価値があることが、映画館離れを救うカギと なるのではないでしょうか。

(書いた人:昼時かをる)