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株式投資で損失が出た場合、譲渡損失の繰越控除をすると節税できます

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株式投資で利益が出ると、そのうち約20%が税金として取られます。つまり、100万円の利益が出た場合、20万円の税金を支払うこととなり、手元に残るのは80万円だけとなります。

ただ、多くの人が「特定口座」を使って投資を行っていると思うので、20%の税金はあまり意識したことがないと思います。なぜなら「特定口座」で取引した分については、証券会社が自動的に税金の計算・納税をしてくれるため、確定申告の必要がないからです。特定口座は非常に便利なしくみです。

また、以下の金融商品は損益通算が可能です。

  • 国内上場株式等(国内上場株式、国内上場ETF、ETN、REIT)
  • 国内公募株式投資信託
  • 契約型外国投資信託
  • 会社型外国投資信託

つまり、投資信託で50万円の確定利益が出た場合、本来ならその20%にあたる、10万円が税金として取られます。しかし、もしその時に個別株式で50万円の損失が出ている株があれば、それを売却して損失を確定させることで、「プラマイゼロ」の状態となり、税金はかかりません。これを「損益通算」といいます。

この「損益通算」ですが、損失があった場合はそれを確定させても、翌年以降に持ち越せます。これを「譲渡損失の繰越控除」と言い、最大で3年間は損失を繰り越せます。あまり知られていないのですが、実はすごくメリットのある制度なので、投資で損してしまった時にはぜひ活用したいところ。

■パターン1
①今年投資信託で30万円の損失が発生

②譲渡損失の繰越控除を申請しておく

③翌年、株で30万円の利益が出た場合、昨年の損失と合算してプラマイゼロ。本来発生する6万円の税金を払わなくて良い。

■パターン2(最大3年間損失が繰り越せます)
①今年、株式で30万円の損失が発生

②譲渡損失の繰越控除を申請しておく

③来年も投資信託で40万円の損失_| ̄|○

④譲渡損失の繰越控除を申請しておく

⑤再来年に株式で大勝利して100万円の利益\(^o^)/
譲渡損失の繰越控除で70万円の損が溜まっているので、合算してトータル30万円の利益。本来なら100万円に対して20万円の税金がかかるが、この場合は30万円に対して6万円の税金のみが発生。

譲渡損失の繰越控除を申請していたお陰で、24万円の税金を節税できた。

儲かったら税金を払え、でも損してもお前の責任('A`)
これではあまりに不利なので、優遇措置として
儲かったら税金を払ってください、でも損しても翌年以降の税金を優遇します^^
という制度があるのです。(ちなみに、昔のFXは「儲かったら税金を払え」の完全に不利な仕組みでした。。)

譲渡損失の繰越控除には確定申告が必要

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「譲渡損失の繰越控除」を行うには、たとえ特定口座でも確定申告をする必要があります。私が生まれて初めて確定申告をしたのは、譲渡損失の繰越控除の申請でした。(しかもその時は無職だった。。)

サラリーマンや主婦の方など、多くの方は確定申告の経験がないと思います。しかし、当時24歳ぐらいだった私でも申請できたので、手続きはカンタンです。

翌年3月15日までに確定申告を行う

個人の確定申告は、翌年3月15日までに行う必要があります。つまり、2015年に発生した損失(含み損ではなく確定済みの損失)は、2016年3月15日までに譲渡損失の繰越控除の内容を記入し、税務署に書類を提出すればOKです。

確定申告の書類は、国税庁の確定申告書作成コーナーから、数字を入力していくだけで完成します。

「確定申告書作成コーナー」から、「申告書・決算書・収支内訳等作成開始」を選択。
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通常は書面提出を選びます。
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譲渡損失の繰越控除を申請する場合は、「所得税及び復興特別所得税の確定申告書作成コーナー」を選びます。
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株式に関する申告は「左記に該当しない方」。わからなければ右側の「質問に答えて作成」でも案内してくれます。
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「株式等の譲渡所得等」の入力するを選択し、詳細ページへ。
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下記のように選択します。もし、前年に譲渡損失の繰越控除をしていたら「はい」、していなければ「いいえ」を選択。譲渡損失は最大で3年間繰り越せるので、前年に申告していれば、前年分の損失も合算できます。昨年に繰越控除を行っていて、今年儲かった場合も同じように申告します。合算することで、税金の還付が受けられます。
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毎年、確定申告のシーズンになると、証券会社から「特定口座年間取引報告書」というものが送付されます。(PDFで交付されるケースもあるので、その場合は証券会社のマイページから閲覧)
こういった書類です。
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特定口座年間取引報告書に記載されている内容をそのまま入力します。
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入力が完了するとこのような感じになります。
複数の証券会社を使っている場合は、続けて入力していきます。
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入力が終わると、すべての証券会社の損益を合算した数字が表示されます。
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元の画面に戻って、株式等の譲渡所得がマイナスになっていることを確認します。
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あとは、案内に従って画面をすすめていくと、最終的にプリントアウトの画面にたどり着くので、すべての書類をプリントアウトします。その後、それら一式を近くの税務署に持って行き提出すればOKです。税務署では提出のみ受け付けてくれるので、その場で指摘されることはまずありません。確定申告シーズンに税務署に行くと、事業者の方などがズラッと列をなしていて、普段あまり見かけない光景に出くわします。

もし書類に不備があっても、あとで修正などの電話が来る程度です。国税局から怒られたり、脱税と言われる心配はないので安心してください。

わからないことがあれば税務署に電話しよう

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どうしても心配な人は税理士さんにお願いする方法もあります。しかし、税理士さんに依頼すると少なからず手数料がかかります。。

そこでおすすめしたいのが、「わからないことを税務署に電話して聞く」方法です。国民の税金を扱う機関ということもあってか、税務署はいつも腰が低く、ていねいに答えてくれます。初歩的な質問に対しても、やさしく回答がもらえます。電話で聞くほかに、直接税務署に出向いて教えてもらうことも可能です。

私は昔、主に事業関連の税務手続きで、わからないことだらけだったので、よく税務署に電話をしてました。

最初は少し戸惑うかもしれませんが、一度覚えてしまうと次年度からはサクサクできるので、(被った株の損失に泣き寝入りすることなく)ぜひチャレンジしてみてください。

ということで

最大3年間損失の持ち越しができる「譲渡損失の繰越控除」はかなりおすすめです。1年目、2年目と連続で損をしていても、3年目で大きく利益が出せれば、これまでの損失がムダになりません。国税局から還付金が返ってくると、結構嬉しいものです。

損失の繰越控除については、証券会社にも詳しい案内があるので、わからないことがあれば税務署と合わせて、証券会社に問い合わせてみても良い回答が得られると思います。

昨今、株式市場は株価暴落気味ですが、いま負けている人も残り6ヶ月で取り戻せるよう頑張りましょう。もし年間で損失が出てしまった場合は、譲渡損失の繰越控除をお忘れなく。

(書いた人:川原裕也

1億人の投資術というサイトをはじめました。
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