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ニュースメディアから寄稿(転載)依頼が来た時に考えたい4つのこと

※記事内に広告を含む場合があります

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先日、弊社が運営しているサイト「カット野菜大事典」の「「カット野菜に栄養がない」は本当? 科学的データで確認してみた」という記事がネットで一時期大きな話題になりました。

2013年9月に投稿した記事で、なぜ今更になって話題に上がったのか今でも良く分かりませんが、記事がバスってから数日経った頃、有名ニュースサイトから寄稿依頼を受けました。

分かりやすく言えば「記事の転載依頼」なのですが、これは非常に魅力的な話な一方で、転載によるリスクも合わせて考えなくてはなりません。

ニュースメディアサイトから転載許可を求められた場合、どのような事態を考えた方が良いか?まとめてみました。

寄稿ではなく「転載」をどう思うか?

寄稿とは「依頼されて雑誌や新聞などのメディアに原稿を書いて送ること」。

最初は「カット野菜に関して新しく1記事を書き下ろして欲しい」という依頼かと思ったのですが、実際は「転載許可」を求める内容だったので「寄稿」という言葉に引っ掛かりを覚えました。

※転載……他人の著作物を複製して、元々公開されていた場所とは異なる場所で公開すること。

また大きなニュースメディアサイトに記事が掲載されることで「『カット野菜大事典』の1記事」ではなく「ニュースメディアサイトの1記事」として、人々に認識されることに違和感を覚えたのもあります。

【Point】
・「寄稿≒転載=全文引用」にメリットを感じるか?
・各ニュースサイトの1記事としての配信に抵抗感を覚えるか?

自サイトのPV数や売上に影響が出ないか?

PV(ページビュー)数とは、名前の通り「ユーザーがページを見た回数」のこと。

クートンブログとは異なり、カット野菜のサイトにはGoogleAdsense(グーグル アドセンス)を貼っています。

Google Adsenseとは、Googleが提供する広告のこと。

「検索連動型広告」「コンテンツ連動型広告」と呼ばれるもので、閲覧者が検索したキーワードやサイトのコンテンツを解析することで、その人にとって最適だと判断された広告が自動的に表示される仕組みになっています。

広告をサイト内に貼り、その広告がクリックされることで報酬(=利益)が得られます。

サイト内の記事が1つでも大きくバズれば、多くの人がサイトを訪れることになり、Google Adsense広告をクリックする数も増え、普段よりもより多くの収益が得られやすくなります。

その為、ブログやサイトの運営で食べて行きたい人にとっては「PV数」は非常に大切になります。

ニュースサイトに記事を寄稿した場合、その記事はそれと提携する様々なポータルサイトにも配信(≒転載)されます。

数多くのポータルサイトで記事が読めるのは「自サイトで記事を読む必然性が無くなる」ことも意味します。そうなれば当然自サイトのPV数が減り、得られる収益も目減りしてしまいます。

一応、寄稿記事には原本となる記事のURLも貼られていますが、記事を読んでどれだけの人がサイトに興味を持ち、クリックしてくれるでしょうか?

寄稿依頼が来た記事が、自サイトのPV数の多くを担うのであれば、より慎重に考えた方が良いです。

ちなみに該当記事は3月10日に最多PV数を獲得。
それから約1週間半は結構なPV数になっていましたが、4月末から現在に至るまでは「バズる前よりちょっと増えた」程度で落ち着いています。

その有名ニュースメディアサイトから寄稿依頼が来たのは17日のこと。
もし転載許可を出していたら、より早い段階でPV数が落ちていたと思うのですが、こればかりは確かめようがありません。

記事がバズった月のGoogle Adsense収益は(私が管理・運営しているサイト全ての合計額ですが)前月の約1.7倍になりました。

「転載許可を出すことで、自分が得られるはずの利益が少しでも減るのは困るな……」と少しでもリスクを感じる場合は、止めておいた方が精神的に楽です。

もちろん、ユーザー数の多い有名ニュースサイトに記事が転載されることで「記事をより多くの人に読んでもらえる」「自サイトや自分の名前の知名度が上がる」というメリットもあります。

今回は「収益を見込んだサイト記事」への転載依頼だったのでお断りをしましたが、収益性を特に考えていない個人ブログであれば、上記の理由からOKを出しただろうなとも思います。

自分のサイトがどのような運営方針を取っているか?でも、答えの出し方は変わってくるように感じます。

【Point】
・自サイトでマネタイズ(収益化)をしているか?
・記事が転載されることで、知名度のアップに繋がるか?

SEOに影響が無いか?

バズるとはTwitterやFacebookなどのSNSで大きな話題になり、広く拡散されること。

バズるメリットの一つに「SNSによる外部リンクを多く集めることでSEO対策になる」が挙げられます。

記事に多くの外部リンクが集まることで、バズった後も検索の際にその記事が検索上位に上がりやすくなったり、現在の検索順位を維持できたりします。

実際に各ポータルサイトに転載された記事を見ると良く分かりますが、タイトルをクリックすると、当サイトの該当記事に飛ぶ訳ではなく、各ニュースサイトで新しく1ページが設けられて、同じ記事内容が載せられます。

自サイトではない別サイトのページが多く読まれたり、外部リンクが付いたりすれば、本来自サイトが得られるはずのPV数が減ったり、被リンクが分散されたりします。

「バズる=SEO対策になる」を重視するのであれば、やはり転載許可を出すのはリスクが高いです。

また「ネット上に重複コンテンツが溢れる」ことも合わせて考えてみる必要があります。

重複コンテンツとは、URLは異なるが内容は全く同じコンテンツ(今回の場合は記事)のこと。

オリジナルの記事がGoogleに「重複コンテンツ」と見なされてペナルティを受けたり、検索結果に表示されなかったりする可能性が少しでもあれば、できるだけ避けたいところです。

GoogleやYahoo!などの検索エンジンは、原則重複コンテンツを検索結果に表示しません。
ただし「その検索キーワードに該当する記事が少ない」などの理由で重複コンテンツがいくつか表示されることもあります。

その為「カット野菜 別のキーワード」で検索した時に、同じ内容の情報で検索結果が埋め尽くされるのは、カット野菜に関する情報サイトを運営している身としては、ユーザーライク的に避けたいとも思いました。

【Point】
・重複コンテンツがSEO対策の弊害にならないか?
・検索結果が同じ内容で埋め尽くされる心配はないか?

間違った情報が拡散される可能性。外部サイトまで責任が持てる?


私が寄稿することで最も恐れたのが「間違った情報がより多く拡散されないだろうか?」ということでした。

私はカット野菜サイトの運営者ですが、食に関する専門教育を受けたり、資格を持っていたりするわけではありません。

書籍やネットでの様々な知識を寄せ集めて記事を書いているので、専門家にしてみれば「この記述は間違っている」と思う部分も出てくる可能性も充分にあります。

仮に記事の内容を修正する必要がある場合、自サイトだけの対応であれば、それほど面倒ではありません。

ただし転載された記事に対しては、私は正直「そこまで手に負えない」「責任が持てない」と思いました。

寄稿を断った後日「ビタミンC量はgではなく、mg表記が正しいのではないか?」という指摘をいただき、該当の記事内容を確認して、訂正を行ないました。

自分のキャパシティから考えると「自分の書いた文章の責任を持てるのは自サイト内だけ」という意識が強いので、その時は「寄稿を断っておいて、本当に良かった」と心の底から思ったのです。

余談になりますが、もし自分の読んでいる記事に「明らかに間違っている」と思われる部分があれば、SNSでコメント付きで投稿するのではなく、お問い合わせやダイレクトメールなどで、ご指摘いただけると助かります。

一度記事が大きくバズると、TwitterやFacebookのお知らせ欄が様々な通知で埋まってしまい、全てを把握しきれないので、訂正を求めるコメントが書かれていても、見逃してしまう可能性が高いのです。

【Point】
・自分の文章の責任範囲が広がることをどう考えるか?
・転載記事への修正依頼に各ニュースサイトが対応してくれるかどうか?

最後に

自サイトだけではなく、ニュースメディアサイトで大きく取り上げられることは、規模や反響も大きくなりやすい分、慎重にならざるを得ません。

あまり物事を損得感情で考えたくないのですが「リスクが高そうだから寄稿依頼を断る」と考える人は、一定以上いるように思います。

しかしながら「自サイトの拡散・影響力では、この記事を必要としてくれる人まで届きにくい」という見方もあります。
「有名ニュースサイトに取り上げられていたから読む」という人も少なくありません。

・新しい記事の寄稿(書き下ろし)ではなく転載であること。
・記事の内容に誤りがあり、修正を行なう際は、各ニュースメディアサイトも対応してくれるのか。
・海外向けの記事用に英訳された際、著作権の所有者は誰になるのか。
・転載されることで起こり得るリスクに関してどう考えているのか。

などに関して、該当カテゴリや依頼文に明記されていれば、依頼を受けた人が「大切な自分の記事を任せられる」と安心して寄稿が行なえるのではないか?と思いました。

(書いた人:昼時かをる)

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