時給はどちらも同じです。
あなたは、
- 工場内での軽作業
- 都会の高級レストランの仕事
どちらのアルバイトを選びますか?
仕事の内容と時給は必ずしも比例しません。もしこの2つの仕事が同じ時給だったら、昔の私は迷わず、工場内の軽作業を選んでいたでしょう。
なぜなら、工場内の軽作業は単純で楽な仕事だからです。バイトの時間が経つのは遅いのですが、頭を使わなくても、何も考えなくても、ただ機械的にやっていればこなせる仕事だからです。
ここで私が言いたいのは、工場内の軽作業に問題があるのではなく、何も考えずにただ機械的に同じ作業を繰り返す、変化のない自分に問題があるということです。
頭を使わないことほど楽なことはない
私は昔から、頭を使わないこと、単純な作業の繰り返しが好きでした。(いわゆる思考停止というやつです)
- 工場内軽作業などの単純労働
- パチンコ
どちらもただ機械的に作業していれば何も考える必要がありません。作業自体はつまらないんだけど、それでお金がもらえるからまあいいやと、そんな感じです。
しかし、こういう生活を何年も続けていくと、脳が腐ってくるというか、驚くほど自分に変化が起きません。
去年の自分も、今年の自分も、来年の自分も、何一つ変わっていない。ただ年齢だけが変化し、最初は若手扱いだったのに、そのうち後輩ができ、いずれ職場での長老となる。ただ、仕事の内容も、作業量も、給料も何一つ変わっていない。
私は20代の中盤まで郵便局でアルバイトをしていました。事実を見ているのでハッキリといいますが、そこには30代だけでなく、40代とか50代のアルバイトがたくさんいて、本当にこんな状況でした。
働いたら負けだと思っていた
逆に、当時の私は、時給もそんなに変わらないのに、都会の高級レストランでわざわざ働く人の気持ちが理解できませんでした。都会の高級レストランは、新メニューなど覚えることも多いでしょうし、マナーなどに対しても厳しいでしょう。
時給が高くて楽な仕事は正義。時給は固定で支払わられるので、がんばって働いたらむしろ損だという考えを持っていた当時の私からすると、都会の高級レストランで働く同年代の人は、ただ意識の高い人にしか思えませんでした。
当時の私の頭の中には、「将来の仕事」や「働きがい」という言葉のかけらすらなかったです。
変化しなければ社会から見放されていく
頭を使わず、ただ機械的に同じ仕事をただ毎日繰り返しているとどうなるか。自分の中には何一つ変化が起こりません。前述のように去年も今年も来年も同じということです。
一方で、外部には2つの変化が起こります。
■社会の変化
社会は少しずつ変化しています。
ただ、このスピードは非常に遅いので気にするほどではありません。
例えば、今パソコンの使い方がわからない、携帯の操作がわからない、携帯のメールすら打てない人は、仕事で苦労すると思います。(が、社会の変化が遅いためそのような人はほんの一部だと思います)
■年齢の変化
自分の中身が変わらなくても、年を取ると体力が衰え頭も固くなります。そして最も重要なのが、年齢が高くなると周りからの見られ方が変わるということです。
例えば、会社を経営する上で、たまに採用面接をすることがあります。
20代で履歴書の書き方が適当であれば「まだ知らないだけなんだな」で済みますが、40歳を超えているのに適当な履歴書を送ってくる人というのはたくさんいます。やはりそういう人に対する印象は違ってくるので、限られた時間の中では、即不採用とせざるをえません。
- 20代なら許されるが、40代だと受け入れられない。
- 20代だと恥をかきやすいが、40代だとプライドが邪魔をして恥をかきにくい。
こういったことが往々にしてあります。
このように、年齢に伴って変化していかなければ、自分自身は何も変わっていないように見えても、周りからの評価は次第に変化して、徐々に不利な立場に置かれてしまいます。
しかし多くの人はこの問題に直面しません。(安心してください)
なぜなら、大抵の場合、あなたが働いている会社が、新しい仕事、新しいステージを用意してくれるので、自分から変化しなくても、会社が変化させてくれるので気にしなくても良いのです。
例えば、都会の高級レストランで働いていたら、季節ごとに新メニューを覚えたり、新しい店舗ができた時にヘルプとして違う職場を経験します。時にはシビアな顧客と接することで数多くのトラブルを経験し、そして自然な流れでアルバイトから正社員、店長へと変わっていく。といった感じです。
働きがいのある職場というか、常に試される職場に身を置くと、自分では変化していないつもりでも、外部環境が勝手に自分を変化させてくれるのでおすすめです。
しかし、私が好んで居場所を求めた工場内の軽作業は、職場自体に変化がなかったため、自分自身で変化していく以外に術はありませんでした。
単純労働の中に変化を見出すこと
前述の通り、工場内の軽作業が悪いと言いたいわけではありません。自分を成長させてくれない職場なら、自分自身で勝手に成長していくしかないのです。
例えば、工場内の軽作業なら
- 手順を変えてみる
- 立ち位置や配置を変えてみる
- 同時にできる仕事がないか考える
など工夫の方法はたくさんあると思います。今の状態からさらに、「この仕事をもっと早くこなせないか?」を問いかけて「改善」を続けるだけで、あなたは驚くほど変化できます。
人間は元々、変化を嫌う生き物です。しかし、意識して「改善」できる人間になることができれば、工場内の軽作業だけでなく、どこの職場に行っても通用する人材となります。
「自ら改善できる能力」はコミュニケーションスキルやパソコンの基本操作能力と同じくらい、とても重要なスキルの一つだと私は思います。
そして何より、頭を使って改善を意識することで、単純な労働はいくらでも付加価値の高い仕事に変えられるのです。
同じ内容ですが、この話は是非読んでいただきたい、私が言いたいことのまとめ的な内容です。(超一流のタクシードライバーの話です)
自営業として人生を再出発した私の話
私は幸いにも自営業という道を見つけましたが、自営の仕事は誰かに怒られたり注意されることはありません。自分の頭で考えて自分自身で変化していくしかありませんでした。そうせざるを得ない状況だったんです。
そのような状況に置かれた結果、人生で初めて自分が毎年変化していると感じることができるようになりました。去年も今年も来年も、自分は毎年変わっていて、1年前は常に黒歴史だと思えるようになりました。
そして、自分自身に変化が起こると、これまで見えて来なかった新しいものがたくさん見えるようになり、より変化に富んだ仕事ができるようになったのです。
もちろん、自分の成長や働きがいが実感できるだけでなく、それによって収入も上がりましたし、外部の評価も変わっていきました。
「時給は固定で支払わられるから働いたら損」という、当時の私と同じ考えを持っている人からすれば、都会の高級レストランで働く「意識の高い人」や「成長志向、キラキラ志向」な人が気持ち悪く見えると思います。なぜそこまでして、彼らは働きがいを求めるのか理解できないと思います。
しかし、成長するということは、自分自身が変わるというその先に、収入が上がったり、外部の評価が変わることに繋がるからこそ、やりがいがあるのだと私は思います。
よく、「意識が高く、成長志向、キラキラした言葉」を並べているだけの人がネットで批判されますが、私も同感です。自分自身の成長や働きがいよりも先に、
- 周りの人から評価されたい
- 単純にありがとうと言ってもらえるのが嬉しい
- 収入を上げたい
- 今よりも裕福な生活がしたい
このような動機が先行するべきだと私は思います。どれだけ働きがいがある仕事でも、世の中の役に立っていないと思えることや、収入に結びつかない仕事は避けたほうがいいと、個人的には思います。
改善できる人になりませんか?
最後に、私のノートの中から改善に関する言葉をいくつか紹介します。
特に楽天の三木谷社長は、「社内英語化」にしても「電子書籍のkobo」にしても、見切り発車的で最初の出来不出来は気にしない。そこから改善していけるかどうかが大切であるというスタンスをもっておられる方だと思っています。
改善できる力は才能よりも重要
世の中は天才ばかりではない。けれども、改善は誰にでもできる。そして、日々改善を続けていけば、どんな巨大な目標だっていつかは達成できる。つまり、改善は凡人を天才にする方法なのだ。くじけず、うまず、たゆまず、一段ずつ階段を登っていけば、いつかは天才を超えることができる。
三木谷浩史
たとえ毎日1%の改善でも、1年続ければ38倍になる。これは、一人の人間の話だけれど、組織として考えればもっと大きなことが起きる。理論的には2000人の社員がいれば、1日で1.01の2000乗、計算すると4億3928万6205となる。
三木谷浩史
楽天には「常に改善、常に前進」「プロフェッショナリズムの徹底」「顧客満足の最大化」などという考え方とともに、「成功のコンセプト」という「仮説→実行→検証→仕組み化」という考え方があります。
書籍「本田直之が教える最大効率で最大効果をもたらす仕組み」より(※たぶん廃刊)
大きな成長はアイデアから、小さな成長は日々の努力から
イノベーションは生産性を非連続に(劇的に)上昇させ、改善は生産性を継続的に少しずつ上昇させます。イノベーションも改善も生産性を上げるアプローチ(方法論)であって、どっちでもいいから生産性上げないと話にならない。
— ちきりん (@InsideCHIKIRIN) 2014, 11月 19
悪循環はたった1年で1を0.026にしてしまう、そこから這い上がるのは難しい
向上心の強い人が、毎日1%だけ前日より自分のパフォーマンスを改善して、それを1年365日積み重ねるとする。そして、それを1.01の365乗と考えるなら、1が約38になるのだ。 一方、どうしてもやる気にならず、毎日前日より1%だけパフォーマンスを落としていくとすれば、それを1年365日積み重ねると0.026になってしまうのである。(0.99の365乗)
相手に対してそうあるべき、自分自身もそうあるべき
いっそう改善を試みる人に、その手段の一部を与えて助力することが真の慈善であり、手をあげて待っている人を助けることではない。向上心ある人のみに部分的な助言を与えるべきであって、その全部に手を貸すというようなことはしてはならないのである。
知恵と改善に限界はない
生産性とはぼろきれを絞ることではない。生産性とは、どんなことも改善の余地が無限にあるという信念そのものだ
知恵に限界はない。だから、無理に思えても、知恵を出すことで改善はいくらでもできるというのが真意だった。大切なのは、「限界はない」と信じることなのだ
7年半で65万円を10億円にした無職の個人投資家の言葉
ひたすら同じ作業の繰り返しの中に変化を見出して改善に繋げていく。
五月(投資家)
以上です。
- 才能やセンスは不要、改善できる力こそ必要。
- 改善とは自分自身で変化を起こすこと。
ということで、毎日同じ仕事をしている人もそうでない人も、「改善できる人」を目指してみませんか?
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blog.qooton.co.jp
(書いた人:川原裕也)
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