DIYアドバイザーの「ばんちか工房」の西千春です。各地で木工やDIYのイベントを企画開催しています。今回はお正月から家族で楽しめるDIYをテーマに凧にスポットをあててみました。
私は田舎育ちのせいか、私が子どもの頃は正月に凧上げをして遊んでいました。昔作った記憶を懐かしく思いながら、久しぶりに凧作りを楽しみました。自分の暮らしを自分の手で楽しむというのがDIY。新年早々のDIYを家族で楽しんでみてはいかがでしょうか?
凧ってなに?
凧とは、竹や木で作った骨組みに紙やビニールを貼り、糸をつけて、風力を使って空に揚げる玩具です。
凧の始まりは中国といわれており、占い、宗教、戦略にも使われたそうですが、凧は昔から世界中に存在していたようです。日本では平安中期の書物『和名抄』に凧が登場します。
しかし、江戸時代になるまでは貴族や武士の一部で遊ばれているだけで、一般庶民には広まっていませんでした。江戸時代になってからは大人も子供も身分の隔てなく凧で遊ぶようになり、さらに立春のおまじない的要素が加わり、お正月の遊びとなったのは江戸後期になってからだそうです。
明治に入ると電線や建物の影響で、凧はだんだん遊ばれなくなり廃れてきました。
凧の種類は?
凧には角凧、菱凧、六角凧、奴凧、蝉凧、連凧、ビニールで作った三角のカイトなど、たくさんの種類があります。
凧の揚げ方も空高く揚げる、滞空時間を伸ばす、相手の揚げ糸を切る(喧嘩凧)、大凧揚げ、連凧で長さを競うなど様々です。
また、凧揚げ大会を催す地域もたくさんあます。有名なところでは滋賀県東近江市の『八日市大凧揚祭り』、新潟市の『白根大凧合戦』、浜松市の『浜松まつり凧揚げ合戦』、愛媛県内子町の『五十崎の大凧合戦』が挙げられます。
DIYで凧は作れます
この季節の風物詞となっている凧、小さな物なら簡単に作ることが出来ます。基本の四角い凧をマスターし、大きさも、形も、素材も自分流。みんなで凧を作ってみませんか?
四角い凧の作り方
材料
竹ひご
直径3mm 45cm 2本、35cm 4本、63cm 2本
凧糸
骨組み用20cm 13本、糸目用45cm 3本、張り糸用 45cm 凧揚げ用
薄い和紙
50cm×40cm 1枚、3cmの四角 5枚
のり
しっぽ用の薄い紙
障子紙、半紙、新聞紙など 適宜
作り方
①骨組みを作る
まず、竹ひご45cmを2本、35cmを2本使って四角の外枠を作る。短い方の竹ひごを長い方の竹ひごの上に置き、15mm外に出るように重ねる。凧糸で重なり部分をしっかりと結ぶ。
35cmの2本の竹ひごを四角の枠に取り付ける。位置は枠の短い竹ひごと同じ側、枠内が3等分になる所にとめる。
63cmの2本の竹ひごで斜めの骨を作る(この面が裏になる)。枠の角の短い竹ひごの上に斜めになるように置き、枠を結んだ凧糸を使ってしっかり結わく。斜めの竹ひごの重なるところ、短い竹ひごと重なるところの順に凧糸を結ぶ。結び目の余分な凧糸を2cm残して切る。
②和紙を貼る
和紙を枠より2cm大きく切り、結び目のところは三角に切り落とす。和紙の裏を上にし、蛸骨は表を下にして重ねる。和紙にのりを付け、骨を包むように貼り付ける。
ポイント
和紙にのりを付けるときは、和紙の端ではなく、骨の下から内側にのりを付ける方が和紙が扱いやすい。
のりは1ヶ所ずつのり付けし、貼っていく。短い方、短い方、長い方、長い方の順に引っ張りながら、行う。
3cmの四角和紙を使って、本体和紙と斜めの竹ひごを4箇所留める。
凧の上下を決め、下から2番目の短い竹ひごの真ん中に四角和紙を同じように貼りつける。(ここが表から糸目を取り付ける場所になる)
③ 凧に糸目を取り付ける
表から枠の上部の角2箇所、下の短い竹ひごの中心に一箇所45cmの凧糸の端を縛り付ける。
④ 糸目の調整
糸目の端を揃えて持ち、三本の糸目の合わせ目(三角錐の頂点)が上部糸目2本の中心と下の糸目のライン上、かつ、上から3分の1のところに来るように合わせ3本まとめて結ぶ。
ポイント
糸目は凧の揚がりや回転に影響が大きいが、凧揚げは風にも大きく左右される。糸目の調整はその都度調整すると良いでしょう。また、凧の揚がり方を見て下の糸目にゆとりを持たせるのもコツです。
⑤張り糸を付ける
凧本体を横にやや丸めます。枠の上左右の角、糸目と反対の面に張り糸用凧糸を結びます。枠と張り糸の間隔を2~5cm位開けましょう。
ポイント
枠と張り糸の間隔は、強風の時は広く、微風の時は狭くします。持ち運びも考え、張り糸は凧を揚げる前に張ります。また、凧本体を反らせると糸目のながさにも影響します。風と糸目、張り糸の調整はその都度行なって下さい。
⑥しっぽを付ける
障子紙で幅5cm、長さ2mくらいの細長い紙を作り、凧の下の角に裏からのり付けする。
奴凧の作り方
材料
竹ひご
直径1.8mm×900mm 3本、直径3mm×900mm 1本
薄い和紙
障子紙
のり
マスキングテープ
作り方(幼い頃の記憶を頼りに奴凧を作ってみました)
①骨組みを作る
細い竹ひご3本の真ん中、3分の1位を水に浸しておく。
その2本を量端が25cm位重なるようにマスキングテープで固定する(重なった部分が胴体の幅になる)。
太い方の竹ひご30cmをマスキングテープの上にのせ、凧糸でしっかり固定し、胴体を作る。
残りの細い竹ひごで、頭と胴体の補強をする。(写真参照)
ポイント
竹ひごを曲げたい時は、その部分を水やお湯でに浸しておくと折れにくい。
②和紙を貼る
和紙の上に骨組みを置き、のりしろ1.5~2cmつけて切る。頭や腕の曲がった部分はのりしろに切り込みを入れる。また、結び目はのりしろを三角に切り取る。補強のために、小さい和紙を貼る。
③糸目を付ける
頭と胴体の接点2箇所、頭を作った竹ひごと胴体の(真ん中)が重なったところ1箇所に糸目の端を結ぶ。糸目の三角錐の頂点は、頭の先端と下の糸目のライン上、上から3分の1のところにする。
④張り糸を付ける
頭と胴体の重なったところに、糸目と反対の側に凧が2~5cm反り返るように凧糸をしっかりと結ぶ。
ポイント
張り糸は凧を反らせて余分な風を逃がすためのものです。強風の時は反りを大きく、微風の時は反りを小さくすると良いでしょう。
⑤しっぽを付ける
あとがき
先に挙げた内子町の『五十崎の大凧合戦』は400年以上続いており、愛媛県の無形民族文化財に指定されています。実はこの場所、私の実家とそう遠くないところにあります。それもあり、毎年冬休みになると奴凧を買って貰い、みんなで遊んでいました。
小さい私は揚げ糸を持って道路を走って凧を飛ばすだけでしたが、4学年上の兄は屋根の上にスタンバイ。凧は瀬戸内海からの北風に乗って、みるみるうちに空高く登っていきます。兄の手にはなんと釣竿が。どの位高く登ったかはわかりませんが、とにかく小さくなった凧のしっぽがひらひらしていました。ふと見ると、山の向こうにも同じような凧が泳いでいました。きっと兄の凧も山の向こうから見えているんだろうなとワクワクしたのを思い出しました。
「そういえば、もう何年も奴凧みたことないなあ」から思いついた凧作り、本当は数学的、物理的要素が満載で、とっても奥が深いようです。難しいことはさておき、とりあえず楽しく作って凧を揚げてみましょう。きっともっと深く凧作りを追求したくなるかもしれませんね。
「立春の季に空に向くは養生のひとつ」という言葉のように、今年一年元気で過ごせますようにという願いを込めて、お正月に自作の凧を揚げてみませんか。
(書いた人:ばんちか工房 西千春)
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※DIY(Do It Yourself) = 自身でやろう