年齢を重ねるごとに、葬儀へ参加する機会も徐々に増えてきます。
中学高校生では制服を着ればOKですが、高校卒業以降の学生や社会人ともなれば葬儀の服装により気を付ける必要があります。
親や祖父母、親戚が色々と言ってくれることも多いですが、全て人任せにするのも、やはり恥ずかしさを覚えます。
そこでいつ葬儀に参加することになっても慌てずに済むように、大学生からの喪服の選び方、葬儀での服装について紹介します。
最近、私が遺族として葬儀に参加したことで色々と気付いたこともあわせてまとめてみました。
喪服が必要なのは「お通夜、葬儀・告別式、忌明け法要、納骨、一周忌」
そもそも、喪服が必要になるのは、どのタイミングでしょうか。
「お通夜と葬儀・告別式(葬式)、忌明け法要(四十九日)、納骨、一周忌」が一般的です。
お通夜に関しては「『取り急ぎかけつける』ものなので、喪服を着る必要は無い。地味な普段着で良い」と書かれている場合がありますが、私が遺族として参加した葬儀では弔問客全員が喪服を着用していました。
新聞などでお通夜の日時が分かったり、時期によっては「葬儀には行けないけど、お通夜は来た」と言う人も多かったりするので「お通夜で喪服は絶対にNG」とは言い切れないようです。
どちらかと言うと「お通夜の前に故人の家まで、お別れの挨拶をしに行く時は普段着でも大丈夫」が正しいように思います。
最近、身内が亡くなったのですが、お通夜前(具体的には納棺前で遺体が自宅に安置されている時)に、駆けつけてくれた人の中には普段着の人も少なくなかったと記憶しています。
ちなみに納棺式や坊さんが家に訪れてお経を挙げる時は、普段着で問題ありませんでした。
リクルートスーツと喪服の違いは?
就活生が黒系のリクルートスーツを着ていると「喪服みたいだ」と言われることが多々ありますが、実際にはリクルートスーツと喪服は似ているようで別のもの。特に「黒の色の深さ、仕立て、素材」が大きく異なります。
学生が「あまりに急だったので、礼服が用意できなかった」とリクルートスーツを着ても、周りからは「まぁ、若いから仕方ないよね」という目で見られますが、学生はまだしも社会人であれば今後のことを考えて、喪服に使える礼服の一つや二つは用意しておいた方が良いです。
私がある葬儀の為に地元へ戻る際「必要かな」と思い、就活で使っていた黒のリクルートスーツを持って行ったのですが、やはり見た目が全然違いました。無地のスーツやリクルートスーツは確かに黒いのですが、礼服と並べてみると「グレーっぽい黒」なことが良く分かります。
着倒してくたびれたリクルートスーツは「きちんとした礼服」という印象を受けにくいように感じます。
喪服(フォーマル、礼服)の購入場所と値段相場
礼服=冠婚葬祭で使える服の意味なので、喪服と礼服はだいたい同じと考えて大丈夫です。
ネットで調べてみると1万円以下で買える礼服も数多くありますが、値段が高くなるごとに品質が大きく変わってきます。
特に「黒の濃さ、深さ」がはっきり差が出てきます。
ネット通販は手軽ですが、色の濃さや着た時の印象が分かりにくいので「ネットで安く買えば良い」とは思わず、できればデザインの参考程度に留めておき、大型ショッピングセンターや紳士服チェーン、百貨店のフォーマルウエアコーナーで購入することをおすすめします。
商品や販売場所によって、値段は2万円~10万円と大きく異なります。だいたい「5万円くらい」は心づもりがあると良いです。
「普段のスーツの倍以上の値段がする……」と思ってしまいますが、ブラックフォーマル系は1枚あると、約10年は冠婚葬祭で着回せるので「高い買い物」になりにくいです。
フォーマルウェア関係はほとんどセールが行なわれないので「必要に思った時に買ってしまう」のが良いです。
また父親や母親、親戚と背格好が似ていれば「歳不相応で着れなくなったお下がり」をもらえる可能性もあるので、購入を検討する前に一度聞いてみることをおすすめします。
ちなみに百貨店系列では12月や1月、3月、7月あたりに「婦人フォーマルフェア」「フォーマルバーゲン」が開催されるので、その時に安く買う手もあります。
男性の服装
【デザイン】
- シングル、ダブルどちらでも可
【シャツ】
- 白(礼装用が望ましい)
【ネクタイ】
- 黒
【ベルト】
- ベルト部分、バックルの両方とも黒
【靴下】
- 黒
【靴】
- 黒
- スニーカーやカジュアル系はNG
女性の服装
【喪服のデザイン】
女性のブラックフォーマルのデザインは、大まかに分けて2通りあります。
- 半袖~長袖ワンピース+長袖ジャケット(ボレロ)
- スカート+半袖~長袖カットソー+長袖ジャケット(ボレロ)
ジャケットの形は色々とありますが、実際の参列者を見る限り「襟なしのシャネルスーツタイプ」が多かったです。
▲シャネルスーツタイプ
▲テーラードジャケットは少数派?
ジャケットやボレロにリボンやフレアが付いているタイプは「若者向き」のイメージがあるので、十数年同じ礼服を着続けるつもりであれば、なるべく避けた方が無難です。
【スカート】
- 丈は座った時に膝が見えないもの(膝下orふくらはぎ中間)
- フレアスカート、Aラインスカートが無難
- タイトスカートを選ぶ時は動きやすさとスリットの深さに注意
- ズボンでもOKだが「スカート派」が大多数
【素材】
礼服の素材はポリエステル、ウール、シルクなど色々とありますが、年中着回しと取り扱いの楽さを考えるのであればポリエステルが向いています。
私が持っている礼服はポリエステル素材のオールシーズンタイプで、真冬だと結構寒かったのですが、下に黒色の温かい肌着(ユニクロのヒートテックなど)を着れば、充分な防寒対策になります。
元々冠婚葬祭は年に数回だけで、それほど多く着る機会はなく、また喪服だけで外を出歩く機会は限られているので「冬の葬儀を考えてウール素材や厚手の喪服を買うべき?」とは、あまり思わなくても良いです。
【ストッキング】
- 無地(柄なし)のストッキングやタイツ
【靴】
- 黒のパンプス(金具付き、エナメルはNG)
リクルートシューズやオフィス用のパンプスでOK。
新しく購入せずに普段使っているもので対応できますが、葬儀場に行く前のお手入れは必須です。
あまりにもカジュアル過ぎるデザインやヒールが高過ぎるのは避けましょう。
▲ちなみに、エナメル(=光沢がNG)の参考例。
【アクセサリー】
- 結婚指輪または婚約指輪
- パールのネックレス(1連)、イヤリング
「涙」「悲しみ」を表すパールのネックレスやイヤリングは、持っていなければ着けなくても構いません。
アクセサリーショップで2,000~3,000円くらいで売られているパールネックレスはひと目で「偽物」「イミテーション」と分かってしまうので、本真珠が無ければ身に付けなくても良いです。
ただし年齡層が上がるにつれて、結構な割合で皆さん身に付けています。
「親戚中がパールのネックレスしているのに、自分だけしていない」と言うのは、あまり印象が良くない感じがあります。
実際にお通夜の時にしていなかった(色が赤系、未婚の20代だから不要だと思った)際に「持っとらんの?」と色々な親戚に聞かれました。
自分は持っていなくても母や祖母が複数所持していることも多いので、まずは「自分が着けられそうなパールのネックレスやイヤリングはあるか?」を尋ねてみると良いです。
ちなみに白真珠でも「グレー、ブルー、ゴールド、シルバー、ホワイト、クリーム、ピンク」など色合いが微妙に異なります。
パールのネックレスやイヤリングを複数持っていれば「高級そうで、黒っぽいもの」を選ぶのが無難です。
【バッグ】
- 黒色で光沢のないもの
- 金具付きの場合は過度に光っていないもの
男女共通
数珠
仏式の葬儀で欠かせない「数珠」。
二重にして使う「二連」と、略式の「一連」があり、素材は男性だと菩提樹の実や黒壇、女性は水晶やサンゴが使われることが多いです。
仏教の宗派によって数珠の形が微妙に異なるので、実家の信仰している宗派に応じた数珠を持ちます。
数珠は親や祖父母から渡されることが多く、特に自分で改めて購入する機会は少ないと思います。
ただし結婚した際に相手と宗派が異なる場合は、相手の宗派の数珠を新しく用意して、それぞれ使い分ける人が多いです。
また宗派共通(=どの宗派でも使える)の数珠としては「八宗兼用」があります。
基本的に女性が持つ用の本式二十数珠で、これ一つあれば、結婚した後でも新しく数珠を用意する必要はなくなります。
ちなみに数珠は座具(数珠入れ、念珠袋とも言う)に入れますが、座具に関しては色や形は結構自由です。
「葬式=数珠が必須」というイメージがありますが、神道やキリスト教を信仰している人であれば、仏式の葬儀に参列する場合でも数珠を持つ必要はありません。
コート、防寒具
寒い時期の葬式だとコートや防寒具が必須。
コートや防寒具(マフラーやストール、手袋)は、毛皮や革製を避けて、黒や濃いグレーなどシンプルで地味なものを選びます。
葬儀の参列者を見ていると、ダウンコートやキルティング仕様、ダッフルコートはあまり見かけませんでした。
葬儀会場は暖房が良く効いている場合が多いので、自家用車で来た人は「コートや防寒具を車内に置いてきて、必要なものだけ持って参列する」という方法をする人も多いです。
気を付けたい「メガネの色」
最近はオシャレでデザイン性の高いメガネが多く出回っていますが、葬儀に参列する時くらいは黒やシルバーなど落ち着いた「地味メガネ」をかけた方が周りから何も言われずに済みます。コンタクトレンズを持っている人は、それを着けても良いと思いです。
私は普段から赤いフレームのメガネを掛けているのですが「さすがに葬式で派手な赤はマズいな……」と思い、昔使っていた黒縁メガネを持って行きました。
最後に
人の死は大抵の場合、予期しない時にやってくるので「今晩、お通夜に行っても大丈夫」くらいに普段から用意しておくと良いです。
慌てて色々と喪服や必要な物を買っていると、気持ちの整理が行き届かなかったり「面倒な時に死んでくれたな」と故人に対して大変失礼な感情を持ってしまったりすることがあります。
「自分の心の余裕」「故人を偲ぶ気持ち」を持つ為にも、早め早めの用意をしておくことが大切です。
(書いた人:昼時かをる)
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