エンディングノートとは、自分が万が一の事態になった時、自分の意思を伝えたり、残された家族の負担を減らしたりする為に書かれる「日常の備忘録、希望すること」ノートのこと。
特に「もし万が一自分が死んだり、判断や意思疎通能力が無くなったりした時、家族に色々と迷惑を掛けたくない」という人は、1冊のノートに必要事項をまとめておくと、役に立ちます。
「エンディングノート=終活、高齢者向け」というイメージが多いのですが、特に地元から離れて一人暮らしをしている若い世代が「備忘録として紙のノートに記録しておく」ことの方が、大切なのではないか?とも思います。
今死んだらどうする?一人暮らしの20代だからこそ書きたいエンディングノートのススメでは、エンディングノートの概要を説明しましたが、今回は実際に自分がエンディングノートを選んだり、書いてみた時に感じたことをまとめてみました。
エンディングノートを書く前に用意するもの
自分にあったエンディングノート
エンディングノートは、書店だと「投資・マネーコーナー」、文房具店は「家計簿、住所録、日記」あたりのコーナーに良く置かれています。
一口で「エンディングノート」と言っても、ターゲット層や内容は商品によって様々です。
例えば……
- 自分史、名言、家族や友人のメッセージなど「自分について書く所」が多い
- 中高年向けに相続に関する内容が充実している
- 書き込むだけのシンプルな手帳タイプ、手取り足取り教えてくれる解説タイプ
- Webに関する項目の有無
エンディングノートの選び方としては「自分は何をエンディングノートに残しておきたいか?」と、書く目的をはっきりさせることが大切です。
私の場合は以下の条件で探していました。
- 一冊書けば、残された家族が困らないだけの必要最低限の情報は網羅できる。
- お金に関する項目もまとめて管理したい。
- Webサービスを多く利用しているので、ネット関係の情報も書き残したい。
- 友人、知人の情報はスマフォの電話帳にしかないので、色々書き込める住所録が欲しい。
- デザインはシンプルな手帳タイプ。
- 自分史や心に残っている名言は特に書きたくない。
- 資産は無いから、相続関係が充実していなくても良い。
最初はあまりにもエンディングノートの数が多く、値段も1冊1,000~2,000円と高く、自分に見合ったものが見付からなかったので、システム手帳用のリフィル(カレンダー、住所録、To do リスト、ノートなど)などを組み合わせて、オリジナルのエンディングノートを作ろうと思っていました。
それで色々とリフィルの組み合わせを見ていたのですが
- 書き残したい項目にあったリフィルが見付からない為、使い勝手が劣る
- リフィルとバインダーを揃えると、エンディングノートと同じくらいの値段がする
というデメリットが目立ち、結局自分にあったエンディングノートを比較しまくって1冊買いました。
▲MAEUAIのLife Memo「自分をまとめる便利なメモ帳」。
155×215mmの単行本サイズで、1冊1,800円+税。
自分が書きたい内容とマッチしており、シンプルなデザインと、書き込みやすい大きさが気に入りました。
自分のこと……私の基本情報/私の履歴/健康管理
生活のこと……住居/車・バイク/携帯電話/パソコン/Webサイト/他
財産・お金のこと……預貯金/不動産/有価証券/保険/保管場所/年金/ローン/支払い/クレジットカード/他
もしものときのこと……判断能力がなくなったとき/告知・延命についての意思/葬儀・埋葬/遺言・相続/形見分け/他
家族・親戚・友人のこと……私の家系図/配偶者の家系図/連絡先/他
記録……冠婚葬祭/命日/記録カレンダー
「どうしても自分にあったエンディングノートが見付からない」と言う人でも、まずは1冊エンディングノートを購入して、それを元にオリジナルのエンディングノートを作った方が、手元に何も無い状態で書き始めるより作業効率はアップします。
鉛筆またはシャープペンシル。良く消える消しゴム
エンディングノートは「一度書けばOK」というものでは無く、月日を経るごとに内容を書き直す機会が多いので、ポールペンや万年筆などの消せない筆記具の使用は向いていません。
また何度も書いたり消したりするので、紙を汚さない為にも、よく消える消しゴムの使用は必須です。
必要書類
預貯金、保険、Webサイト、友人や知人の連絡先などの記入欄を書く時は、それぞれに必要な書類やデータを事前に用意しておくと、スムーズに進められます。
一日10分程度。ちょっとした時間に書き進める
エンディングノートは項目が多く、調べるのに時間が掛かる所も多いので「最初から最後まで一気に仕上げてしまおう」と思っても、なかなか難しい所があります。
また書いていると、書くことの膨大さに途中で嫌気が差したり、過去のことを思い出して辛くなったりと、書く手が止まる時もしばしば。
おすすめの書き方としては「何か、ちょっと時間が空いたな」という時に、1日10分程度を目安に1ページ、2ページ、1項目、徐々に無理せず書き進めていくこと。
私がエンディングノートを書いた時は「死期が迫っているのが目に見えて分かる」という状態でも無かったので、寝る前のちょっとした時間を利用していました。
エンディングノートを書いた感想
そもそも私がエンディングノートを書こうと思った大きな切っ掛けは、身内の不幸でした。
今までは「友人の連絡先はスマフォだけに残している」「ネットに関することは、Evernoteにまとめている」という様に、紙に記録を残さない割合が高かったです。
実際に人が亡くなり、親戚や職場への連絡や香典返しの整理などの現場に立ち会わせた時「画面上のデータより紙の方が助かる」と言うのを非常に実感しました。
パソコンやスマフォでデータを管理・保存するのは、自分一人で見たり使ったりする分には良いのですが、いざ自分が死んだ時に「必要な情報を知る為とは言え、故人のスマフォやパソコンを見るのは気が引ける」「個人データを見ようとしても、IDとパスワードが分からない」「デジタル機器の操作方法が分からないので見られない」という事態が多々考えられます。
特に未婚の若い世代が、急死した場合を考えると、色々な手配をするのは「自分よりもデジタル機器に不慣れな親」という可能性が非常に高いので、やはり「紙で残す」必要性は充分にあるように思います。
エンディングノートには、遺言書のような法的な効力はありませんが、その分、格式張った形式にとらわれず、自由に何でも書けるのが特徴的です。
遺言状は「相続」「自分が所有している財産の分け方」に関する内容を伝えるのに向いていますが、私のような20~30代の若い世代だと大した財産もないので、遺言状を書く必要性は薄いように思いますが、エンディングノートに関しては、残された家族の負担を減らす為にも「書いておいて損はないな」と強く思いました。
本人と話せない状態になっても、エンディングノートを見れば必要な情報が分かる。残された家族が後々助かる、と言うのは「最後の親孝行、周囲への善行」とも言えるのでは無いでしょうか。
後、忘れてはいけないのが保存場所。
死後や意思疎通ができない状態の時にエンディングノートが発見されなければ「書き損」なので、
- 重要書類をまとめて入れているボックスに収納する。
- 「死んだ時用Box」を作り、遺影の候補写真と共に置いておく。
- 実家から離れて一人暮らししている人は実家で管理してもらう。
- 「エンディングノートは本棚に入っている。ピンク色の表紙が目印」と伝えておく。
などの方法で、確実に読まれるようにするのが大切です。
人はいつ死ぬか分からないので「エンディングノートに興味あるな」と思ったタイミングで、自分に合う一冊を選んだり、書き始めたりするのが良いです。
買ったことで安心する人も多いですが、何も書かなければ「無価値な白紙のノート」でしか無いので、まずは自分の書ける所から書き始めてみて下さい。
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(書いた人:昼時かをる)