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DMM.comは上場する?巨額の利益を生み出す謎の企業が目指す姿とは

※記事内に広告を含む場合があります

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DMM.com」はもはや、その名前を知らない人はいないくらい、有名となった企業です。あなたは「DMM」と聞いて何を思い浮かべますか?

  • アダルト動画配信の会社
  • FX業者
  • 艦これ

いずれも、圧倒的な知名度で成功を納めているDMMの事業です。しかし、その企業実態は謎に包まれています。DMMは私が以前から気になっていた会社のひとつなのですが、最近「この会社、もしかして上場するつもりなんじゃないか?」と思うことがあったので、調べてみることにしました。

なぜ私が「DMMは上場するんじゃないか?」と思ったのかというと、

  • DMM創始者の亀山敬司会長が積極的にメディアに露出し始めた
  • 脱アダルトを目指すかのように新しい事業を次々立ち上げている

という動きがここ数年で起こっているからです。
上場するかどうかはともかくとして、「クリーンなイメージの会社へと変貌を遂げようとしている」意図がDMM側にあることがわかります。

驚くほどの好業績

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DMMは元々、アダルト動画の配信サービスを手がける会社として有名になりました。前身会社は株式会社北都(2009年に株式会社CAに商号変更)として、亀山会長の田舎である石川県加賀市に拠点を置くアダルトビデオメーカーでした。

しかし、インターネット黎明期にいち早くインターネット動画の配信事業に乗り出し、大きな成功を納めます。DMMは昔からアダルトだけをやっているイメージがありましたが、2006年の大晦日に「PRIDE 男祭り」のライブ配信を、その後2008年に「X-JAPAN」のライブ配信を行った辺りから、「アダルト以外の動画もやってる会社」というイメージに変わってきたように思います。その後、2009年には「AKB48」のライブ配信を行い、同年にFX事業である「DMM FX」をスタートさせています。

そして、2010年からの業績がこちら。

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(出展:DMM

上記は、DMM.com、DMM.comラボ、DMM.com証券、DMM.com OVERRIDEの合算の売上高です。

しかし、日経のこちらのニュースを参考にすると、どうやらDMM会長の亀山氏が直接出資するアダルト関連企業(前述の株式会社CAなど)もたくさん存在しているようです。それらを含めた2013年の売上高は約1,200億円、当期利益は約130億円になっている模様。

ちなみに、ほぼ同時期に誕生した大手IT企業のサイバーエージェントの2013年9月期決算は、売上高1,624億円、当期利益105億円です。DMMは非上場の会社ですが、当期利益ではサイバーエージェントを上回るほどの巨大企業です。

続いて会員数の推移。
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(出展:DMM

2014年8月の時点で会員数は1,000万人を超えています。「ニコニコ動画」を手がけるドワンゴの川上会長が同時期に語ったインタビューによれば、ニコニコ動画の会員数は3,936万人(アクティブ数は半分以下らしい)、プレミアム会員数は223万人とのこと。

DMMの場合、会員のサービス利用目的が「アダルト動画の購入」、「ゲームへの課金」、「DVDなどのレンタル」など、リピーターが多い会員属性であると予想できます。(ニコ動の無料会員がほとんどお金を落とさない)ことを考えると、この1,000万人という規模がどれだけすごいかがわかります。

上記のチャートを見てみると、2009年のDMM FXリリースから様々な事業を立ち上げては廃止し、近年では艦隊これくしょん(艦これ)やオンライン英会話、太陽光発電など様々な「クリーンなイメージを持つ事業」を行うコングロマリット(複合企業)となっています。

DMM.comが行っている主な事業

では、巨額の売上・利益はどのようなビジネスからもたらされるのか? DMMグループが行っている主な事業についてまとめます。

今のところ、DMM本体の事業構成は

  • デジタルコンテンツ配信:45%
  • オンラインゲーム:25%
  • DVD・グッズ等の物販:10%

となっています。

それに加えて、FX業者やDMMの中核システムを支えるインフラ会社、そして「DMM」の名前は付かないものの、会長の亀山氏が所有している会社を合わせて、売上高1,200億円、当期利益130億円を生み出しています。

動画配信

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DMMといえばやっぱりアダルト動画の配信が有名です。ただそれはもう昔の話であって、現在はAKB48の劇場公演やアニメをはじめ、一般の動画配信でも有名になりつつあります。

AKB48のライブ動画配信はDMMが最初に始めています。まだAKB48がブレイクしていなかった当時、劇場からの映像配信が成功しないとAKBの運営会社から相談を受けたことがきっかけで、DMM.comが動画の流通を引き受けることになったというエピソードがあります。

動画は単品売り切りのものが主体ですが、その他にも月額見放題や1分10円動画など、さまざまな課金方式でサービスが提供されています。

VR動画β

動画関連でDMM.comが新しく取り組んでいるのが「VR(バーチャルリアリティ)」を取り入れた動画コンテンツです。

VR動画とは、360度自由自在に動かせる動画です。例えば、動画の映像を見ながらリアルタイムでズームしたり、上や下を見たりと、見る角度を変えることができます。

VR動画βのサイトにサンプルが置いているので、実際に試してもらうと感覚がつかみやすいと思います。

パソコンやスマホで見ると何が面白いのかイマイチわからないかもしれません。しかし、この手の動画は将来的にオキュラスリフトのような仮想現実マシンが普及した時に、本当にその場にいるかのような圧倒的な臨場感を生み出します。

DMMは仮想現実の将来性に目をつけて、いち早くVR動画の制作にとりかかっています。ああ、、もしVR仕様のAVが登場したとするならば、、、世の中の男性陣は間違いなくDMMに屈託されてしまうでしょう。

オンラインゲーム

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動画配信を含む「デジタルコンテンツ」とは別の事業として、DMMの売上の25%を占めるのが「オンラインゲーム」です。

大ヒットしたオンラインゲーム「艦隊これくしょん(艦これ)」誕生のきっかけは、一人の社員が亀山会長直属のプロジェクト「亀チョク」に、「船を美少女に見立てたゲームを作りたいから5,000万円ください!」と企画を持ち込んだところからスタートしています。

結局、KADOKAWAとの共同事業として、角川ゲームスが開発を行い、DMM.comが配信が配信することになりましたが、結果的に大ヒットし開発費5,000万円の140倍に相当する70億円を売り上げたとのこと。しかも、その利益の大半はDMM.comの取り分になっています。。

ただ、艦これのように健全なゲーム配信だけにとどまらないのがDMM.comの強い所です。当然、アダルトジャンルのオンラインゲームも多数配信しています。

オンラインゲームの売上高の内訳のうち、通常のものと大人向けのゲームの比率がどれくらいになっているのかは不明です。。

電子書籍・同人誌

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デジタルコンテンツの一つとして配信されている電子書籍。進撃の巨人のような一般的なものから、アダルトコミックに至るまで、DMMブックスではすべてのジャンルを網羅的に配信します。

デジタルの同人誌も販売していて、自分たちで作った同人誌をDMMを通じて流通させることも可能です。

  • 総顧客数が1,000万人以上
  • 販売価格の最大83%をバック

など、製作者にとって嬉しい仕組みも整っています。

DMMの同人誌のサイトには月間の売上ランキングが、公表されていて、第一位の作品は756円のコンテンツが月間5,200ダウンロード、トータル約6万ダウンロードとなっていました。

単純計算で月間売上高が393万円、1つの作品のトータル売上高が4,536万円となります。

仮に30%を手数料としてDMMに持って行かれたとしても、同人誌一冊で家が一軒建ちますね。。こうった点でも、DMMの驚異的な流通力を思い知らされます。

レンタル・通販

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「ネットで借りて、自宅に届き、ポストに返却」というCMが2008年ぐらいに流行りましたが、その頃からやっているのがDMM.comのレンタル事業です。

主にDVDやCDのレンタルが中心ですが、「いろいろレンタル」と言って、カメラやスーツケース、事務用品などのレンタルも手がけます。物品だけでなく、洋服やバッグのレンタルも行っています。

洋服やバッグを借りる場合は、2日で3,980円が相場です。例えば、友人の結婚式に着ていくパーティードレスとバッグをレンタルすれば、格安で毎回違うドレスを着られます。

年に1回しか旅行に行かない人なら、スーツケースを買わなくても、レンタルした方が安いです。(スーツケースは部屋に置いておくとかさばりますし…)

個人的な意見を言うと、私はこの事業にとても将来性を感じています。最近は、AirbnbやUberなどをはじめとした「シェアリングエコノミー」が加速していて、所有する時代からシェアする時代へと移り変わっていくと思うからです。

以前クートンブログでも「洋服が借り放題!月額制ファッションレンタルサービスは服選びに悩む女性の救世主になるか?」という記事で洋服の借り放題サービスを取り上げました。

物流がより効率化されれば、別に買わなくても借りればいいじゃんとなるわけです。

DVD・CDレンタルは、月額2,000円以下で新作も含めて借り放題の定額制、しかも送料は完全無料です。

業界最安値にチャレンジするDMM、そして2010年から物品のレンタルに目を付けていたDMM、やっぱりすごい。。

もちろん、レンタルだけではなく通販も行っています。DMMの通販では、DVDやゲーム、書籍など様々な商品を扱っていて、Amazon.co.jpっぽいこともやっているというわけです。

オンライン英会話

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DMMの新規事業として代表的なものの一つ。最近、スカイプを使ったオンライン英会話ビジネスが乱立しています。レアジョブは上場しましたし、私が以前、短期留学で通っていたQQイングリッシュはオンラインからオフラインへと格安留学への導線を作ったりしています。

英会話を必要としている人はそこまで多くありません。しかし、最近はパソコンだけでなくスマホでもスカイプ英会話ができるようになったことで、この市場はやや盛り上がってきている印象です。

そのような中でDMMがはじめたのが「DMM英会話」です。他社と比較して大きく違うのが2つ。

  • 1レッスン99円~(圧倒的に安い)
  • 世界60ヶ国の講師から選べる(ネイティブと話せる)

通常、オンライン英会話の講師は「フィリピン人」であることがほとんどです。なぜなら、フィリピン人は英語が話せるだけでなく、新興国なので人件費が安いからです。人件費が安いフィリピン人と日本人をスカイプで繋ぐことで、格安の英会話学習を実現しているのです。

しかし、DMMの場合はネイティブを含む世界60ヶ国の中から講師が選べます。例えばアメリカ人の所得水準は日本人とほぼ同じですから、当然その先生に支払っている給与もそれなりに多いはず。それに、1レッスン99円~というのも、オンライン英会話の中では圧倒的な安さです。

この2つから予測できるのは、「おそらくDMM英会話は現在とんでもない大赤字」だということ。実際に会長の亀山氏はこのように答えています。

  • DMM英会話に関しては、儲けるよりも売上げを作りたい
  • オンライン英会話はそこから海外展開やビジネス向けに派生できる
  • 儲からないビジネスなので単独でやるのはしんどい
  • 教育事業なのでブランドイメージをよくできる

例えば、「アダルトをやっているDMMで電子書籍を買うのは個人情報が漏れないか不安だ…」と感じている人は少なからずいると思います。しかし、DMM英会話を広げることで、「オンライン英会話をやっている会社なら安心かな」と思えたり、またはオンライン英会話の生徒が電子書籍で教材を購入したりという相乗効果が狙えるわけです。

実際、DMMのすべてのサービスは、1つの共通アカウントIDで利用できます。オンライン英会話を入り口にDMMに会員登録すると、そこからFXや通販の利用が手軽にできるようになるというわけです。

英会話事業は、会員数や利用率などはすでに業界首位級となっているようです。FX事業と同じく、後発ながら圧倒的な宣伝力と赤字覚悟で会員を獲得していく、まさに黒船のような存在です。

私も毎日オンライン英会話をやっているので、近いうちにDMM英会話にも是非チャレンジしてみたいと思います。

DMM.make

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モノづくりのためのプラットフォームとして、「DMM.make」のサービス名で展開している3Dプリント事業。この事業はDMMの新規事業の中でも、壮大なビジョンがあるビジネスです。

■make 3Dプリント
あなたが作った3Dデータをアップロードして、DMM上で商品登録・販売が行えるしくみです。あなたは商品の3Dデータを設計するだけ、「製造・決済・販売・発送」などすべての手続はDMMが行ってくれるというもの。

例えば、iPhoneはアップルが製造しているわけではありません。アップルはiPhoneの設計だけを手がけ、実際の製造は台湾の「鴻海」という会社が中国で製造しています。仕組みとしてはそれと同じ。あなたが製造機器や決済システム、物流システムをもたなくても、アイデアさえあれば自分で商品を企画販売できるのです。

■クリエイターズマーケット
3Dプリンタで作ったフィギュアからアクセサリー、工具類まで、あらゆるものを売り買いできるプラットフォームが、「クリエイターズマーケット」です。

例えば、もしあなたがLINEのスタンプを自分で作ったとしても、それが売れるのはLINEがあなたの作ったスタンプを宣伝・販売してくれる「マーケット」を用意してくれるからですよね。DMM.makeのクリエイターズマーケットもそれと同じ、月間10億PVを誇るDMMで素晴らしい商品を作って販売すれば、あなた一人の力で大ヒット商品を生み出すことも可能となります。夢がありますよね。

■DMM.make クラウドソーシング
アイデアはあるけど3Dデータとかよくわからない。。
あなたが専門家ではない一般人なら、これはごく当たり前のことです。このような場合は「クラウドソーシング」を活用して、外部のプロに全部お任せしてしまえばよいのです。

「DMM.makeクラウドソーシング」はモノづくり関連の仕事に特化した「つくって欲しい人とつくる人がつながる。」プラットフォームです。例えばクラウドソーシングを活用してこのようなことができます。

■自分でアクセサリーを作って売りたい場合

プロデザイナーのアドバイスが欲しい
モノづくり相談や商品企画のプロがすぐに見つかります

素人なので具体的なデザインは難しい
プロのデザイナーにイメージだけを伝えて一緒に作っていくことができます

パッケージのデザインをお任せしたい
パッケージはプロのデザイナーさんに依頼できます

実際に誰かに使ってもらって感想が聞きたい
製品モニターや品質評価してくれる人が見つかります

3Dデータを作ることは難しい
商品デザインが完成したら専門家に3Dデータを作ってもらいましょう

製造・販売・発送
アップロードした3Dデータを元に、DMMが製造から販売、発送をサポート

もっと大々的に販売したい
ネットで売れた商品はリアルでも売りたい。
パンフレットの制作、展示会ブース設計、製品写真や動画の撮影などなど。
これらすべてをその道のプロにお任せできます

プロに依頼するとお金がかかると思う人も多いかもしれません。しかし、クラウドソーシングの良いところは「お互いが納期や費用で合意すればOK」なので、一流のデザイナーを雇うことはできなくても、駆け出しのデザイナーであれば、あなたの予算内で仕事を引き受けてくれるケースは全然あり得る話です。

モノづくりを通じて、素人企画者のあなたと駆け出しデザイナーがお互いが成長していく。これもクラウドソーシングのあるべき姿だと私は思います。

■シェアスペース AKIBA
モノづくりをする人が集まるコワーキングスペースです。
シェアオフィスや、3Dプリンタをはじめとするハードウェアの製造機器を設置するなど、モノづくりに必要なあらゆるものが備わった、ビジネスの拠点です。

■モノづくりログ
モノづくりをする人のためのブログです。
商品の製造過程を自分で投稿したり、同じような製品を作っている人がどのような作り方をしているのか、ブログで読んだり、または業界動向からインタビューに至るまで、様々な情報を発信しているメディア。

製造業には、知識や技術の共有が欠かせません。モノづくりログは、そのようなクリエイターのナレッジ(知識)を共有するスペースとして提供される、ブログサービスです。

■カンタンサービス
3Dプリンタを使ってできる代表的なこと。
オリジナルのiPhoneケースを作ったり、自分のオリジナルキャラクターをフィギュア化したり、住宅模型を作ったり。このような「3Dプリンタを使ってできる需要の多い商品製造」を、知識を持たない人でもテンプレートに沿って選んでいくだけでカンタンに作れてしまうのが、このサービス。

ロボット

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前述の「DMM.make 3Dプリント」と関連性が高い「DMM.make ROBOTS」は、主にロボットの販売を手がけるビジネスです。最近、ソフトバンクが「Pepper(ペッパー)」をリリースしたことで話題となりましたが、これから、人型スマートフォンとも呼べる「家庭用のスマートロボット」が徐々に普及していくと予想されます。

そこで、DMM.comは様々なロボットを集めて、プロモーションから販売までを手がけるビジネスを行っています。すでに、ユカイ工学や富士ソフトなど大手からロボットベンチャーまで多くの企業と提携しており、DMM.make ROBOTを通じて誰でも手軽に家庭用ロボットが購入できるようになっています。

そしてDMMが行うのは、ロボット制作会社からロボットを仕入れて販売するだけではありません。前述のDMM.make 3Dプリントや、モノ作りの拠点「シェアスペース AKIBA」を通じてクリエイターが開発したロボットの販売も手がけて行こうというわけです。

iPhoneケースからロボットまで、クリエイターのアイデアを形にして、生産、プロモーション、そして販売までを一括で行うのが、DMM.makeの壮大な構想なのです。



肉会

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出会いや婚活・恋活とコンセプトが近い、マッチングサービスの「肉会」。アプリを通じて男女のペアをマッチングさせ、みんなで焼き肉を食べましょう(コンパしましょう)というものです。

基本的には男性が「今夜焼き肉を食べに行きませんか?」と肉会のアプリ上で募集します。その時に「私たちがおごります!」マークが付いているペアは、男性側が食事代を全額負担してくれるという意味を表します。女性側のペアはそれを見てエントリーし、マッチングが成立します。女性はタダで焼き肉が食べられ、男性は焼き肉をおごる代わりに、簡単に女性と知り合えるという面白い仕組み。

実はこのアプリはDMMが生み出したわけではありません。女性の人気ブロガーとして活躍している伊藤春香(はあちゅう)さんが企画して立ち上げたプロジェクトを、DMMが買収(または共同運営)しています。(アプリの開発元はDMMになっています)

こちらの記事を見ると、はあちゅうさんは最初ホリエモンに肉会の買収を持ちかけたそうですが、買収価格で値段が折り合わず、結局DMMに売却したのだとか。その後、ホリエモンは肉会と類似のアプリ「焼肉部」を立ち上げています。

個人的には、以前から使ってみたいと思っていたアプリなのですが、まだ試したことがないので、雰囲気などはわかりません。

格安スマホ・SIM

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いわゆる「MVNO(仮想移動体通信事業者)」にも参入しています。DMM mobileのサービス名で展開する、格安のスマートフォン販売、そしてSIMIカードの販売。こちらも、業界最安値でのサービスを提供しているのが特徴。

最近は、特定の携帯電話会社と契約せずに、MVNOを活用してデータ通信や音声通話を利用する人も増えています。格安SIMを利用することで、毎月の利用料金は従来の約半額程度に抑えることができるためです。

このビジネスも、今後成長が見込まれている業界であり、最近各社がこぞって参入しているビジネスです。DMMがこのビジネスを始めたのにも、納得できる部分が大きいです。

DMM FX

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子会社のDMM.com証券を通じて提供しているFX事業。
業界最狭水準のスプレッドと、使いやすい取引システムの提供で、2013年のFX口座数は国内1位、取引高は世界2位となっています。

テレビCMに、誰もが知っているような超有名タレントを多数起用するので、一般の知名度もかなり高いと思います。

そういえば、この記事を書いていて思い出しましたが、クートン設立前の2009年当時は、私はFXのアフィリエイトを頑張っていた時期です。サービス開始当時は「とにかく取引しまくるだけで最大10万円キャッシュバック」みたいな美味しい話もありましたが。。。その時はDMM FXがここまで成長するとは、FXサイト運営者の私自身も、まったく思っていませんでした。

FX業者としてはおそらく最後発だと思いますが、ここまでの急成長を遂げたことに、DMMグループの底力を感じずにはおれません。

DMM.com証券は、FXと合わせてCFDのサービスも提供していますが、売上のほとんどはFXによるものだと思います。

また、DMM FXだけでなく同業他社を買収したことによって「外為ジャパン」というFXサービスも、マルチブランド展開しています。

ソーラーパネル

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太陽光パネルの販売事業も行っています。以前は、「一般家庭に無料で太陽光パネルを設置して、その売電収入をDMMとシェアする」というモデルだったのですが、現在はすでに一般家庭向けのサービスは終了していました。

今のDMMソーラーパネルは、法人向けに工場の屋根や遊休地の利活用、そしてメガソーラーの建設に限定しています。

東北福祉大学が持つ土地にもDMMメガソーラーの建設を行っており、現在のメガソーラーの年間発電予想量はおよそ35,127Mwh。一般家庭約6,220世帯分の電力をまかなえる規模となっています。

ニュース

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DMMが最近、力を入れているのが「DMMニュース」というオンラインメディアです。

外部のニュースを配信したり、DMMニュースのオリジナル記事があって、たまにネットでも一部の記事が話題となっています。

最近だと、DMM会長の亀山氏とやまもといちろう氏の対談なんかは、非常に読み応えがあって面白かったです。

そして言わずとも出てくるのが、「DMMニュース.R18」です。徹底的にエロネタにこだわったニュースサイト、、、男性も女性も一見の価値ありです。。。

亀山会長のインタビューによると、「メディアは全然儲からない」そうですが、個人的には「DMMニュース.R18」は将来的に大きな利益を生むメディアに成長するんじゃないかって思います。

恋活・出会い

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まじめに恋人を探すためのいわゆる「婚活・恋活サービス」となるのが、DMM恋活です。

内容は最近の婚活・恋活アプリと全く同じです。

まず、好みの相手を探してその人に「いいね」を送ります。すると、あなたのプロフィールが相手に通知されます。相手があなたのプロフィールを見て「メールしてもいいかな」と思ったら、「いいね」を返してくれます。この時点でマッチングが成立。

マッチングが成立すると、相手とのメッセージ交換ができるという仕組み。女性は完全無料、男性は途中から一部課金が必要。という点も他の婚活アプリと同じです。

そして、裏の事業(??)としてやっているのが、いわゆる「出会い系サービス」となります。なぜか知りませんが、「DMM恋活」がノーマルコンテンツを扱うDMM.comのリストにあるのに対して、その他の出会いコンテンツは主にアダルトを扱う「DMM.co.jp」にカテゴライズされています。。。

ただ、DMMが自身で手がけているのは、健全な方の「DMM恋活」だけで、出会い系の方は「他社との提携」によって運営しています。DMMが手がけている出会い系サイトは3つ。

  • YYC
  • イククル
  • PCMAX

YYCは元々、LINE(旧ライブドア)が事業を行っていて、その後、事業譲渡によって現在はミクシィの子会社が運営しています。そういう意味ではまだ健全。

ただ、PCMAXなんかはエッチな出会いをモロに含んでいるので、さすがに健全とは言えませんね。。。

ライブチャット

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ライブチャットもDMM.comならではのデジタルコンテンツです。基本的には、自分の好みの女の子を選んで、自分がチャットで女の子に話しかけ、その内容に対する答えを女の子が映像と音声で返してくれるというもの。

こちらも、アダルトと、ただ女の子と会話をするだけのノーマルがあります。

なぜ知っているのかというと、私自身がライブチャットをやったことがあるからです(爆)

私は初めてライブチャットを経験した時、大きなショックを受けました。なぜかというと、ビックリするようなアイドル並に可愛い女の子が超高画質でリアルタイムに動くからです。

ニコニコ生放送の画質とは比べ物にならないぐらい、高画質で、自分の好みの女性と会話ができるのです。

そしてもう一つ、ライブチャットはポイントの消費スピードが超速いです(汗)普通に女の子と話しているだけで、ビックリするスピードでお金が溶けていきます。。そして追加で課金、、課金と、、、

集金モデルとしては、出会い系のそれとは比べ物になりません。

リアルタイムでコミュニケーションを行うライブチャットは、ネットワーク回線の使用量が極めて多いです。しかし、それを高画質で実現できるのは、グループ会社のDMM.comラボが提供するインフラが優秀だからに他なりません。

不思議とこのジャンル、男性と会話する女性向けライブチャットってないんですよねぇ。。

公営ギャンブル・パチンコ・パチスロ情報

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公営ギャンブルは「競輪くじ」の取扱をおこなっています。公営ギャンブルにはその他にも、オートレースやボートレース、競馬などがありますが、将来的にこれらを扱うつもりなのかどうかはわかりません。(恐らく権利関係がややこしい業界だと思うので)

そしてもう一つは、「DMMぱちタウン」の名前でサイト・アプリを展開しているパチンコ・パチスロ情報の提供です。私は10代の時、パチスロにハマった時期があったのですが、当時パチンコ関係の情報と言えば「P-WORLD」というサイトが超有名で、ほぼ独占的に全国のホール情報を提供していました。

しかし、DMMぱちタウンを見てみると、中身が非常にP-WORLDに似ていることがわかります。P-WORLDを意識して作られたことは間違いないと思います。

また、もう一つ興味深い点があります。DMMぱちタウンがリリースされたのは2013年で、艦これや英会話、3Dプリンタ、ソーラー事業よりも後発です。最近のDMMの新規事業は「これから伸びそうな流行りっぽい事業」が多いのですが、DMMぱちタウンに限ってはそうではありません。

パチンコ・パチスロ業界というのは衰退の一途をたどる業界です。そのような業界になぜ、今になって参入したのかはわかりません。このような見方をすると、「ぱちタウン」がDMMの新規事業の中でも異色の存在であると言えます。

DMM.comが手がける多くの事業には、関連性がないように感じられます。しかし、会長の亀山氏によると、「エンターテインメントやスリル、達成感など人の欲望に根ざすという共通項がある」とのこと。そう言われてみると、公営ギャンブルやパチンコ・パチスロ情報も「DMMらしい事業」と言えるのかもしれません。

過去にもこんな事業をやってました

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DMM.comは、新しい事業をどんどん立ち上げ、そして上手く行かなければすぐに撤退しています。これまでにも色々な事業や取り組みを行っています。振り返ってみると、あーこんなのあったなと思うものばかりです。

■ペニーオークション
通称ペニオク。話題の商品が格安で手に入るオークションですが、入札時に手数料がかかる仕組み。ペニーオークションはDMMだけでなく、多くの企業がこぞって参入して一時期話題となりましたが、サクラの存在などが問題となり、DMMもあえなく撤退。現在、国内ではペニーオークションは完全に姿を消しました。

ちなみに、亀山会長の話によると、ペニーオークション事業は10億円以上の赤字だったそうです。

■DMMクーポン
グルーポンやポンパレなどの「クーポンサービス」が流行った時に、DMMもクーポン事業に参戦。しかし、この事業はたった1年で廃止されました。「フラッシュマーケティング」と呼ばれ期待されていたクーポンビジネスは、「おせち問題」をピークにひっそりと影を潜めました。

■DMMウォーター
水の宅配サービスです。水のビジネスは東日本大震災が起こった2011年3月から爆発的に伸びており、安全な水を飲むために、家庭にウォーターサーバーを導入した人も多いと思います。DMMもこのビジネスに参戦しましたが、驚くのがその開始時期。震災が2011年3月に起こり、わずか1か月後の4月にDMM.水のサービスを開始しています。

東日本大震災の義援金の話

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これは事業とは少し違うのですが、東日本大震災があった2011年にはこのようなやりとりがありました。

DMMが震災への寄付金を募り、集まった金額と同額を拠出して、合計2倍の金額を寄付するという取り組みを発表。そこに、2ちゃんねるの創始者である「ひろゆき」氏が1,000万円寄付するけどいいですか?とDMMに問い合わせました。

その結果、DMM社では受けることができないもののDMM社長の松栄氏が個人的に1,000万円を拠出すると回答しました。その即決回答は、ネットで大きな話題となりました。

DMMグループの会社

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(出展:日経カレッジ

DMM.comは、軸となるDMM.comと3つの子会社を中心に営業展開を行っています。

株式会社DMM.com

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DMMの運営母体となる会社です。社長は松栄立也氏ですが、株式はその100%を会長の亀山敬司氏が握っています。

アダルトから新規事業に至るまで、基本的にほぼすべての事業は、この会社が行っており、子会社や関連会社がその事業をサポートする形となっています。

株式会社 DMM.comラボ

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同じく母体となるのがDMM.comラボという会社です。主軸のDMM.comがサービスの企画・提供者であるとするなら、DMM.comラボはそのインフラを支える技術部門といった感じ。

大量の動画を配信したり、多くの会員数を管理したり、また課金システムをキチンと設定したり、月間10億PVを誇るDMM.comという巨大サイトを運用するためには、大規模なネットワークインフラが必要です。

それを担っているのがDMM.comラボです。ネットワークのエンジニアリングだけでなく、WebマーケティングやDMMのSEO、そしてDMMの広告代理も担当しています。

販売先がDMM.comとDMM.com証券だけとなっているので、おそらく外部からの受託はしていないと思われます。

DMMとの結びつきが極めて深い会社で、後述のDMM.com証券に対しても、この会社を通じて約半数出資をしています。

株式会社 DMM.com証券

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FXやCFDといった金融取引サービスを提供しているのがDMM.com証券です。
中でも主軸のDMM FXは国内口座数1位、取引高世界2位という実績を持つまでに成長しており、CMにも有名タレントが多数起用されていることで知られています。

もともとは、SVC証券というまったく別の会社でしたが、2009年にSVCを買収により取得し、社名を変更しています。その後、同業のFX業者である外為ジャパンを買収し、事業拡大を図っています。

事業内容には「国内外の上場有価証券の取次ぎ業務」と書かれているので、将来的にFX・CFD事業だけでなく、株式や投資信託の取扱いも開始しそうな感じです。

株式会社 DMM.com OVERRIDE

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DMMグループの中で最も新しい会社となるオーバーライド。拠点を北海道に置いており、主にオンラインゲームやアプリの制作開発を行っている会社です。

沿革を見る限り、元々はゲーム等の受託開発を行う会社でしたが、2013年にDMMに買収されたようです。このような背景があって本社が北海道にあるのでしょう。

2014年2月の売上高は2億円となっており、DMMグループの中では比較的小規模にとどまります。

私はまったく知らないのですが、オンラインゲームの「かんぱに☆ガールズ」を作った会社として有名みたいです。

亀山氏が出資するその他の企業

DMM.comとは直接的な資本関係はないものの、創始者の亀山敬司氏とその一族が大株主となっている関連企業がいくつかあります。

亀山氏(とその一族)はDMMグループ企業をはじめ、すべての関連会社のほぼ100%の大株主です。そう考えると、彼の個人資産は計り知れないですね。。。

株式会社CA(旧:北都)

DMMの原点となる会社。
マネーの虎で知られる高橋がなり社長が率いていたAVメーカー「SOD(ソフトオンデマンド)」と並ぶ二大巨頭となるアダルトビデオメーカーです。

DMMグループとして知られている会社ですが、直接的な資本関係はありません。

CAの内部・外部のAVメーカーは「アウトビジョングループ」と呼ばれています。男性の皆さんが日々目にしているアダルトビデオは、そのほとんどがアウトビジョングループのAVメーカーです。

以前は「北都」という名前だったのですが、2009年に現在の商号に変更。

一応、公式Twitterアカウントもあるのですがフォロワーがたったの84人しかいないです。しかもプロフィールに「分かる人だけ分かれば良いという気持ちです。」と書かれているのがシュール。

参照:Wikipedia

株式会社ジーオーティー

CAがアダルト映像の制作会社なのに対して、こちらはアダルト書籍の出版を手がける出版社です。ジーオーティーは亀山氏が100%株主の会社となっています。こちらもDMMグループですが直接的な資本関係はありません。

参照:Wikipedia

株式会社ティーアイエス

映像制作、出版社に続くのは、主にアダルトDVDの販売を手がける株式会社ティーアイエスです。この会社もDMMとの直接的な資本関係はなく、亀山氏の100%出資会社です。

前述のジーオーティーなどもそうですが、DMM.comとの資本関係はないものの、ビジネス連携はキチンと取られており、最近ではDMMが展開するパチンコ・パチスロ情報アプリ「DMMぱちタウン」の広告宣伝を手がけています。

こちらのページに求人情報が掲載されていますが、DMM.comのページビューって月間10億PVもあるんですね。。。

2014年7月期の時点で従業員数は175名、売上高は327億となっています。

株式会社ケー・シー

国内最大のアダルトビデオ会社のインフラを支えるのが石川県に拠点を置く、株式会社ケー・シーです。石川県は亀山氏の生まれ故郷です。

DMM.comで販売したDVDは、物流会社のケーシーから発送されます。また、最近ではDMMの3Dプリント事業のプリント印刷を行うために、3Dプリンタの装置も設置しています。

物流事業だけでなく、カラオケやネットカフェなどの複合アミューズメント施設「KC」の運営も手がけます。

また、DMMの原点となった石川でのレンタルビデオ店も、現在は株式会社ケーシーが行っているようです。

この会社もDMM.comとの資本関係はありませんが、DMMのソーラーパネルを倉庫屋上に設置するなど、様々な形で連携が取られています。

参照:Wikipedia

ホビボックス株式会社

主に二次元のPCゲーム開発を手がけるホビボックス株式会社。この会社はDVD販売のティーアイエスが100%出資する形となっています。

参照:Wikipedia

DMM創始者の亀山敬司会長ってどんな人なの?

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私が今回、DMMに関する記事を書こうと思ったきっかけは、DMM創始者の亀山敬司という人物に強い興味を持ったからです。以前は、謎の人物としてベールに包まれており、その存在すら嘘ではないのかとすら言われていたほど。DMM.comという巨大な企業を設立し、一代で大きな会社に育て上げた人物が、ここまで謎に包まれているというのは非常に珍しいです。

しかし、冒頭でも書いたように亀山敬司会長は最近、積極的にメディアの取材に応じています。(ただし、顔出しはしていません)
最近では、漫画家の西原理恵子さんがノーギャラで書いたという亀山会長のLINEスタンプの販売も。。。

ここでは、インタビューからわかった彼の生い立ちや、ビジネス・経営に対する考え方についてまとめます。

生い立ち

亀山会長は、現在のDMM.comを象徴するかのように、これまでに多くのビジネスを手がけてきています。DMMはアダルトで大きくなった会社ですが、元々その業界にいた人が起業した形ではなくて、まったく無関係(ただのレンタルビデオ屋)なところからアダルト業界に参入しているのが興味深いところ。亀山氏によると、いろいろなビジネスを行ってきた中の一つが、たまたまアダルトだっただけで、たまたまそれが大ヒットしただけに過ぎないようです。

つまり、亀山会長からすれば、AVを扱う会社が教育事業の英会話をやったり、ロボットを売っていてもおかしくないということなのでしょう。「起業家というよりは事業家、事業家と言うよりは商売人」と言った感じでしょうか。ただ、そのビジネスの手腕が凄まじく優れていることは、現在のDMMがもたらしている結果の通りです。

元々、自営業を営む商家で生まれ育った亀山会長は、ご自身もそうですが、親も姉も、飲食店などを経営していたようです。(亀山会長の姉と思われる人物は、DMM関連会社の大株主としても知られています)
高校卒業後、税理士を目指すために東京の大原簿記専門学校に入学。そこで日商簿記検定1級を取得。

しかし、20歳の時に商売を始めようと思い、大原簿記を中退します。
最初の商売は露天商。専門学生時代に、バイト帰りに六本木で露天をしていた外国人に教えてもらったそうです。
商売の基本は「仕入れて売る」ですが、その典型なのが露天商ですよね。

亀山会長は露天商として全国を周り300万円を貯めて実家となる石川県に帰郷します。理由は、亀山会長の姉が妊娠したために、姉が経営していた飲食店を手伝うため。この当時で24歳。その後、実家がやっているスナックの2階で雀荘やバーを開業しますが、これも繁盛。下記発言のとおり、本当にいろいろなビジネスをやってこられたみたいです。

その後もプールバーや旅行代理店、ファミコンの卸問屋など、いろいろな分野に手を出しては失敗したり、小さく成功したりを繰り返した。

その後、レンタルビデオ屋を開業し、地元で5店舗を構えるほどの店舗に成長させます。レンタルビデオ屋を始めた理由は「近所のレンタルビデオ屋の成功をみて」。しかし、当時北陸地方では高いシェアを誇っていたビデオシティ(のちにゲオに吸収合併)が亀山氏の地元加賀に出店してきたことで、敗北を悟ります。その時、ビデオシティのオーナーだった空手家の浜井識安に「フランチャイズになりますから、加賀に来ないでください。」と交渉しにいったエピソードがあります。

大型店に負けると思った理由についても語っています。

バックトゥーザフューチャーを見て映像はオンデマンドになると思ったし、レンタルビデオはビジネスモデル上、土地の広さがものをいう。このような変化を見て、いずれやっていけなくなると思った。

多くの事業を手がけていても、「勝てると思ったら容赦なく始めるし、負けると思ったらいさぎよく負けを認める」という経営のお手本のようなスタイルを貫いていることがわかります。

当時、バックトゥーザフューチャー2を見た時に、将来的に映像はオンデマンド配信が主体になっていくと、この時から予見していたのが凄い。バックトゥーザフューチャー2が公開されたのは、1989年のこと。亀山会長がいつこの映画を見たのかはわかりませんが、1989年だと当時28歳となります。

レンタルビデオ屋のように「作ったものを売るのではなく、作る側に回るメーカーになりたい」と思った亀山会長は、映像制作のビジネスを行うことを決意。しかし当時手元にあったのは8,000万円だったので、当然巨額の資金が必要な映像制作に乗り出すには、資金が足りませんでした。そこで、「資金を小分けにして大量生産できる映像」と考えた結果、アダルトビデオに行き着いたわけです。映画を撮ろうと思ったら、キャスティングからロケから何まで、とにかくお金がかかります。しかしアダルト映像はさいあくでも、その行為が収められていれば成立するので、コストはかかりませんよね。。。

そこで、製作依頼をして東京で版権を取得し、1990年に地元加賀で「北都(現在の株式会社CA)」を創業。

北都の拡大路線は、多数の下請け制作会社を活用した外注制作と、人件費の安い石川県を拠点にした物流、受注販売による営業コストの削減等により可能になったとされる。またアウトビジョンが(店の在庫リスクが少ない)委託販売方式によって販路を拡大し、膨大な作品を流通させることができた。

■北都のビジネスモデル

ビデオの原本を元にして、当時は大量のビデオデッキを導入し、パートのおばちゃんがそれを使ってひたすらダビングを繰り返して大量生産していたらしいです。。。

そしてできたAVを100本、セットにしてビデオ屋に送りつける(無料で)

3ヶ月後、売れ残った分だけを返品してもらい、売れた分だけ資金回収。
お店側は仕入れる必要がなく、売れた分だけ支払うので在庫リスクがない。
(いわゆる「富山の薬売り」方式による委託販売モデル)

時には、送ったビデオが返ってこないこともあったが、元々ダビングによって作られているものなので、原価は非常に小さいです。。。
(デジタルコンテンツや映像コンテンツって、コンテンツそのものに価値があるため、いくら複製しても原価は変わらない特性があったりするんですよね)

この販売方式の究極の利点は返却された在庫を見て「どの作品がどれだけ売れたかがわかること」です。アナログな方式ですが、確実なデータを手に入れられる仕組みを作った北都は、そのデータを元に「売れる作品だけを効率よく作れるように」改善を重ねました。

さらに売れたビデオのデータが素早く、より膨大に入手できるように、POSレジをビデオ店に無料でばら撒いたのだそう。販売データを独占し、それを元に商品を最適化し改善していく。この仕組で北都は業界No.1のアダルトメーカーに上り詰めました。

インターネット黎明期だった当時、これまでフィルムビデオだった映画をオンラインで配信するには、版権処理に時間を要しました。しかし、AVの場合はすでに北都が業界トップの版権を持つ会社だったので、すぐにオンライン配信に移行することができたんですね。

そしてついに1998年にネット配信事業を開始、1999年にDMM.com(当時の社名はデジタルメディアマート)が誕生します。この時の亀山会長の年齢は38歳です。30歳で北都を創業し、38歳でようやくネット配信のDMM.comが誕生。DMM.comはここから驚異的な成長を遂げて現在に至るというわけです。

亀チョク

現在のDMMが積極的に新規事業を生み出せるのは「亀山直属プロジェクト(通称亀チョク)」によるものです。これは、社員や外部から亀山会長に直接、新規事業を提案できるというもの。亀山会長がその事業を面白いと思えば、約6ヶ月間の猶予が与えられ、その事業に取り組めます。その間に必要な給料や資金は全額、亀山会長が負担し、もちろん会社に出社する必要もありません。

6ヶ月後、成果を見て継続するかどうかを決めるというわけです。

英会話やソーラー、艦これなどはすべて、亀チョクによって生まれた事業です。

実際に亀山会長が艦これをプレイした時間は30分もないそうです。ただ、社員に「船を美少女に見立てたゲームを作りたいから5,000万円ください!」と言われたから、ポンと出しただけ。亀山会長はインタビューで、「艦これはヒットしないのではないかと思っていた」と語っていますが、ヒットしないと思っているものに5,000万円出せるのが凄いですよね。。。そして結果的に、艦これは大ヒットを生み出し、出資金の140倍のリターンを得ています。

ちなみに、今「艦これ」の担当者は20億円まで決済不要で資金を任せられているそう。

名言集

気になった発言についてまとめます。

自分の立ちの事業を壊すような新しい事業に自ら手をださないと、生き残ることはできない。映像業界もDVDもインターネットに潰された。

特に将来自分たちを脅かすであろう事業には積極的に投資している。すべての事業には寿命があるから未来のためのリスクを取り続ける。リスクを取らないリスクほど経営者として恐ろしいものはない

様々な事業に手をだすことで気づきを得られる。新しい事業にも今までの事業経験は応用できる。

地道な改善、効率化を続けて北都グループは確実に成長していった。

当初は年間10億円の機会損失が出ると言われても、アマゾンに商品は出さなかった。でも、結局他の人が勝手に中古品を売り始めるから。最終的にDVDの販売はアマゾンにまかせて、DMMは動画配信に切り替えて行こうということになった。

自分がいなくなっても回り続けるように社員を守ること、それが経営者としての義務。

半年で単月黒字化するけどスケールしないようなしょぼいビジネスは亀チョクでは選ばない。DMM Makeは10年以上かけて種まきしていくようなビジネス。こういうことは未上場会社でないとできない。

(亀チョクについて)「正直者」であることが重要。半年付き合えば、本物か口だけの男かわかる。いわば半年間の採用面接みたいなもの。

上から下からいろんな目線で物事を見られることは大切なことだろう。

エロやってればたたかれる。目立たないようにせざるをえなかった。今は発信していかないと、社員が色眼鏡で見られてかわいそうだから。やってることを隠すつもりもないしね

成長率の低い企業に入っても、上がつかえてるから上がれないし任されないと思う。企業の成長率の高さ=出世のしやすさ

アダルト以外の売上が50%程度になってきてる。

アダルトが安定しているからこそ、新規の投資ができる。英会話、Make akiba、3Dプリンタとか今は全く儲からない。一般株主がいないからこそ、5年10年のスパンで回収する事業ができる。

(雇用について)何十年もそこにいようと思っている人を養っていくには、安定収入が必要。

うまくいかない時事業はとっととやめてもいいけど、リストラは気軽にやっちゃいけない。

身の程知らずにいろいろやってると、うまくいくこともいっぱいあるわけよ。

レアジョブやぐんぐん英会話を見て、これやりましょうってなってまずその2社に買収をもちかけにいって、断れれて自分たちで始めた。

ベンチャーはリスク取らないと前に進めない。

単純に上場やってみたいなと思った時期はあった。今は大変な割にあわない気がする。
3年ぐらい前から資金が余ってきた。だから上場は必要ないって感じになった。

ビジネスや経営に対する考え方

亀山会長の生い立ちなどを見ていくと、現在のDMM.comの動きがそのまま反映されているように思えます。

とにかく、行けるかどうかで多角的に多くのビジネスに進出していく経営モデル。そして、勝てると思ったらその業界を覆い尽くしてしまうほど、徹底的にNo.1にこだわり、そして自らその事業を破壊して常に進化し続けることで、その業界をリードし生き残っていく。逆に、上手く行かなかったビジネスの撤退はとても早く、勝てないと思ったらすぐに負けを認めるほどの潔さがあります。

会社と雇用を維持していくために、安定収益に非常にこだわっており、その資金を使って新規事業に投資していく姿は、ボストン・コンサルティング・グループが提唱する「プロダクトポートフォリオ・マネジメント」や、ソフトバンク、ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイの経営モデルにも似ていると言えます。(例えば、ソフトバンクは携帯事業から生まれる安定収益を元にインドなどに投資していますし、バークシャーは保険事業から得られる収益を元に投資やM&Aを行って成長しています)

また、すぐに黒字化を目指すスタイルではなく、まずは徹底的に赤字覚悟でシェアを取り、長期視点に立って投資資金を回収していく手法も、DMM.comの勝ちパターンとなっています。

雇用に関しては率直に、DMM.comで働いている社員のことを凄く考えているんだなと思いました。現在、採用を積極化しているという背景もあると思いますが、「社員が色眼鏡で見られてかわいそうだから」自身がメディアに出たり、DMM.comという企業をクリーンなイメージに変えようとしていると。個人的には、もし出会った人に「DMMで働いてる」って言われたら、普通に尊敬しますけどね。やはり社会からの風当たりはまだまだ強いのかもしれません。

基本的にリストラはせず、終身雇用を掲げている点も今のIT企業では珍しいスタイルです。(ただし年功序列ではないとのこと)
例えば、DMMクーポンはたった1年で撤退となりましたが、現在その社員はソーラーパネルを売っているそうです。

経営者のビジョンや社会に対する影響がどうというよりも、社員を食わせていくこと、そのために会社を存続させて行くことを重視しているように思います。しかし一方で、社員が社内で出世できるためや、会社のイメージを変えるために、企業としての成長をやめず、積極的にリスクを取りに行く姿勢を見せている点も興味深いです。

果たしてこの会社は上場するのか?

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DMM.comについて色々調べてきた結果、やはりこの会社は将来、上場する可能性を十分秘めていると思います。

亀山会長のインタビューではDMMの上場を否定する内容が多いので、本人にはその意志はないように思えます。しかし一方で、DMMが現在とっている行動を見るに、もう上場を目指しているようにしか思えないのも事実。DMM.comの行く末についてまとめてみると、

  • 自分がいなくなっても回り続けるように社員を守ること、それが経営者としての義務。
  • DMM Makeは10年以上かけて種まきしていくようなビジネス。こういうことは未上場会社でないとできない。
  • 今は発信していかないと、社員が色眼鏡で見られてかわいそう

単純に上場やってみたいなと思った時期はあった。今は大変な割にあわない気がする。3年ぐらい前から資金が余ってきた。だから上場は必要ないって感じになった。

  • 成長率の低い企業に入っても、上がつかえてるから上がれないし任されない
  • 売上高や利益に占めるAVの比率を大幅に下げないことには話にならないと証券会社などから言われた
  • アダルト以外の売上が50%程度になってきてる。
  • 英会話、Make akiba、3Dプリンタとか今は全く儲からない。一般株主がいないからこそ、5年10年のスパンで回収する事業ができる。

となります。

日経によると「売上高や利益に占めるAVの比率を大幅に下げないことには話にならないと証券会社などから言われた」こともあるそうですが、これは会社を分割すればなんとかなりそうです。アダルト部門だけを切り離して上場するとか、DMM本体が上場しなくても、3Dプリント事業の「DMM.make」だけを分社化して子会社を上場させるとか、FX部門だけを上場させるとか。

例えば、一般的にクリーンなイメージがありそうな教育事業の「DMM英会話」が上場して公開企業になれば、当然、DMMグループ全体のイメージが良くなる役割を果たしてくれるメリットが生まれますよね。

親会社が非公開で子会社だけが上場するというのは、実際にサントリーがやっています。サントリーの本体(というか酒類部門)が上場しない理由として、サントリーの佐治社長は以下のように答えています。

洋酒事業は仕込みから何年も寝かせる。上場すれば、投下資金回転の早さや高さを迫られることもあり得る(佐治信忠社長)

「四半期単位で業績が問われる昨今に、サントリー酒類の上場は問題外」(サントリーHD関係者)

亀山会長の、

半年で単月黒字化するけどスケールしないようなしょぼいビジネスは亀チョクでは選ばない。DMM Makeは10年以上かけて種まきしていくようなビジネス。こういうことは未上場会社でないとできない。

という発言と同じような事を言っています。

しかし、グノシーに9,000倍以上のPERがついている昨今、マーケットの環境は、そのような「いつ黒字化するかわからない会社」を歓迎するような雰囲気もあると思います。(昔から、バイオの会社なんていつ黒字になるかわからないような会社ばかりですし)まして、DMM.comのような「これから成長しそうなビジネス」に果敢にチャレンジする会社は投資家からみても、惹きつけられるものが多いと思います。

みなさんはこの会社についてどう思いますか?

そしてこの会社の未来について、どう考えますか?

(書いた人:川原裕也