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【夏休みの宿題】読書感想文が苦手な人が、スラスラ書くために必要なたった一つのコツ

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夏休みの課題の中で、最も面倒なのが読書感想文

読書感想文のやっかいな所は「読書が好きだからと言って、読書感想文がスラスラ書けるとは限らない」ということ。

私自身、夏休みは暇があれば本を読みまくっていましたが、小中高と毎年書かされる読書感想文がものすごく苦手で、夏休みの終盤になってヒイヒイ言いながら書いていました。

周りの読書好きの人の話を聞いても「読書感想文は嫌だった」という人は結構多いです。

……ということは、読書感想文が上手く書けるかどうかは「本を読むことが好き/嫌い」は関係ない気がしますね。

読書感想文は本の紹介や書評とも違うので「何を書けば良いか分からない」という人は多いと思います。

そこで「私が学生時代、どうやって読書感想文に取り組めば、スラスラ書けたのか?」を考えてみました。読書感想文が苦手な人の参考になれば幸いです。

今週のお題「読書の夏」

自分の経験が書けそうな本を選ぶ

読書感想文を書くために、本を1冊選びます。

選び方のコツはシンプル。
自分の経験や自分が思っていることを、書けそうな内容が入っているかどうかを基準にすること。

1.本を読む。または本の内容を思い出す。
2.読書感想文で使えそうなポイントを抜き出す。
3.2で書いたポイントと繋げられそうな自分の経験を思い出す。
4.本の内容と自分の経験を結びつける。
5.4をやってみて、自分が何を考えたのかまとめてみる。

本をパラパラっとでも良いので読んでみて「上記の1~5ができそうだな」と思う本で書いてみて下さい。

ちなみに全国学校図書館協議会から、毎年学年に応じた課題図書が発表されていますが、あくまでも参考程度に考えておきます。

本のタイトルやあらすじを見たり、内容を思い出したりして「自分とは合わないかな」「話は面白いけど、書くのは難しそうだな」と思えば、無理に選ぶ必要はありません。

では実際にどうやって読書感想文を書けば良いのか?
小野不由美の「一十二国記」を例に書いてみたいと思います。

―十二国記 月の影 影の海(小野不由美)

【読書感想文で使えそうなポイントを抜き出す】
・主人公は何も分からないまま、十二国(異世界)へと連れて来られる。
・言葉は通じるが、現地の人からは「海客」として迫害を受ける。
・信頼していた人の裏切りなどにあい、極度の人間不信になる。
・行き倒れた所を、楽俊によって救われる。
・自分が十二国に連れて来られた理由を知り、王になる。

【使えそうな自分の経験を探してみる】
・言葉が一切分からない状態で台湾を旅行した。
・何も分からない自分に対して、現地の人は非常に親切にしてくれた。
・自分には「帰る場所がある」という安心感があったからこそ、旅行を楽しめた。

【本の内容と自分の経験、最近のニュースと関連付ける】
・自分の場合は、他の国をある程度知っており「行ってみたい」と思って行ったが、陽子(主人公)は何の知識も心構えも無いまま見知らぬ土地に連れて来られてしまった。

・北朝鮮拉致問題とも似ている?

・「今後、自分が生きていられるかどうか」「日本に帰れるかどうか」も分からない状態で、毎日を過ごすのは非常に大変だったと思う。

・言葉が通じるからと言って、相手と友好的な関係が築けるとは限らない。

・台湾は親日家が多い地域として有名だが、他の国や地域によっては「日本人」を嫌ったり、良いカモに思ったりする人々もいる。そのような立場に置かれた時、自分はどういう行動が取れるだろうか。

・主人公は物語の終盤に国王となり、国の年号に「赤楽」(陽子と楽俊の意味)を付けた。
「大げさな」と思ったが、良く良く考えると、人に嫌われ、裏切られ、迫害されていた中で、自分を救ってくれた「楽俊」という存在が非常に大きいことが分かる。

・将来、言葉や価値観、人生観が全く違う所に「行く」ではなく「生きる」ことになった場合、自分はどうして生きていくのか?

【実際に書いてみる】

題名:知らない世界で「生きる」ということ

もしも自分が、全く知識も心構えも帰るアテも無い状態で、異国の地に行くことになったら、どうするだろうか?

私は今年の夏、台湾を旅行した。私は台湾語も何も知らず、唯一相手と通じそうな英語もまともに話せない状態だったが、現地の人は非常に親切にしてくれた。

例えば故宮博物院へ行く道すがらお姉さんが日傘に入れてくれて一緒に歩いたり、宿泊先へ行くための交通手段が分からず、困っていた時にバス停まで案内してくれたりと挙げればキリがない。

しかしながら『十二国記 月の影 影の海(小野不由美)』の主人公、中嶋陽子は、「ケイキ」と名乗る男に、自分の意思と関係なく、日本や現実世界とは異なる「十二国」という異世界に無理やり連れて来られてしまう。

陽子が連れて来られた理由は、十二国の一国「慶国」の王になる為だったが、物語序盤の時点では陽子には何も知らされていない。

目的地へたどり着く途中に敵の襲撃にあい、ケイキとはぐれ、陽子は見知らぬ場所に一人置き去りにされる。

その後の陽子は、普通の女子高生では経験しないような非常に過酷な試練を受け続ける。

全く事情が分からない為、現地の人間に助けを求めても、陽子がたどり着いた巧国では「海客(異世界から流されてきた人のこと)は国を滅ぼす」として、迫害や差別などひどい仕打ちを受ける。

また本来は話せないはずの言葉が話せることで、同じく十二国に流されてきた日本人に裏切られたり、元いた世界の家族や友人などが自分のことを悪く言う幻を見続けたおかげで、徐々に人間不信に陥っていく。

いわゆる「異世界召喚ファンタジー」だと、主人公は序盤から良い仲間に恵まれて、差別や迫害を受けること無く、元の世界に戻る旅を続けることが多い。

しかしながら、この作品では主人公に対して驚くほど冷たい。途中で読むのが辛くなるほどだ。

私は最初、十二国記を完全にファンタジー世界の話だと思って読んでいたが、現実世界でも例えば「日本人」「自分とは違う言語、価値観、国の人」ということで、現地の人から差別や迫害を受けることはあるのではないか?と思った。

(中略)

もし「私が今後、誰も、何も知らない異国の地で生きることになったら?」という答えは、まだ見つかっていない。

その代わり(というのも変な話だが)、異国の地に来た人たちと出会う機会があれば、できる限り自分が思う平等さと親切心を持って接したいと思う。私が夏、台湾の人と接して「来て良かった」と思ったように。

いかがでしたか?

物型全体や各エピソードの感想ではなく「自分が特に気になったポイント」にしぼってみると、結構書きやすいです。

この記事を書くために、数年ぶりに読書感想文を書いてみましたが「自分の経験が書けそうだな」と思う本でやってみると、本当に驚くほどスラスラ書けました。

実際に十二国記を読んだのは、確か十数年以上前。

あまり内容を詳しく覚えていない分「どういう内容の本だったのか」という要点が抜き出しやすく、自分の過去の経験と結びつけやすかったように思います。後はWikipediaの内容が充実していたのも助かりました。


読書感想文の本選びで迷った時は「自分の経験や思っていることが書けるかどうか」で選んでみて下さい。

それでは、良い夏休みを。


(書いた人:昼時かをる)