ホッチキスのように片手で持ち、親指でスイッチを押すだけで布が縫える超小型電動ミシン(ハンドミシン)が話題になっています。
ハンドミシン自体は昔からある商品なのですが、4月6日に放送されためざましテレビ「MORE SEVEN」で取り上げられたことで、再び注目が集まったようです。
「小型なので使いたい時に素早く使える」「お出かけ先でも使いやすい」「操作が簡単」というのは非常に魅力的のように感じるのですが、縫い物ができる人にとっては「手縫いの方が早くて安心」「思った以上に使えなかった」という場合が多いようです。
「小物作りに使えそうだから、買ってみようかな」と思っている人は、ちょっと考えてみて欲しいハンドミシンのデメリットに関してまとめてみました。
下糸が無い
通常、ミシンは布の真ん中に上糸と下糸の結び目が来ることで、縫い目ができます。
▲File:Lockstitch.gif(Wikipedia)
電動ハンドミシンの場合、下糸が無く、上糸の1本の糸で縫い進めていきます。
手縫いの並縫いとは異なり、布の裏側の部分はチェーンステッチ(鎖編み)のようになります。
基本的にチェーンステッチは刺繍の際に使われる縫い方で、数多くあるミシンの中でチェーンステッチが縫えるのは刺繍ミシンくらいです。
下糸を使うタイプの片手ミシンも存在するようですが、値段が高く、すでに廃盤になっている場合も多いので、入手が難しいと思います。
返し縫いができない=すぐにほつれる
返し縫いとは、縫い目の端がほつれないように、縫い始めと縫い終わりに行なう「往復縫い」のこと。
布を2~3針縫った後、返し縫いレバーを押すと2~3針バックして縫えます。
電動ハンドミシンでは返し縫いができない為、縫っても端から糸がほどけてしまう。
しかも糸1本だけで縫っているので、縫い始めと縫い終わりをきちんと結ばないと、引っ張った時に、全て取れてしまう可能性も大です。
「では、縫っている最中に360度回転すれば良いのでは?」と思うのですが、ハンドミシンの構造的に無理みたいですね……。
まっすぐに縫えない
ハンドミシンの縫い目の画像や動画を見ていると「丸く曲線が縫える」というのがメリットのように挙げられていますが「まっすぐに縫いたくても縫えない」という見方もできます。
ミシンの場合、両手で布を押さえながら針を進めていくので、思った通りに真っ直ぐ縫えるのですが、ハンドミシンは片手での扱いなので縫い目が曲がりやすいのです。
電動ハンドミシンの利用が向いている人は?
電動ハンドミシンの利用が向いているのは「手縫いが苦手」「とりあえず縫い合わさった状態が短時間でもあれば良い」「引っ張るとすぐにほどけるので、仮縫いやしつけ用に使いたい」など、かなり割り切った利用を考えている人です。
実際に利用した人の口コミを見ていると「思った以上に使えない。手縫いの方が面倒さが無い」「取り扱い方法が難しく、手で縫った方が早く仕上がった」など、一定の裁縫スキルのある人にとっては、使い辛さを感じることが多いようです。
要するにハンドミシンに、通常のミシンの仕上がりを求めてはいけないという訳です。
「ハンドミシンでがっつり小物作りしよう」「ミシンを購入するまでは言わないけど、代わりに使えないかな?」と思って購入すると、結構ガッカリするのではないでしょうか。
とは言え「そろそろミシンが欲しいけど、何を基準に選べば良いか分からない」という人は、以下に紹介する動画を参考にしてみると、自分に合ったミシンの傾向がつかめると思います。
ミシンの選び方アニメ どんな用途で使いますか? - YouTube
ネットの洋裁教室 第10回洋裁手芸放送(録画) ミシンの選び方 - YouTube
(書いた人:昼時かをる)
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