DVD、CD、書籍、雑誌の販売やレンタルなど幅広く手がけるTSUTAYA(ツタヤ)。
最近、TSUTAYAは「ライフスタイル提案」をコンセプトにした書店展開を進めています。
その名も「蔦屋書店」。
函館、代官山、武雄市図書館、イオンモール幕張新都心に続き、5月8日には大阪に「梅田 蔦屋書店」がオープンしました。
先日、初めて訪れた所「ビジネス、人文、美容、旅行、アートなど、様々なライフスタイルの提案を提案する」という今までの書店とは全く異なるスタイルに強い衝撃を受けました。
以前のクートンブログ「書店のイメージを変える!毎回新しい読書体験を提供するTSUTAYAのサービスをまとめてみた」でもTSUTAYAを取り上げましたが、今回は蔦屋書店により注目してみたいと思います。
蔦屋書店のここが違う!
専門店と一体化したワンフロア
梅田 蔦屋書店があるLUCUAイーレ9階は、知的好奇心や感性を刺激する空間で、洗練されたライフスタイルを提案する「ブックス&カルチャー」フロアになっています。
最初「蔦屋書店がLUCUAイーレの1フロア丸々使っているのか」と思っていたのですが、実際には細長いドーナツのような輪っか部分が本棚など置かれているBOOKスペースで、他はカフェなど別の専門店舗が入っています。
- 1.靴磨き専門店Burnish(バーニッシュ)……靴磨き・革製品のケア
- 2.ミーティングルーム……貸し会議室
- 3.カフェ Le Garage(ル・ガラージュ)……カフェ
- 4.BANG & OLUFSEN(バング&オルフセン)……オーディオ・ビジュアル
- 5.蔦屋Apple Authorized Reseller(アップル オーソライズド リセラー)……情報家電販売
- 6.TSUTAYAモバイル……携帯電話・スマートフォンアクセサリー
- 7.キタムラApple正規サービスプロバイダ……情報家電修理
- 8.JTB……旅行相談
- 8.ウェディングデザインラボ……オリジナルウェディングのトータルサポート
- 9.Cu by uka(シーユー バイ ウカ)……ネイル・ヘアカラー・ヘッドスパ
- 10.Starbucks coffee(スターバックス コーヒー)……カフェ
他にも三井住友銀行ATMや、TSUTAYA Wi-Fi(無料)ラウンジスペース、無料の手荷物預け所もあります。
それぞれの店舗に全く区切りがない「シームレス」になっているので、カルチャーとカルチャーとの垣根や壁を感じさせない自由な空間が作られていました。それが蔦屋書店のウリの一つなのだと思います。
梅田で3番目の敷地面積だが、本の品揃えは……
蔦屋書店の敷地面積は約4,000㎡。
梅田周辺の大型書店と比較しても3番目の広い敷地面積を誇りますが、実感として「書籍の品揃えは良い」とは決して思いませんでした。
- 蔦屋書店……約4,000㎡
- 紀伊國屋書店梅田本店……約3,000㎡
- 紀伊國屋グランフロント店……約3,500㎡
- MARUZEN&ジュンク堂梅田店……約6,800㎡
- ジュンク堂大阪本店……約4,800㎡
- ジュンク堂梅田ヒルトン店……約2,100㎡
蔦屋書店の書籍・雑誌数は約20万冊。
ニュースメディアには「広さ約4,000㎡の梅田 蔦屋書店」と記載されていますが、梅田 蔦屋書店の公式サイトを見ると「1000坪の売り場」とあるので、専門店舗を除いた蔦屋書店は約3,300㎡(≒1,000坪)程度なのかもしれませんね。
蔦屋書店は文具や雑貨のスペースも多く取られており、陳列されている書籍もコンシェルジュによって選定されているので、蔵書は「少数精鋭」に限られます。
世間一般的な書店は「自分が欲しい書籍を、数多くある蔵書の中から探して買い求める」で、蔦屋書店は「自分が目指すスタイルに近付く為のヒントが欲しい人が、気付きを得に来る場所」という印象を持ちました。
「ライフスタイル提案型書店」の名前に偽りなしです。
ちなみにMARUZEN&ジュンク堂梅田店の在庫数は200万冊!
蔦屋書店と敷地面積を同じにしても、在庫数が100万冊以上になることを考えると「蔦屋書店は広い割に書籍の品揃えは少ない」というのが良く分かると思います。特に大型書店の品揃えの豊富さに慣れている人は「物足りなさ」を感じやすいです。
専門知識豊富なコンシェルジュが在籍
蔦屋書店には専門知識を持つコンシェルジュが在籍しており、各売り場で自分が探している商品の案内やおすすめの商品の提案をしてくれます。
梅田店では27名のコンシェルジュが各分野を担当。
「コンシェルジュ - 梅田 蔦屋書店」では、計9人のコンシェルジュの担当分野やプロフィール、おすすめ書籍が紹介されています。
店舗案内図によると、取り扱いのある分野は「文学、人文、文具、歴史、建築、写真、アート、デザイン、旅行、ファッション、料理、美容、ワークスタイル」の13ジャンル。
上記のジャンルに興味がある人は、本棚をブラウジングしたり、コンシェルジュと会話したりすることで、素晴らしい刺激を受けられると思います。
立ち読みが難しい「室内の暗さ」
最初に蔦屋書店へ訪れた時に感じたのは「高級感」でした。
店内全体が暗いだけではなく、本棚や天井、床まで一面ダークカラーなことで、落ち着いた大人っぽい雰囲気。
本棚や平積みの書籍にスポットライトを当てることで、視線をそちらに引き付けたり、思わず書籍に手が伸びたりと、メリハリある空間に仕上がっています。
ただし従来型の全体が明るい書店に慣れた人にとっては「書店が暗いこと」に、強い違和感を覚えます。
また通路部分が暗かったり、本棚部分の照明が明る過ぎたりすることで、目が疲れやすく立ち読みには不向きな所です。
蔦屋書店では未精算の書籍や雑誌でも、店内のカフェスペースで読むことが可能。
読書用のイスを置いてある書店より席数は多い感じなので、あまりにも激混みでなければゆっくり座って読めます。
「立ち読みは辛い」というのは、立ち読みの人で本棚の前や狭い通路がふさがることを防止しているのかもしれません。
蔦屋書店はどのような人に向いている?
【向いている人】
- 意識高い学生やビジネスパーソン。
- 新しい刺激を受けたい。
- 新しいものや流行の最先端に興味がある。
- 飲食しながら本や雑誌を読みたい。
- ライフスタイルの新しい変化を求めている。
- ノマドワークのスペースとして使いたい。
【向いていない人】
- 「欲しい本を探す」という明確な目的がある。
- 最新刊や漫画を買いに来た。
- 食べ飲みによる本の汚れが人一倍気になる。
- 従来型の書店が好きで、良く利用する。
- 座り読みより、立ち読みの方が良い。
- 薄暗い場所で本を読むのが苦手。
梅田 蔦屋書店は、特に「ビジネス」に力を入れています。
「働き方」や「チームの形」「クラウドワーキング」など、ビジネスパーソンであれば、興味がそそられる書籍が数多く並び、カフェスペースや全席Wi-Fiと電源を完備した4thラウンジなどもあり、ちょっとした仕事をこなすにも使い勝手が良いです。
残念ながら私は「向いていない人」で、蔦屋書店には居心地の悪さしか感じられませんでした。
例えるならば、昔ながらの喫茶店に慣れている人が、スターバックスに初めて行った時に感じる「落ち着かなさ」「辛さ」でしょうか。
【意識高い系は悪なのか?】新社会人や20代前半のビジネスマンが読むべき5冊の本を書いた弊社社長はきっと好きそうだな勝手に思っています。
TSUTAYAが梅田に進出するにあたり「大型書店が数多くある梅田で、この先、蔦屋書店は生き残れるか?」という話を良く聞きましたが、勝負している所やコンセプトがあまりにも違い過ぎて、新たに蔦屋書店が加わった所で利用者の争奪戦は起こりにくいように思います。
他とは一線を画する分、大型書店の激戦区かつビズネスパーソンや多種多様なライフスタイル観をもつ人々が数多く集まる梅田に進出するだけの価値は高いように感じました。
本や書店が好き嫌い問わず、一度は訪れて損はない「梅田 蔦屋書店」の今後の展開が楽しみです。
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