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全員就職できる“就職温暖期”はこの後来ることはないの?

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大学を出て優秀な成績や研究成果を収めたにもかかわらず、就職できない。いわゆる、“就職難民”に関するニュースが毎年のようにメディアを賑わせています。そうしたニュースを耳にするとき、ふと思うのは日本の少子化。日本の人口バランスは、若年層よりも年配者が多い構造になっており、生まれる子どもの人口は減少傾向。企業内では定年退職者が増えていくはずなので、就職の門戸は拡がり、就職難民はいなくなってもいいような気がするのですが…。

そこで、まずは年齢別に求人総数や大学進学者人口を調べてみました。

グラフにするとわかる「想定就職難民数」

まず、手始めに1990年から2015年までの25年の「求人総数」「年齢別総人口」「大学進学率」などのデータを総務省統計局と文部科学省「学校基本調査」から、抜き出してみました。

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上のグラフは求人総数と大学進学者人口(四大卒)を差し引いた数と就職倍率を年齢別にあらわしたもの。例えば、グラフのもっとも左47は、現在47歳の人が仮にストレートで大学を卒業し就職したと仮定した1990年の数値を表しています。

棒グラフが上に伸びているほど、求人数>大学生数ということ。逆に、下に伸びているほど、求人数<大学生数ということになり、就職難だったことを表しています。

特に、現23~26歳、34~38歳、41~42歳の人たちは、かなり厳しい就職活動を強いられたことがわかります(実際には浪人や留年など、多少の数値変動はありますが…)。あらためてこうしてみると、年齢によって“割を食っている年代”と“恵まれた年代”というのは、やはり存在する様子。昨年数値(現22歳)を見ると回復傾向にありますが、それでもまだ、以前に比べれば良い数値とは言えず。日本は少子化に向かっているとはいえ、景況感でまたマイナスに転じてもおかしくない微妙なバランスにあるようです。

2025年、求人数が大学進学者人口を追い抜き本格的人不足に!?

さて、ではこの先、少子化の影響で求人数と大学生数のバランスが変わることはあるのでしょうか。仮に大学進学率が、2015年水準で平行線になったと仮定し、現在の年齢別人口を当てはめていくと、この先10年後、大学卒業者人口は60000前後に推移することが予想されます。

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特に、もっとも求人数>大学生という人口構造になることが予想されるのが2034年と、今から19年後。ちょうどバブル景気時代に大量入社した現44~50歳の人たちが65歳で退職を迎える時期にあたるため、企業は採用活動を積極的に行う必要があります。仮に全大学生を雇ったとしても足らず、日本の労働力不足が深刻化する時代です。

では、みんな就職できる時代になるかといえば…残念ながら。

2030年前後、日本の労働力人口不足が問題になることは既に数値からも明らかですが、だからといって、大学を出れば皆就職できるような時代になるわけではありません。

こうした将来の労働力不足を見越して、政府が今後の新しい労働力として注目しているのが、「外国人労働者」と「女性の社会進出」です。企業のグローバル意識は年々強まっており、就職に際しある程度の英語力を求める企業は増えていますが、今後は英語で日常会話ができることは当然求められるスキルとなり、専門的なスキル問わない“誰でもできてしまう”仕事は、外国人労働者にとって代わられる可能性は高いのです。

新卒大学生は、それら労働力を束ねるための言語スキルに加え、多種多様な人々が働く組織を効率的に動かすマネジメントスキルなども求められるなど、採用時に企業が学生に求めるスキルはより高度化していく可能性があります。

今後、定年退職年齢の引き上げや早期退職の加速、転職活動活性化など、これまでにはない働き方の変化が予想され、今回算出した結果よりも早く求人過多な時代が来る可能性もあります。しかし、それもおそらくほんの数年だけ。就職の実質的な競争倍率は、さらに高まるかもしれません。

(書いた人:考務店)