毎年1回の健康診断。
検査結果をこわごわと見てみると「貧血:要精密検査」の文字が……。
「精密検査」とは何とも恐ろしい響きをもつ単語ですが、病院で受ける要精密検査は具体的に何をするのでしょうか?
また貧血の改善法には「鉄分や造血効果があるビタミンを取る」などありますが、医療機関で指導される受ける治療法とはどのようなもの有るのでしょうか?
実際に過去「貧血:要精密検査」で引っ掛かり、何度も病院通いをすることになった私が「こんな感じでした」を、できるだけ分かりやすく書いてみたいと思います。
貧血の診断
貧血かどうかを診断する為に、赤血球数やヘモグロビン濃度を調べる血液検査を行ないます。
健康診断で血管に注射針を刺して、真空採血管(スピッツ)で3本取られるアレです。
3本も取るのは、それぞれ別の検査方で使用するからで、めちゃくちゃ量を採られている気がしますが、実際は10~15ml程度と少ないです。
項目 | 単位 | 基準値 |
---|---|---|
赤血球数 | 10の4乗/μl | 370~550 |
ヘモグロビン | g/dl | 11.5~16.5 |
ヘモグロビン濃度が基準値よりも下回っている場合に「貧血」と判断されて「要治療」や「要精密検査」の指示があります。
上記の基準値は実際に私が受け取った健康診断結果表に記されていたもので、検査を受けた病院やセンターによって基準値の数値が微妙に異なります。
ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を果たすタンパク質の一つ。不足すると貧血状態になり、動機や息切れ、顔が青ざめるなど体調不良の原因になります。
健康診断の場合、基準を少し厳しく設定されている場合も多いので要精密検査と言っても、かならずしも深刻な病気が隠されている訳ではありません。
特に貧血の場合、食事や睡眠、ストレス、運動の有無などの理由で、時期によって数値が変わりやすいものです。
実際に私は3度の健康診断で2度も「要精密検査」の診断を受けたことがあります……。
それでも「要精密検査」という結果が出たのであれば、検査と治療を受けた方が身体の為に良いです。
再検査はどこで受けるのが良い?
会社で受けた健康診断であれば、会社によっては指定の医療機関で費用負担が受けられる場合もあるので、社内の担当者に確認してみましょう。
基本的には「健康診断を受けた医療機関の内科」または「その他病院の内科」「かかりつけ医のいる内科」を受診します。
まずは内科で検診をして、貧血の理由が消化器系や婦人系の病気の疑いがあれば、担当の科を紹介してもらえます。
健康診断を受けた医療機関で精密検査をする場合、直接外来へ行くと「一般診療」の扱いになる可能性があるので、健康診断と同封された「受診の予約について」に記載された方法で予約を行ないましょう。同じ医療機関で受けると初診料がかからない「再診」扱いになり、医療費が少し浮きます。
総合病院だと内科の医師が曜日や時間によって居なかったり、診療時間が短かったり、土曜日の受診ができなかったりするのがデメリット。
「平日の昼間に病院へ行く時間がない」「都合が良い日時に予約が取れない」「仕事帰りに行きたいけど、診療時間が終わっている」という事情があれば、他の病院やかかりつけ医の内科で検査を受けましょう。
精密検査は「問診+血液検査」
「要精密検査」と言っても、健康診断のような10時間の絶食の必要はありません。
検診結果が届いてから検査を受けるまでには何日か余裕があると思うので「鉄分やビタミンB群を豊富に含む食べ物や飲み物を積極的を取る」「運動をする」など、ヘモグロビン量を増やす対策を取ることをおすすめします。検診結果が再び悪ければ、また血を抜くことになるので……。
健康保険証と診察券、お薬手帳、現金(診察代と薬代で5,000円程度は用意したい)の持参を忘れずに。
かかりつけ医で受ける場合は、検診結果と紹介状(検診結果に同封されている場合)も持って行きましょう。
混み具合によっても異なりますが、待ち時間は「1時間半~2時間」を考えておいた方が良いですね。
院内での携帯電話の使用に関しては、医療機関や場所によって規約が異なるので、使う前に要確認。
気になる貧血の精密検査は
- 担当医師と問診
- 血液検査
の二つだけ。特に身構える必要はありません。
問診では、検診結果の報告や「日常生活で気になる症状はあるか?」など質問されたり、処方される薬(鉄剤)の説明を受けたりします。
血液検査は前回の健康診断と同じく、真空採血管(スピッツ)で3本取られます。
既に今後の予定が分かっていれば、問診の際に次回の予約を済ませると良いです。総合病院だと、すぐに予約で一杯になってしまいます。
血液検査の結果は当日や数日中には分かるはずですが、鉄剤を飲んだことでの経過や効果を見る為に「次回は2週間後に」が定番です。
問診と血液検査が終わった後は、受付で診察料を払い、最寄りの処方箋取扱いの薬局で薬を買います。後は2週間後の検査に向けて「造血」をするのみ。
薬の処方は「鉄剤と便秘薬」
貧血の治療法では、いわゆる「鉄剤」が使われます。名前通り、鉄を補い、貧血を改善する薬です。
「フェロミア錠50mg」や「フェロ・グラデュメット錠105mg」などが利用されます。
鉄はFeなので「フェロ」が付いた薬=鉄剤と覚えておけば、他の薬と混ざった時も見付けやすいです。
処方される錠剤は次回、診察と血液検査を受けるまでの日数分(2週間であれば2週間分)。
飲み方は使用する薬や年齢、症状によっても変わりますが、私が医師から指示されたのは「朝食・夕食後に1回1錠を水やぬるま湯で飲む」でした。
タンニンを含む飲み物(濃いお茶やワインなど)と一緒に摂取すると、鉄剤の吸収が悪くなってしまうので、普段、薬をお茶で飲んでいる人は、鉄剤だけは水で飲むようにしましょう。
鉄剤の副作用としては「吐き気、食欲不振、下痢、じんましん」などありますが、個人的に一番衝撃的だったのは「便秘になりやすく、便の色が黒っぽくなる」ことでした。
その為、医師からは「今回は鉄剤だけの処方をしますが、便秘がちになった時は市販の便秘薬を使って下さい」と言われました。
ちなみに2回目の問診時に「便秘がちになった。市販薬は買ってない」と言ったら、便秘薬※を処方してくれました。
※マグミット錠330mg(胃酸を抑えて便通を良くする薬。ジェネリック医薬品)。
鉄剤は1日2回、各1錠でしたが、便秘薬は1日3回、各1錠と「昼食後に飲む」のが増えました。
2週間後、2回目の受診
- 担当医師と問診
前回の血液検査の結果を見ながら「再検査の要・不要」「処方薬の有無」を確認します。
健康診断では「赤血球数」と「ヘモグロビン」しか記載した項目がなかったのですが、精密検査だけあり「鉄、白血球数、ヘマトクリット、MCV、MCH、MCHC、血小板数、フェリチン」の検査結果も記載されていました。
正直、具体的な検査結果を素人が見ても「何のこっちゃ」なので、あくまでも参考程度に見ておくのが良いです。
基準値内まで改善されていれば「今回で終了」だったと思うのですが、実際には「ヘモグロビンの数値は改善されたけど、基準値よりも低い」だったので、約2ヶ月分の鉄剤と1ヶ月分の便秘薬の処方、1ヶ月後の再検査になりました。
1ヶ月後、3回目の受診
- 担当医師と問診
- 血液検査
1ヶ月と2週間分ぶり、2回目の採血。
前回と同じく、真空採血管(スピッツ)で3本取られます。
2回目に鉄剤を2ヶ月分処方されているので今回の処方は無し。
1週間後、4回目の受診
- 担当医師と問診
検査の結果「ヘモグロビンが基準値になった」ことで、新しく薬の処方も無く、病院通いが終了しました。
健康診断から通院通いが終わるまで、約3ヶ月間。
通院した病院は平日の日中しか診療時間を設けていなかった為、何度も仕事を抜け出す必要があったのが、何とも心苦しい限りでした。
終わった後は「もっと健康に気を使おう」と思いました。
いかがでしたか?
健康診断で「貧血:要精密検査」の結果が出てしまっても、過度に心配する必要はありません。
特に女性であれば「良くあること」です。
私の場合、以前献血をしようと思い採血を受けた時に「人に血を分け与えるだけの数値に達していない」という結果が出ていたので、貧血で引っ掛かった時も「やっぱりな」という気持ちが強かったです。
自分としては貧血の自覚は無かった(貧血の症状はあっても、原因が貧血だとは思っていなかった)のですが、確かに鉄剤を摂り始めてから、冷え性が改善されたり、立ち上がった時にふらっと立ちくらみする機会が減ったりと、目に見えて今までの不調が改善されていきました。
貧血のちょっと厄介な所が「食生活や生活習慣で貧血を改善しよう」と思っても、実際に改善したかどうか数値でしか判断できず、実は深刻な病気が隠されている場合もあること。「貧血:要精密検査」の結果が出た時は、面倒くさがらず医療機関の受診をおすすめします。
(書いた人:昼時かをる)