最近、ニュースで「インフレ(物価高)」がやってくるのではないか?との声が高まっています。
「インフレって何?」と言う方も多いと思うので、今回はできるだけ簡単に、インフレとその対策法についてご紹介したいと思います。
急激なインフレが進むと、もしかするとあなたの家計は苦しくなってしまうかもしれません。
インフレって何?をキャベツで理解する
インフレを一言で言うと、「物価高」です。つまり、物の価格が上がることを言います。
インフレの逆は「デフレ(物価安)」です。
例えば、インフレになると1玉100円のキャベツが、1玉200円で売られるようになります。もちろんこれは極端な例なので、価格が一気に2倍になるようなことはありません。しかし、さまざまな物の価格が平均的に、ジンワリと上昇するのが、インフレの特性です。
物の価格が上がると、家計を圧迫してしまいますよね。。。しかし安心してください。
大抵、物価高に比例して景気も回復するので、あなたの給料も上がります。1玉100円のキャベツが200円になった時は、20万円の給料が40万円になっているということです。これなら、直接的に家計の負担を感じることはないと思います。
たまに、「今の500円と昔の500円は価値が違う」といいます。調べてみたところ、明治時代の1円は現在の2万円に相当すると言われています。これも、経済成長に伴うインフレの影響によるものです。
お金の価値が目減りする?
では、さらにインフレを進めてみたいと思います。
1玉100円のキャベツが10,000円になったとします。今の100倍です。それと合わせて、あなたの給料も20万円から2,000万円に引き上げます。同じく今の100倍です。年収じゃなくて、月給2,000万円もらえたら嬉しいですよね。ただ、キャベツ1玉1万円の世界なので、生活水準は今と変わりません。
それでは、あなたは今いくら貯金をしているか考えてみてください。(ここではわかりやすく、貯金箱にお金を貯金しているとします)
貯金好きな人なら、一生懸命、汗水を流して働いて、貯金箱に200万円ぐらい貯めているかもしれません。今、「200万円の貯金があります」といえば、大変すごいことだと言われると思います。しかし、先ほどのインフレの世界に当てはめてみると、現在の200万円の貯金は、あなたの給料2,000万円の10分の1にしかなりません。
インフレが起こると、物の価格が上がるに伴って、給料も上がる可能性が高いです。しかし、現在「現金」として持っているお金は、そのまま値段が変わりません。結果的に、200万円の貯金は「そんなに貯めていてすごいね」となりますが、キャベツ1玉1万円のインフレの世界では「200万円しか貯めてないの」に変わります。
これが、「お金の価値が目減りする」ということです。(わかりやすくするために、数字はかなり極端にしましたが)インフレによって一番悪影響を被るのは、マジメに貯金をしている人なのです。
一番のインフレ対策は物に替えること
インフレは、物の価値が上がり、お金の価値が下がることを言います。インフレ対策をするために最も効果的なのは、「物に替えること」です。
物だったら何でもよいです。家具でも車でもキャベツでも。上記の例で言うと、キャベツが腐らなければ、現在1玉100円でキャベツを買っておけば、将来キャベツを1万円で売ることができます。
しかし、家具も車も「老朽化による価値の目減り」があります。どれだけインフレになろうとも、腐ったキャベツの価値は当然0円です。このような理由から、インフレ対策に良いと言われるのが、「株、債券、不動産、金」といった、金融商品や資産と呼ばれるものです。不動産は特殊ですが、株や債券は老朽化しません。また、東京証券取引所のような、自由に売買できるマーケットが確立しているため、換金性も高いです。(例えば株なら、証券会社を通じて東京証券取引所で自由に買ったり売ったりできます)
しかし、金融商品の中では、株はリスクが高いので手が出しにくいです。また、不動産も一般の人にとっては高価なものなので、手軽に買うことはできません。
債券はどうなのか?
そこで、「リスクの低い資産」を考えると、答えが「債券」に行き着きます。その中でも、「国債」は最も安全性の高い資産として知られています。
国債とは、国が発行する債券、つまり国の借金です。あなたが国債を買う(国にお金を貸す)ことで、国から利息を受け取れます。
■債券の購入から償還までの流れ
①例えば100万円分の債券を購入
つまり、国に100万円を貸し付けたということ
↓
②国から毎年、支払利息を受け取れる
購入時点の国債の金利に応じて、国から毎年、利息がもらえます
↓
③償還日に100万円を返却
債券は「償還日(返済日)」が決まっています。
返済日になると貸したお金を全額返済してもらえます。
↓
④つまり、お金を貸している間は利息を受け取れて、返済日になったら全額返してもらえるのが債券の特徴です。
仮に、国債の金利が1%だったら、100万円の国債購入に対して、毎年1万円が利息として受け取れます。償還日(返済日)が10年後だとすると、10年後にはあなたが貸した100万円は、受取利息を含めて110万円になっています。これなら、インフレ対策として使えそうです。
しかし、国債には欠点があります。
債券は、基本的に最初に購入した時点で、金利が決まります。
100万円の債券が10年後に110万円になっていたとしても、インフレの進行が早すぎて、現在100万円の車が、10年後に200万円で売られているような状況になっていたとすればどうでしょうか。結局、お金の目減りは避けられません。
給料、上がってますか?
インフレ対策は、常に物価の上昇よりもお金の増加スピードを上げることが大切です。つまり、物価上昇スピードよりも早いスピードで給料を増やすとか、資産価値を上昇させるかですね。
例えば、あなたの現在の給料が20万円で、20年後も変わらず20万円だったとします。会社に対しては「20年も働いているんだから給料上げてくれよ」と言いたくなりますが、下がっていないだけマシと思うかもしれません。
しかし、インフレの進行を考えると、20年後も変わらず同じ給料をもらい続けていることは、実質的には給料は下がっていることになります。経済情勢や会社業績と言った外部環境、年齢に応じた生活費の変化など、実際には様々な要因が絡み合います。しかし、シンプルに「現在の手取り」と「インフレ」を考えた場合、20年後も給料に変化がなければ、あなたの家計は悪化していることになるのです。
大事なことなのでもう一度言います。インフレ対策は、常に物価の上昇よりもお金の増加スピードを上げることが大切。でも、給料を増やすのも資産価値を上昇させるのも、どちらも大変そうですね。。。
物価連動国債という選択肢
そこで選択肢に入ってくるのが、「物価連動国債」です。
国債は通常、購入した時点で金利が確定しますが、物価連動国債は物価上昇に合わせて金利が変動するのが特徴です。(金利は変わらず元本が変動するものもあります)
住宅ローンを組むときに、「変動金利」と「固定金利」があると思います。変動金利は経済情勢に応じて金利が変わります。一方、固定金利は借りた時のまま、金利は変わりません。住宅ローンは、私たちが借りる側となる借金です。
国債はその真逆で、私たちが貸す側ですよね。通常の国債を「固定金利」、物価連動国債を「変動金利」と考えるとイメージしやすいと思います。
インフレ対策としては、「物価連動国債」を買っておけば安心です。物価の上昇に合わせて、もらえる利息も増えます。物価連動国債の注目度は最近日増しに高まっており、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も「インフレによる資産価値の目減りを防げる有望な投資先」として注目しています。
2015年から物価連動国債の購入が解禁されます
インフレ対策に良いと言われる「物価連動国債」。残念ながら現在は個人向けには販売されていません。私たちが買うことはできず、投資信託などを通じて間接的に購入するしか方法がありません。投資信託を通じて購入すると、中間コストがかかるため、割高となります。
しかし、この物価連動国債は2015年1月から、私たち個人に対しても販売解禁となります。
物価連動国債の購入は、銀行や証券会社を通じて行います。
大切な資産を守るために、インフレ対策に有効な物価連動国債を真剣に考える必要があるのかもしれません。
(書いた人:川原裕也)
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