前回、「全国に拡大中!あのクックパッドが料理教室をやっているって知ってた?」という記事で、レシピ検索サイト大手のクックパッドが料理教室を開いていることをお伝えしました。
しかし、クックパッドは「料理」を軸にジワジワとビジネスの領域を広げています。「えっ、あんなこともやっているの?」と思えるようなサービスもいくつか見つけたので、ご紹介したいと思います。
クックパッドがいまやっていること
「毎日の料理を楽しみに」をコーポレートミッションとして、ビジネスを展開しているクックパッド。同社が手がける料理関連サービスは、いつの間にか結構増えています。
海外でのレシピサービスを展開
2013年に英語版のクックパッドをリリースして以降、レシピサービスの世界展開を加速しています。海外の会社に対して出資や買収することで、積極的に商圏を拡大しています。
国内での利用者数4,400万人を抱えるクックパッドは、すでに世界最大規模のレシピサービスとなっています。しかし、現在クックパッドが商圏としている「スペイン語・英語・インドネシア語・日本語」の言語圏では、合計10億人の対象人口がいるのだとか。
スペイン語圏から世界展開している会社といえば、ご存知「LINE」が有名ですよね。
LINEがコロンブス作戦 スペイン語経由で米攻略
健康に関する情報サイト
国内では、主要サイトの「クックパッド」の他に、2つの健康情報サイトを運営しています。
「健康レシピ」は、高血圧や糖尿病など、何かしらの病状を抱える人に適したレシピの紹介。または、シニア向けのレシピを掲載したサイトです。「漢方デスク」は、「漢方」に関する情報を掲載したサイトです。ニュースの他に、投稿コーナーが充実しているのが特徴です。
その他、「みんなのカフェ」という掲示板サイトも運営しています。料理レシピを見るだけでなく、レシピを投稿したり、料理について質問や意見交換をするコミュニティを作ることで、「毎日の料理を楽しみに」を実現しているわけですね。
特売情報の提供
ネットサービスだけでなく、店頭への進出もおこなっています。
「特売情報」は、全国のスーパーのチラシ・特売情報を受け取れるサービスです。
例えば、「近所のスーパー◯◯で牛乳がセールで安い」みたいなことがわかります。特売情報は無料で利用できるので、一人暮らしの方や家計を管理する主婦の方にとっては、大変便利なサービスだと思います。
産地直送便(やさい便)
クックパッドは、レシピの提供だけでなく、料理をつくる「食材の宅配サービス」も行っています。それが、最近リニューアルされた「産地直送便」です。
以前は「やさい便」の名前で展開していましたが、2014年の8月に「産地直送便」としてリニューアルされました。
旬の野菜・食材を産地直送で買うことができる、定期購入サービスです。最近だと、「らでぃっしゅぼーや」や「おいしっくす」などが似たようなサービスを展開していますよね。料理だけでなく、食材にもこだわりたい人は結構多いと思います。
生鮮食品の定期購入なので、「どんな旬の食材が届くのか指定できない」のが、楽しみでもありデメリットでもあります。クックパッドでは、そのデメリットを解消するために、「その食材を使ったレシピも一緒に提供する」ことをしています。
こうすることで、「料理方法がわからない食材が届いた・・・(´・_・`)」から、「はじめて使う食材ではじめて作る料理にチャレンジ(`・ω・´)ゞ」できるきっかけを与えてくれます。ここでも、「毎日の料理を楽しみに」という言葉が生きていますよね。
クートンの運営している「はじめての有機野菜と食材宅配」でも、産地直送便について紹介しています。
もしよろしければ参考にしてくださいね。
家計簿アプリ「zaim」
スマートフォンアプリで大ヒットを記録した、家計簿アプリの「zaim」を開発・運営しているのは、実はクックパッドの関連会社です。元々は女性のエンジニアの方が開発したアプリだったのですが、後にクックパッドが出資する形で、関連会社となりました。
現在、国内では200万人が利用し、「家計簿に挫折した84%がZaimなら続けられると回答した」のだとか。私も使ったことがありますが、直感的に使えたり、グラフ表示などが秀逸で、家計簿を付けるのが楽しくなる、良いアプリです。
また、銀行やクレジットカードの情報を自動で取得したり、スマホのカメラでレシートを撮影するだけで品目と金額が取り込めます。これらの機能によって、家計簿を付ける作業も半自動化できるのが、Zaimのメリットです。
似たようなサービスとして、以前取り上げた「マネーフォワード」や「ReceReco(レシレコ)」があります。
子どもの成長を親にみせる「レター」
スマートフォンアプリで使える「レター」は、スマホで子どもの写真を撮影するだけで、ご両親に写真付きの手紙を送ることができるサービスです。結婚して子どもが生まれたら、レターを使って、その子どもの成長を毎月、ご両親にはがきで報告できます。
レターは、ROLLCAKEという会社が運営しているサービスですが、Zaimと同じくクックパッドが出資したことで、関連サービスとなっています。
これがロゴマークですね。
私も知らなかったので、最初何のマークかわかりませんでした。
ならいごと「Cyta.jp」
「食」に関する事業とは少し違うのが、「ならいごと」のサービスです。2013年にコーチ・ユナイテッドという会社を子会社化したことで、「Cyta.jp(咲いた.jp)」の運営も、子会社を通じてクックパッドがおこなっています。
Cyta.jpは、オンラインで個人レッスンのコーチ(講師)が見つけられるサービスです。例えば、ギターの先生とギターを習いたい人をマッチングするサービスです。
習い事というのは、何をはじめるかも大切ですが、「誰に教わるか」も大事だったりします。できることなら相性の良い人にコーチしてもらいたいですよね。そのようなときに、Cyta.jpを活用すると、場所や料金、先生の得意分野をはじめ、「講師の顔」が見えるので、これまでよりもより、良い先生との出会いやすくなります。
もちろん楽器の講師だけでなく、英会話や資格など、趣味やスキルアップを促進するためのサイトとなっています。
また、クックパッドの「ならいごと」といえば、前回紹介した「料理教室」も習い事の一つですよね。
ダイエット
「ならいごと」だけでなく、「美容」の領域にも進出しています。「クックパッド ダイエット」は、「正しく食べてやせる」ための個別のダイエットプログラムです。
運動によるダイエットではなく、食事改善によるダイエットプログラムなのがクックパッドらしいところ。スタッフは全員女性、個室のカウンセリングルームで、生活習慣の診断ややせる食事の提案など、プロによる個別指導が受けられます。
クックパッド ダイエットは、現在銀座店のみで営業しています。
データ販売「たべみる」
クックパッドの主なお客さまは、私たち消費者です。しかし、クックパッドが運営するデータ販売サイト「たべみる」は、食品メーカーの商品開発や、スーパーの売り場提案を目的とした、事業者向けのサービスです。
クックパッドの検索データやレシピの閲覧データを元に、
- いま消費者が欲しがっている食材
- 家庭の今日のこんだて
がわかります。
つまり、消費者の「これ食べたい」がデータとして分析できます。
消費者が欲しがっている食べものがわかれば、スーパーの運営者や食品メーカーは、それに合わせた商品作り、売場設計ができますよね。
余談ですが、クックパッドの「たべみる」のロゴは、クラウドソーシングのランサーズで募集していたみたいです。
キッチン用品の販売
つい最近は、衣料・キッチン用品・雑貨のオンラインショップ「アンジェ」を運営する、セレクチュアー株式会社を子会社化したとの発表がありました。アンジェの利用者は9割が女性で、クックパッドの利用者層と重なっているとしています。商品の素材や色をカスタマイズできるのが、アンジェの強みなのだとか。
「気ままな暮らしのライフスタイルショップ」として運営しているアンジェのサイトを見てみると、キッチン用品主体というよりは、雑貨全般を扱っている感じです。
私はその存在をいままで知らなかったのですが、メディア掲載情報を見ると、これまでに、日経ウーマンやレタスクラブなどに取り上げられた実績が多数あり、女性の間では結構名の知れたオンラインショップなのですね。
おでかけスポットの紹介
いちばん直近のニュースとして発表されたのが、「Holiday」というサイトです。
クックパッドとしてはちょっと珍しい、食に関係のなさそうなサイトです。Holidayは「休日に何をしよう?どこにいこう?」を解決するための、おでかけプランの投稿・共有サービスとなっています。
Holidayでは、自分でかんたんにおでかけプランを作ることができます。作ったプランは下記のような感じで仕上がり、まさに自作のガイドブックを簡単に作成・共有できるサービスと言えます。
私は大阪に住んでいるので、たまに「関西ウォーカー」を見たりするのですが、Holidayはまさしく「自分で簡単に作成・共有できる関西ウォーカーのようなガイドブック」なんじゃないかと思います。
まだスタートしたばかりなので、どのようなサービスかわからないのですが、既に面白いなと思った点が2つほどあります。
1つめは「ドメイン」です。ドメインとは、「.com」とか「.net」のようなインターネット上のアドレスの末尾に付記されるものです。では、Holidayのドメインはどうなっているかというと、
です。
「.holiday」というドメインは、大手が運営しているサービスの中では、非常に珍しいものです。
2つめは「新卒が手がけているサイト」だということです。私は最初、なぜ食と関係のないサイトをやるのかな?と思いました。調べてみると、このサイトは2014年歳用の新卒が5人で作り・運営しているサービスとのこと。
現在ベータ版として稼働中ですが、今後大きなウェブサービスとして成長していくかどうか、楽しみですね。
いかがでしたか?
そういえばNTTドコモが、野菜宅配のらでぃっしゅぼーやや、ABCクッキングスタジオを買収してたような・・・
なんとなく商圏がかぶってますね、料理教室や食材宅配は最近の流行りなんでしょうか。
クックパッドは最近、プレミアム会員に続く「プロのレシピ」という新しい課金サービスをスタートしました。主軸サイトであるクックパッド自体も、どんどん良いサイト・良いサービスを増やしていますが、一方で海外展開やスーパーの特売情報の提供をはじめるなど、新しい方面にも動きを見せています。
業績も絶好調のクックパッド、これからもどのようなサービスをリリースしてくれるのか、とても注目度の高い会社だと思います。
(書いた人:川原裕也)
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